【81】南北会議②
この南北会議はかなり長くなると思います……。
五話くらいでしょうか?^^;
「――ではこれより、第一回、南北会議を始めます」
ノイリーのその一言で、波乱の南北会議の幕が開けた。
「司会進行はわたくし、『南の賢者』第一使役精霊、
ノイリー02が努めさせていただきます」
学校の生徒会選挙みたいに「起立、気をつけ、礼!」
みたいなのがあると思ったら、そんなことなかった。
努めて静観に、会議のお話が進んでいく。
やがてノイリーが静々と壇上から下がり、
かわりに『南の賢者』が登壇する。
「はじめに――北の魔王とその御一行さま、
『南』までのご足労ありがとうございます。
さて、あなた様たちには『泥人形』との戦
闘のおり、参戦して頂いた御恩があります」
淡々とまえがきを話していく、
ショウコさんは冷静だ。
「ここ、知の都フレドリーにお越しに
なさった理由はすでに存じております」
――つまり、なんでも
聞いていいよって事だ。
私は合流したイルガスに
視線をおくって合図する。
「では、蛇足ですが僕からいくつか質問が」
参謀のイルガス、レイには、今日の会議の
進行と目的をおおざっぱに説明している。
①私たちを殺した現『西の勇者』、
ユキミヤ・リョウヘイのゆくえと、その目的。
②『不快』ゴーディと『南の賢者』の関係性。
――目下の目的は、『南の賢者』からこれを
聞き出し、今後の「行動」如何を決めること。
特に①はキズル村を出発した当初からの
目的だ。しっかりと、真偽を確かめなければ。
そこで私が選出したのが、このふたりだ。
イルガスと、レイ。私は知能的な面に
おいて絶対的な信頼を置いている……。
「この大陸に住まう、『四方偉人』の存在についてです」
そう切り出したイルガスも、彼の質問を咀嚼するように
ゆっくりと頷くショウコさんも、すごく落ち着き払った
様子で議会を進行している――さすがだ。私だったら
ぜったいに噛んで取り乱している自信がある。
「北の魔王、南の賢者、西の勇者、東の魔女。
それらを統一した呼び名が『四方偉人』です。
この一角が最近起こした行動について、
南の賢者の意見を問いたい――」
すっと、視線が鋭くなるイルガス。
それを真っ向から受け止めるショウコさん。
「……それは、昨今の私の知識が申す限りでは、
西と北が引き起こした『西北戦争』のことで、
間違いはございませんか? イルガス参謀長」
「ああ。我々は突然『西』から宣戦布告を受け、
イズミ殿下の指令の元、それらに迎撃応戦した」
「結果、大敗――『北の魔王』タドコロ・イズミは
西の領地に捕らえられ、家臣たるあなたがたが
皇女殿下を地下牢から奪還、『不快』などとの
戦闘を経て今に至ると……」
くすっと含み笑いを浮かべたショウコさんが、
『不快』に――ゴーディに視線を向ける。
彼はこの会議室に入ったときから、
誰とも視線を合わせずうつむいた
ままだった。
「くっ……そうだ。あなたの使役精霊に助けられて手前、
文句は言えない。だが、あなたは『西の勇者』の行動の
動機を知っていて、それを話す義務がある――違うか?」
「ええ、ですのでお話しましょう。現『西の勇者』、
ユキミヤ・リョウヘイと、次代『西の勇者』ホカリ
セイタについて―……」
「ちょっと待ってくれ」
そこで挙手を上げたのは、
西の出身であり一時『不快』の主でもあった、
『魔法剣士』の実力を持つクライスだった。
「俺は、ホカリが『勇者』だとは認めていない」
始まった、とぽつりとゴーディが呟いた気がした。
「ホカリは実績、実力ともに勇者には
そぐわない。勇者に――『真の勇者』に
相応しいのは、この俺だ!」
精悍だった会議室で、彼は
初めて大きい声を張り上げた
人物だった。うむ、ハズいぜ。
「……あなたは確か、ホカリ・セイタと
ともに『西北戦争」に加わった志願兵、
でしたね?」
「学徒のな。あの戦場で、ホカリは失態を犯した。
わけの分からない能書きをたれ、一人で勝手に突撃し、
仲間を……クラスメイトを窮地においやった大罪人だ」
彼のその双眸は、怒りで彩られていた。
そもそも私は彼が『西北戦争』に参加
していたこと自体が初耳だった。
私があの戦争で対敵したのは
何人かの魔法使い――そして、
ユキミヤ・リョウヘイだけだ。
なにやらゲイブと一悶着あったらしく、
この会議が終わったら再戦を希望
しているらしいが―……。
彼がひとりでに『ホカリ・セイタ』の
情報を漏らし始めたのは行幸だ。
このまま黙って、行く末を見守ろう。
……という意味をこめて、イルガスに
視線を送る。「了解」と頷いてくれた。
[NEXT、第2ラウンド]




