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北の監査官は別れたオメガ妻に未練があるらしい  作者: 茉莉 あまね
第10章 レオンハルトへの疑惑

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第59話 告白の先にあるもの

「で、では、ヴォルン院長がリオンを……?」


「安心しろ。リオンは人質だ。丁寧に扱われるはずだ。我々はすぐに国境へ向かおう。レオンハルトはリオネルと馬で行け」


「はい!」


愕然とする僕の手を引き、レオンハルトが歩き出した。


「あ、あのっ、待って!」


僕は歩みを止め、ノルディア領主アーヴィン・ロウを振り返った。


「リオンが息子だと……どうして、わかったんですか?」


「……あの子は君たちにそっくりだ。気づいていないのはレオンハルトくらいだろう」


「えっ? 今、なんと? リオネル……どういうことだ。まさかリオンは?」


レオンハルトが僕に向き直り、信じられないという表情を浮かべる。


「教会担当の監査官であるカーヴェル副院長がこの四年間、教会に従事していたリオネルと、わざと距離を取っていた理由はそれだ。彼女はリオネルの元夫レオンハルトの親戚の、元婚約者だ。リオネルと懇意にして不正を疑われるのを嫌ったのだろう。


だがカーヴェル副院長は、リオネルのことを常に気に掛けていたはずだ。とつぜん現れたリオンという孤児の事情を察していたのだろう。だから今回、孤児院の事業に力を貸すことにしたんじゃないのか。リオンを見たら、なおさらだ」


「……っ!」


アーヴィン・ロウがカーヴェル副院長の想いを推察した。

彼の推測は、おそらく当たっている――。


なんてことだ。僕とレオンハルトだけが気づいていなかったなんて。

では、アーロンも?


わざわざリオンの髪と目の色を変えたのに――。

隠そうとした努力がまったく意味をなしていなかったことに、愕然とする。


ルクス神学院では一番だったくせに、なんてまぬけな顛末なんだろう。

心の中で、自分自身を叱咤する。


「リオネル……本当に? リオンは私の……!」


レオンハルトが僕の両肩をつかみ、問いただす。

もう言い逃れはできない。

僕は小さく息を吐き、レオンハルトを見上げた。


「本当だ。リオンは……僕とレオンハルトの子供だ。離縁してすぐに妊娠がわかった。勝手に産んで……ごめんなさい」


「なにを言うんだ! 私は……おぉっ……リオネル! どうもありがとう。人生で、こんなにうれしいことはない……。一人で産んだのか? 私がもっとしっかりしていれば……リオネル、本当に申し訳なかった。これからは、君と息子のリオン、三人を大事にして、一緒に暮らしていきたい」


「レオンハルト……」


レオンハルトが僕を抱きしめた。

このような状況でなければ、心からうれしい。


だけど、僕はさきほどレオンハルトから衝撃的な告白を受けたばかりだ。

それに、ヴォルン院長の話がすべて嘘だとも思えない。


僕はどうしたら――。


うれし涙を流すレオンハルトとは対照的に、僕の心の中に嵐が吹き荒れていた。

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