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北の監査官は別れたオメガ妻に未練があるらしい  作者: 茉莉 あまね
第5章 証拠なき冤罪

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第27話 消えた証拠と青き魔法使い

「ヴォルン院長、おはようございます」


「レオンハルト! たいへんなことになった」


「……っ!」


レオンハルトとともにヴォルン院長の部屋を訪れた僕は、院長のあわてた様子に胸がざわついた。


「どうされたのですか」


「私が首都セラフィオンから持ち出した、四年前の本物の財務監査報告書だが……魔法で改ざん箇所がすべて消えているんだ」


「なんですって!」


「……っ!」


ヴォルン院長は、巨大な机の上に例の立派な冊子を広げた。


「毎朝、欠かさず点検している。今朝、見に行くと……」


「たしかに……筆跡がすべて、リオネルの父親アルヴィオン公爵のものに変化しています。しかも、もとの数値が消え、足された数字に完全に置き換わっている……」


本当だ。どうしよう。

父上の冤罪を晴らす証拠が、全部、消えている。


「かなり高度な魔法だ。魔法院に協力を求めた」


「えっ?」


ヴォルン院長の言葉に、レオンハルトが驚いたように目を見開く。

どうしてだろう。


ザザッ――。


「んっ?」


レオンハルトが素早く身をひるがえし、たくましい腕で僕をかばった。

そのとき、カチャッと音がして、院長室の奥の扉が開く。


「ひどいなー。彼を見せないつもり?」


「アーロン、いるならいると言え」


姿を現したのは、青く長い髪の男。僕たちと同じくらいの年齢で、瞳も同じ青色をしている。


「んっ? 青い髪……ルクス神学院の天才魔法使い?」


「リオネル、知っているのか」


「皆がよく騒いでた。レオンハルトと同じくらい目立つ人物だって」


そういえば、レオンハルトのかたわらにいつもいた生徒だ。


「それは話が早い。初めまして。元の奥さんだよね? 婚約者が許可してくれるなら、リオネルって呼んでもいいかな?」


「……っ!」


今、この男はなんと言った?

では、この魔法使いが――。


アーロンはゆっくりと僕たちに近づいてくる。

その顔立ちは驚くほど美しい。


やはり、彼こそが――。

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