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北の監査官は別れたオメガ妻に未練があるらしい  作者: 茉莉 あまね
第3章 追放の地で芽吹く命

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第17話 北国に眠る陰謀

「そ、それは……まずいんじゃないですか。僕は……」


「汚名返上のチャンスだ。うまくいけばアルヴィオン家を復興できる。首都セラフィオンへの復帰も可能だ」


「僕は、このままこの土地で生きていきます」


強く首を横に振り、断る。

僕にはもともと野心などない。

それに、出しゃばればリオンに害が及ぶ可能性がある。それだけは絶対に避けたい。


「リオネルは私よりも優秀だった。その才能を、こんな最北の僻地で埋もれさせるのはもったいない。私が王に直訴して実現した採用だ。だから、これは王令だ。リオネルに断る権利はない」


「……っ!」


レオンハルトの瞳が、有無を言わせぬ光を宿す。

かつての彼は、こんな男だっただろうか。


「しかし……」


「一緒に監査院に来てくれ。皆に紹介する」


「ええっ!」


「リオンも連れていこう。孤児院の実情を訴えるチャンスでもある」


「リオンはだめです!」


「なぜだ? とても人懐っこい性格だ。人がいても泣かないだろう? なあ、リオン?」


「うん! 僕も行きたい! かんさ……」


「王国監査院の別院だ。もともとはこの地に、ルミナリア王国監査院の本部があった。私たちの一族が陥れられた陰謀の中枢かもしれない場所だ」


レオンハルトの瞳が厳しい光を帯びる。

彼はリオンを抱いたまま、僕をじっと見つめた。


「レオンハルト……?」


「リオネル……協力してくれ。私と君、そして私たち一族の未来がかかっている」


「で、では……!」


ハシバミ色の瞳がさらに輝く。


「そうだ。私は四年前、私と、私の妻だったリオネル……両家の一族を陰謀により追いやった者たちを罰すべくやってきた。この北国に証拠があると確信している」


「だけど……いまさら」


レオンハルトは王国監査院で立派に出世した。

貴族の婚約者もいる。

過去は忘れたほうが、彼のためだ。

僕のことも、もう――。


「リオネル……頼む。君の協力が必要だ。二人で悪を暴こう。ルミナリア王国の未来のために!」


「……っ!」


未来は、リオンの世界でもある。


ハシバミ色の瞳に見つめられ、僕は首を縦に振るしかなかった。

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