潮待ちのレール ― 島影をわたる風 ―
最新エピソード掲載日:2026/05/17
亡き父の沈黙と、夏の港に置き去りにされた少女・千紘の記憶に触れた相沢湊は、冬の終わり、再び瀬戸内の港町・春口へ戻る。
宿を営む三崎汐里のもとに届いたのは、母・澄江を知る島の老人からの短い便りだった。そこには「冬の便があるうちに来てほしい」とだけ記されていた。
湊と汐里は、春口から列車と船を乗り継ぎ、志々島のさらに先にある小さな島を訪れる。そこで明らかになるのは、澄江が春口の人である前に、島の家名を持つ人間だったという事実、そして春口と島々を結ぶ移動の網の中で、千紘もまた“預けられ、動かされる子ども”として生きていた可能性だった。
さらに、澄江はかつて「届かなかった一通の手紙」を確かめるために何度も島を訪れていたことが判明する。その手紙は、湊の父が書いたものだったのかもしれない。だがそれは、宛先のほうが先に移り変わってしまったために、島の旧姓宛のまま留め置かれた可能性があった。
島の名で呼ばれることを恐れながらも、呼ばれないままでは千紘を置いてきた気がしていた澄江。
春口で暮らしながら、島の名と春口の名のあいだに生きた母の姿を、汐里は初めて一人の人間として受け取り直していく。
一方、湊もまた、春口が単なる“戻る場所”ではなく、帰り先を一つに決められない人々の港であることを知る。
海と鉄道のあいだで、名を変え、家を変え、それでも古い呼び名を失わずに生きる人々。
『島影をわたる風』は、島を出た者、島へ親類を残した者、そして帰れない名を抱えた者たちの静かな人生を描く、シリーズ第三作である。
宿を営む三崎汐里のもとに届いたのは、母・澄江を知る島の老人からの短い便りだった。そこには「冬の便があるうちに来てほしい」とだけ記されていた。
湊と汐里は、春口から列車と船を乗り継ぎ、志々島のさらに先にある小さな島を訪れる。そこで明らかになるのは、澄江が春口の人である前に、島の家名を持つ人間だったという事実、そして春口と島々を結ぶ移動の網の中で、千紘もまた“預けられ、動かされる子ども”として生きていた可能性だった。
さらに、澄江はかつて「届かなかった一通の手紙」を確かめるために何度も島を訪れていたことが判明する。その手紙は、湊の父が書いたものだったのかもしれない。だがそれは、宛先のほうが先に移り変わってしまったために、島の旧姓宛のまま留め置かれた可能性があった。
島の名で呼ばれることを恐れながらも、呼ばれないままでは千紘を置いてきた気がしていた澄江。
春口で暮らしながら、島の名と春口の名のあいだに生きた母の姿を、汐里は初めて一人の人間として受け取り直していく。
一方、湊もまた、春口が単なる“戻る場所”ではなく、帰り先を一つに決められない人々の港であることを知る。
海と鉄道のあいだで、名を変え、家を変え、それでも古い呼び名を失わずに生きる人々。
『島影をわたる風』は、島を出た者、島へ親類を残した者、そして帰れない名を抱えた者たちの静かな人生を描く、シリーズ第三作である。
第一章 ふたたび、海の先へ
2026/05/06 15:00
第二章 冬の便
2026/05/07 15:00
第三章 届かなかった手紙
2026/05/08 15:00
第四章 旧姓の島
2026/05/09 15:00
第五章 消えた航路
2026/05/10 15:00
第六章 潮の家名
2026/05/11 15:00
第七章 風待ちの渡し場
2026/05/12 15:00
第八章 帰れない名
2026/05/13 15:00
第九章 山側の町
2026/05/14 15:00
第十章 島影のむこうの家
2026/05/15 15:00
第十一章 帰り先のない地図
2026/05/16 15:00
第十二章 風の帰るところ
2026/05/17 15:00