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鉄塊チートの異世界ジャーニー  作者: くえお
第五部 鉄勇者の果断
212/214

第202話  『静謐の意味』

世の中、話し合いで解決することばかりではない。

少なくとも、討伐軍と賞金狩りと賞金首の関係では。


「貴様は某には勝てん!!!」

スケルトが柄にもなく吠えた。


「ちっ! 俺の獲物だってんだろがい」と、色男が構える。


「仕方ない」

収納から疲労の斧を取り出す。

さて、効果はあるのだろうか。


スケルトの「スキルレス」。神聖教のスキル封じとは違う。


範囲効果で範囲外には影響はない。

自らの意思でオンオフできる。

スキルが強制的に使用不可になる。


俺が知っているのはこれだけ。

あとは感覚的にスキルを封じられる気持ち悪さだけ。


右手に力を込めるが、鉄が動く気配はない。


鉄が出せない。


この理屈を解き明かせない限り、スケルトには勝てない。


少なくとも考えうる戦術としては、一旦、スケルトの能力の範囲外に逃げ、鉄を錬成して戦うくらいしか思いつかない。


範囲外から、超重量の鉄の塊をぶつければ、さすがのスケルトも避けようがないだろう。


だがこの戦術には決定的な欠陥がある。


スケルトが範囲外まで俺を見逃してくれるはずがない。


さらにいえば、遠くから鉄を落としたところで、避けられる可能性すらある。身体能力が高いスケルトが上空からの落下物を悠長に眺めているとは思えない。


高速でぶつけられるならまだしも、そうなると、今度は俺のスキルの射程が足りない。


起死回生の策を探りながら、なんとか耐える必要がある。


そして厄介なのはこの男。ドラコだった。


こいつはスキルなしもで強い。あの槍は神樹武器。スキルレスの影響はないと思った方が良い。


ドラコがスケルトに文句を言う。

「オジキはでしゃばんなよ。もう一度いう、俺の獲物だ!」


この隙に。


バックステッポでカカっと戦線を離脱しようとした俺に、槍が向けられる!!


「逃げんな!」


地面が抉られる。クソっ、隙がない。


スケルトがその隙に大剣を振りかざして俺を追い込もうと踏み込んだ。


「俺の獲物だっつうの」

と吠えて、ドラコがスケルトの大剣を弾いた。


「貴様! 邪魔をするな!!」


スケルトは大剣を構え直して、ドラコを睨んだ。


俺はこの隙にと、斧を振りかぶってドラコの懐に飛び込もうとした。

が、スケルトの大剣が差し込まれ、慌てて避ける。


「貴様の相手は俺だ」とスケルトが凄む。


忌々しそうな顔のドラコ。

無表情のスケルト。

二人を警戒する俺。


動きづらい。

三すくみの様相だ。


「おいスケルト。引け。今なら水に流す」

俺が言うと、スケルトは「くどい!!」と怒鳴り返す。


「おい、あんた。一度、ゆっくり話そうぜ。詫び入れるからさ。事故なんだ。わかってくれよ」

とドラコに言うと。


「へ。そんなもん今更どうでも良いぜ。熱い時間に比べりゃよ。徹底的にやんぜ、なあ。勇者さんよ」


「ッツ? 勇者ってお前、知らないんじゃないのか」


「馬鹿野郎。クロガネって名前くらい知ってるぜ。あんた、そこそこ有名人の自覚持てよ」


ドラコがスケルトに向き直り、言う。


「オジキ。あんたはもう国を離れてんだぜ。こんな美味しい獲物をかっさらうなんざ、親父が許しても俺が許さねえ。城を壊されたとか、そんなのどうでも良いんだよ。こいつは強い。それだけで十分なのさ」


「・・・・」スケルトが無言でドラコを睨む。


ああ、こいつはアカンヤツだ。典型的なバトルジャンキーだ。

俺は内心で頭を抱えていた。


膠着状態が続くかに思えたが、突然、スケルトが折れた。


「・・・・わかった。ドラコ。貴様に譲る。おもうままるが良い」

と、大剣を地面に刺し、そのまま後ろへ下がった。切り株に腰掛けて続きを言う。


「ドラコが勝てばそれでよし。その後、ゆっくり処遇を話そう。ドラコが負ければそれがしが出る。これでよかろう」


と俺の意見は無視で話を進めた。


とほほ、だぜ!


槍をびしっと俺に向けてドラコが言う。

「はっはっはああ。オジキ恩にきるぜ。不完全燃焼が一番嫌いなんだよ!」


「スキルを戻してやる、クロガネ。思う存分、力を使い果たしてくれ」

と、スケルトは老獪にニヤリと笑った。


――――


俺の鉄の触手を次々に切り裂いていく。


槍が唸る。


その動きは、以前戦った竜鞭アッシュナードを超えている。あっちは多頭だというのに、一つの槍でできる可動域ではない。


その動きで思い出すのは、鉛筆のトリック。鉛筆を揺らすと曲がって見えるという有名なあの錯視だ。


槍がうねるんだぜ? 曲がっているとかではなく、波打ち、蛇のようにくねる。


実際はおそらくそこまで曲がっていないはず。


打ち合った感触でいえば、槍の柄は相当硬い。


俺も触手の数を増やして応戦。そして冷気を纏わせていく。


「つうか、ここまで短時間で合わせてくるやつは初めてだ。だが勝負は此処からだ」


ドラコは懐中から何かを取り出した。


「まあ、自分のエモノの弱点くらいは知ってるぜ。でな。それを放置するのは、アホウだ。おれは馬鹿じゃねえ。だから、これよ」


それはCDくらいの大きさのリングだった。


ドラコはそれを槍に通した。穂先までリングがくると、ぴたりとハマった。


その途端・・・


ボウ!!!と音を立ててリングが燃えた。


それも青い炎で。


ドラコがにやりと微笑む。

「神樹武器 静謐槍フリージア 第二形態 炎霧槍フリージア。いざ、参る」


槍の穂先が燃えている!!


そして、水蒸気が立ち登る。


ぐっ! これじゃあ凍らねえなあ。


びしゃんと頬に水がかかる。


「あつうううううう」これ熱湯じゃねえか。


「はっはっは。斬れる霧が熱湯になるんだぜ。どうだ。感想を言えよ」


くっ。


激しい槍捌きをなんとかしのぎながら考えようとする。


だが、撒き散らされる飛沫が、やけどレベルの高温で、まともに集中できない。むしろ槍に集中しなければ、一気に切り裂かれる!!


こいつ・・・つええ。


身体強化をマックスに! 鉄を分厚く展開!


相手の周りにどんどん鉄を生成していく。


どんどん切り裂かれていくが、お構いなしだ!!


こうでもしないと、すぐに殺される。


ドラコの周囲に壁を作り、そこから鉄針を射出。一つや二つでは済まない。何十もの鉄の針が敵を狙う。


だが、ドラコは超常の槍捌きで、全てを折っていく。


「はは、こんなもんか。おらよ」

と軽く振り抜けば、鉄の壁が斜めに切れて、崩れた。


くそおおお。


すぐさまメルトダウンして、鉄を戻す。


そうか。相手の真似をしようと思いつき、鉄を溶かして、高熱にした。


マグマのような鉄がドラコを襲う!!


さすがに液体は切れまい!!!


ザン!!!!


「舐めんなよ」と一閃。


湯気が鉄のマグマを巻き取って、そのまま固めてしまう。


「熱を操れるのが自分だけと思うな。初歩だぜえ」


急速に温度が下がる。


見ると穂先の炎が消えている。そして・・・。


目に見える大きさで、雪の結晶が空中に浮かんがでいた。


急速冷凍にも程がある!!!


「静謐槍フリージアの本領は、霧じゃねえ。冷気なんだよ」


どん。と槍を地面に突き刺した。


ぐうう。なんだこれは・・・。


気温が急激に下がり、息が白くなる。


「周囲を絶対零度まで冷やす。てめえ、足をみろよ」


「なに!!!」

俺は自分の足を見て戦慄した。


膝まで氷に覆われ、霜がおりている。いつの間に!? 冷たさすら感じない。


「あまりに急激に温度が下がると、人はそれを感じられない。ただ体が重くなり、次第に眠くなる。どうだ。もう動けないだろ」


ぐおおおおお。

こうなれば、鉄を高温にして温め返してやる!!!


が、一向に火がつかない・・・なんだ!?


一瞬スケルトを見たが、スケルトは首を振った。


「オジキは関係ねえよ。温度が下がりすぎると、もう熱はつかねえ。無理だ」

ドラコは平然とした顔で残念そうに言った。


「この技を使うと・・・終わるからな。使いたくなかったが・・・潮時だ。悪く思うなよ」


ドラコが槍を地面から引き離し、肩に担いだ。


「じゃあな。楽しかったぜ」

俺に近寄り、槍を振りかぶった。


と、同時に。


「離れろ!」とスケルトが叫んだ。


さすがドラコ。その声に反応して、飛び退いたが、俺は足が凍って動けない。


眼前で、爆発が起きた。


ドフォオオオン!


火炎を巻き上げて爆風が俺を襲う。


「ぐお!!!」


衝撃で吹き飛ばされる。足元の氷がバキバキと折れた。


咄嗟に顔を覆ったが、破片が肘や腕に突き刺さる。


「大丈夫ですか」という聞き慣れた声と共に、抱きつかれた。


「お前、やりすぎだろ? これ」


俺は、田中の顔を見た。


「仕方ないでしょ。これしか思いつかなかったんだから」


スケルトが立ち上がり叫んだ。


「田中! くそ、もう気がついたか。侮ったか」


それにしてもよくスケルトの気配察知に引っ掛からなかったものだ。


「スケルトさんは僕が相手をします。なんとかこの人に勝てますか?」

と田中が聞く。


誰に聞いてんだよ。当たり前だろ。


「ドラコオオオオ!!! てめえは俺を怒らせた!! もう手加減しないからなあああ」

と俺が叫ぶと、

田中が小声で

「死にかけたのによく偉そうに言えますね」と突っ込んできた。


こうでなくちゃ。


ーーーーーーーー

クロガネが雄叫びをあげてドラコに襲いかかる。


田中はそれを見ながら、視線をスケルトに向けた。


少し離れた場所にいたスケルトがつぶやいた。

小声だったがその声は、なぜか田中には、はっきり聞こえた。


「寝ていれば良いものを・・・小僧」

スケルトが立ち上がり、眼前、地面に刺さる大剣を抜いた。


田中は飄々とした顔で言う。


「こんにちはスケルトさん。考えてみれば、僕ってスケルトさんの天敵ですよね。僕しか貴方を倒せない。僕しかね」

柔和な顔を向け、笑顔のままで田中が言った。


高校時代のあの頃。トイレに駆け込んで震えていたときと違い、田中は堂々と強敵に微笑むことができるようになった。






【マッチアップ途中経過】

鉄の勇者 v.s 強制無能  v.s  シーワルド最高戦力アオランサー

途中乱入 FUMIHIKOちゃん


結果

鉄の勇者 v.s シーワルド最高戦力アオランサー

強制無能  v.s FUMIHIKOちゃん


to be continued...


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