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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【驚動編】 第3章 竜王誕生
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20 ”彼ら”の視点

 はじめ、それは小さな惑星に住む、いくつかの微小な生物群に過ぎなかった。

 矮小な惑星から見て、なお小さな彼らは、そこで共生関係を敷き、群体によるコロニーを作り、日々を過ごしていた。


 何億年もの歳月が流れた。

 小さな惑星の中での話である。天敵らしい天敵もいなかったおかげで、彼らは徐々にその勢力を増やしていった。

 進化した彼らは、互いに融合、分離することで自らが持つ情報や、自らの生物的特徴をやり取りしあえるようになっていた。


 その力が、彼の運命を大きく変えることになった。


 小さな惑星の中で、ゆっくりと繁栄を謳歌していた彼らであったが、終わりは突然訪れる。

 惑星が寿命を迎えたのである。


 自らの住処を失った彼らであったが、その小さな肉体は宇宙空間に適応することに成功していた。

 彼らの故郷は小さな星であり、大気もごく僅かにしか存在しなかったため、彼らの住処と宇宙空間とでは、致命的な違いはあまりなかったのである。


 宇宙線などの障害もあるにはあったが、突然変異によって適応した生物が、融合による情報共有を行ったことによって、それらの問題はまたたく間に解決した。


 ◇ ◇ ◇


 故郷を失った彼らは、宇宙をさまようことになった。

 様々なトラブルに見舞われながらも、その都度彼らは、その持ち前の能力を使って種を存続し続けていた。


 進化の過程で、肉体のほとんどは失われていた。種としての違いも、ほぼわからないほどに、同一化が進んでいた。


 彼らは放浪の中でも進化を続けていたが、その進化の方向性は、その小さな身に、できる限り多くの情報を蓄積できるように…と舵取りがされていった。

 それは彼らの故郷が失われた際、一部の種が障害への対抗策を持っていたために、結果として多くの種を救えたという経験があったからであった。


 何千万年もの歳月が流れた。

 やがて、彼らは自分以外の種と遭遇することに成功した。


 その種は、彼らと同様に自らの母星を失った者たちであった。

 似たような境遇の存在であったが、情報共有能力を持っていなかったその種は、すでに滅びの道を歩みはじめていた。


 彼らは、その種を自らの内に取り込んだ。

 自らが持っていない情報を取り込むこと。それは気が遠くなるような放浪の中で、ある種の情報生命体と化した彼らにとって、本能のようなものであった。


 母星にいたころから他種との融合が可能だったその力は、その滅びかけた種にも有効だった。


 ◇ ◇ ◇


 何百万年もの歳月がながれた。

 はじめての異種との遭遇の後も、彼らはいくつもの他種族と邂逅を果たしていた。

 その都度、彼らはその種を取り込み、それらが持つ情報を自らのものとしていた。


 進化の過程で、情報に対する貪欲さをさらに増やしていた彼らは、遭遇した種の全体ではなく、その一部を取り込むという方針を持って宇宙を放浪していた。


 遭遇した種がさらなる進化をした際に、その情報を再び得られるようにしておいた方が、彼らの生存において有利に働くと判断したのである。


 また、群体として活動していた彼らは、自らを複数のグループに切り離し宇宙に拡散することを決めた。

 兎にも角にも、多くの情報を獲得したいという、彼らの生存本能がそう判断したのであった。


 こうして、宇宙の中での彼らの勢力は加速度的に広がっていった。


 ◇ ◇ ◇


 何十万年もの歳月がながれた。

 その間にも、彼らは数多くの種と遭遇し、情報を手にしていた。

 宇宙を放浪しながら、彼らはこの宇宙の情報をできる限り多く手に入れられるように、そして自らができる限り多くの情報を貯め込むことができるように、振る舞い続けていた。


 ◇ ◇ ◇


 宇宙の放浪を続け、順調に情報を集めていた彼らであったが、ある日、予想外の障害に遭遇した。


 過去に、情報を受け取った種の一部が滅んでいたのである。

 ただ、滅んだのならば、対して大きな問題ではない。


 しかし、その滅び去った種族は、彼らの見立てにおいて、あと数億年は生き延びることができると考えられていたのである。


 さらに、不可思議なのは、その種が滅んだ理由であった。

 彼らの絶滅の原因は、個体数を減らしたわけでも、進化を間違えたわけでもなく、突然に住処の惑星の環境が激変したためであった。


 安定した星だったはずである。少なくとも、滅びた種族が生きていく分には…


 その後、彼らはこのような環境が変化した――それによって在来の種族たちが滅んだ、星々を立て続けに発見することになった。

 しかも、その一連の星々は、全ての環境がある方向性に向かって変化するように、外的要因によって滅ぼされていたのである。


 彼らにとって、それは望ましいことではなかった。

 そもそもの融合による情報を得られないばかりか、環境のパラメーターを画一化されてしまったために、新しい情報を得られなくなってしまったのである。


 発展を阻害するものがある。

 彼らは本能的にそれを理解した。


 ◇ ◇ ◇


 その障害の原因となる存在は、すぐに見つかった。

 彼らは、ある生物種が惑星の環境を破壊する場面に居合わせたのだ。


 とある惑星に生物種を見つけた彼らであったが、その種は彼らが惑星に到着するよりも前に、目的地の惑星を攻撃し、その環境を変化させていた。

 その惑星に住む生物に目もくれず、情報も得ようとせずに惑星環境を激変させたのだ。


 彼らは、その存在を興味を持った。

 その種が、どのような本能で他種を攻撃するのか、それが生存戦略にどう影響しているのか、情報を得る必要があると判断した。


 すぐさま、彼らは動き始めた。

 自らのうちにある情報を駆使して、強靭な肉体を持つ器を作り、それを使ってその種と邂逅することを決めたのである。


 そうして、彼ら――宇宙怪獣と、人類は遭遇したのであった。




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