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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【驚動編】 第3章 竜王誕生
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16 母なる惑星、その歴史

 ◇ ◇ ◇


 恒星系超長距離ワープ航法の発見により、人類はその文明の段階を数段、発展させることとなった。

 人々は超長距離ワープが可能な開拓船に乗り込むと、その版図を宇宙に広げていった。


 それから数世紀の間、人類はひたすらに己の生存領域を広げた。惑星開拓の技術も発達したことで、人類が生存できる惑星も増え、その人口は5000億にも届こうとしていた。


 変化が起きたのは、現在から250年ほど前のことであった。

 新星団を開拓するために飛び立ったある開拓船団からの通信が途絶したのだ。はじめ、銀河連合開拓局の職員は宇宙嵐の発生を疑った。

 だが、開拓船団が航行していたエリアは、安定した宙域であり、また通信が途絶する直前までのデータでも、不審な点はなかった。


 続いて職員は、宇宙海賊による襲撃を疑ったが、途中でその案はありえないことに気がついた。船団は150隻の開拓船によって構成された大船団であった。護衛の船もついており、いくら規模の大きい宇宙海賊だとしても、これらを相手取ることは不可能に近い。


 では、何が起きたのか…その答えを人類は、すぐに知ることとなった。

 3日が経っても船団と連絡がつかないことから、開拓局は足の速い船を数十隻用意して、船団の航行予定路を追いかけることにした。


 そして、通信が途絶したエリアまで訪れたところで、彼らは見た。

 一隻残らず破壊され尽くした、開拓船の残骸たちを。


 その場所を訪れた開拓局の人間達は、はじめ、船団に何が起きたのか理解できなかった。宇宙嵐でも、宇宙海賊の仕業でもない。破壊された開拓船の状況は、彼らが知るあらゆる船の損壊とも異なっていたのだ。


 ある船は、船体に大きな爪痕のようなものが刻まれていた。隕石の直撃にしては不自然すぎる傷だ。

 他にも船の中心部に大穴を開けられた開拓船の残骸は、一見するとレーザー砲によって破壊されたようにも見えたが、直径50メートルを超すレーザー砲など、彼らは見たこともない。


 事故の調査をするにも、何が起きたのかさっぱり分からない。

 結局彼らは、本部に自分たちが見たありのままを伝えると、調査隊の増援を希望した。


 しかし、彼らの要望は答えられることはなかった。

 正しくは、事故原因を調査する必要がなくなったのだ。


 それは同日、まったく別の場所を航行していた開拓船団が、ある新種の生物から襲撃を受けたという情報を、人類が入手したからであった。


 襲撃を受けた開拓船団は、はじめ消息を断った船団同様の運命を迎えたが、数隻が生物の攻撃から逃げきり、彼らが飛び立った惑星へと戻ってきていた。


 記録映像を見た、高官たちは絶句をしたという。

 その生物は宇宙空間で生存ができる強靱な肉体を持ち、宇宙空間内を飛び回ることのできる器官を持っていた。複数種の外見が存在し、それぞれが独自の方法で開拓船を襲っていた。


 開拓局の人間達は、即座にこの危険生物の情報を全人類へと報告した。

 そして、彼らの呼称を宇宙怪獣としたのである。


 ◇ ◇ ◇


 その日以降、宇宙怪獣は次々と人類の前に姿を現すこととなった。

 彼らは、決まって人の多い開拓船を襲い、甚大な被害を与えていった。

 また、開拓を終えた惑星を襲い、その星に住む人々を皆殺しにするといった事件も数え切れないほど起きていた。


 宇宙怪獣の登場から約1年で、500億の人類が死んだと言われている。


 一方、人類側も宇宙怪獣への対策をはじめていた。

 元から存在していた宇宙海賊、その対策のために配備されていた護衛艦を発展させ、対宇宙怪獣用の艦艇を作り上げたのである。


 人類は、その持てる生産力を発揮して、各地にその戦闘艦を配備していった。

 結果、宇宙怪獣発見から5年が経つ頃には、宇宙怪獣の襲撃による被害は、最大時の10パーセント程度まで減ることとなった。


 宇宙怪獣に対する人類の反撃において、重要な役割を果たした惑星は、人類発祥の星、地球であった。


 人類が宇宙開拓を始めてから10世紀近くが経ったその時でも、地球の政治的な影響力は高いままであった。地球は各宙域での宇宙怪獣の被害をまとめると、各宙域への適切な戦闘艦の配備計画を立て、また実行したのである。


 これは地球が人類の繁栄圏の中心地にあったからこそ為しえた偉業だと言えるだろう。そして、この人類の中心地である惑星が、宇宙怪獣による被害を受けていなかったことも理由に挙げられる。


 だが、そんな日も長くは続かなかった。

 太陽系に、宇宙怪獣の大群が現れたのである。


 1000を超す宇宙怪獣の群れによる襲撃は、今まで人類が遭遇したことのない大規模なものであった。


 木星近郊に突如として現れた宇宙怪獣たちは、その足で火星に降り立つと、当時その星にいた人類全てを殺し尽くした。

 それは、情けも容赦もない、圧倒的な殺戮であった。


 火星の報道局からは、連日連夜、その地で行われている惨劇が送られ続けていた。彼らは自らの危機を報道することで、救援が訪れるのを待っていたのである。

 報道局からの放送は、宇宙怪獣がその地に降りたって、3日後に途絶えた。

 記録によると、宇宙怪獣の襲撃が終わったのはそれから4日後のことだったという。


 火星襲撃から7日後。

 宇宙怪獣たちは、火星から飛び立った。やつらの向かった先は、地球であった。 火星と同じような惨劇を、今度は地球を舞台にして行おうと、動き出したのだ。

 しかし、人類はその襲撃を予測していた。

 地球民は火星で宇宙怪獣による殺戮が起きている間に、銀河中から戦力をかき集めていたのだ。


 最新鋭宇宙戦艦10隻、宇宙戦闘機母艦8隻、宇宙巡洋艦60隻、その他小型艦艇200隻。


 それはその時の人類の約30パーセント分にも及ぶ戦力であった。

 地球は人類の戦力拡大の成果、その時の恩を餌にして、持てる限りのコネクションを駆使し、これほどの戦力を集めたのであった。


 集められた艦艇の中には、火星民を救援しようと動いていた所、急遽地球行きを指示された艦もいた。地球防衛を命じられた彼らのその時の心情は、記録には残っていない。


 そうして、火星襲撃完了から1日も経たないうちに、人類と宇宙怪獣は激突した。


 第1次太陽系会戦――人類の歴史上、ここまで大規模な戦いは過去例を見ない。圧倒的戦力を誇る人類軍は、襲い来る宇宙怪獣を壊滅し、劇的な勝利を飾ることになる…はずだった。


 後にドラゴン型と呼ばれるようになる新種の宇宙怪獣の出現により、人類は戦闘に参加した艦の9割と、地球を喪うこととなった。


 この戦いで、人類は120億の人命を犠牲にすることになった。


 その日以降、地球は宇宙怪獣の手に落ちたままである。

 地球陥落後20年の間に、4度に渡る奪還作戦が行われたが、その都度人類は大きな犠牲と、敗北の2文字をその歴史に残すことになった。


 以降、200年の間、地球奪還作戦は行われていない。

 以上が、宇宙怪獣の出現と地球に関する記録である。


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