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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【驚動編】 第2章 パルテノス恒星系防衛戦
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11 放送衛星防衛作戦

 ◇ ◇ ◇


 統一時間11月4日 21時15分。


 惑星アテナで繰り広げられていた戦闘は、徐々に宇宙怪獣優勢の様相を見せ始めていた。

 4体いたファブニールのうちの1体が、防衛線を突破したのである。

 本来であれば、ファブニールは敷設された機雷原に突っ込み、爆散するはずであったが、他の宇宙怪獣たちが先行して機雷原に突入し、自らの身を犠牲にしたことで、機雷を無力化したのである。


 機雷原を突破されたことで、巡洋艦はさらに後退する。

 ファブニールは巡洋艦には目もくれず、アテナ方面へと進んだ。

 巡洋艦所属の殲闘騎たちはファブニールの後を追おうとするが、それを隊長機が止める。


「隊長、いいのですか?」


「いい、命を無駄にするなというのが、司令からの命令だ」


「しかし…アテナが襲われてしまったら!」


「先ほど、司令から連絡が入った。精鋭の殲闘騎部隊がアテナ方面に配置されたそうだ」


「そ、そうだったんですね」


「それよりも俺たちは残った雑魚どもの掃討に集中するぞ! もっとも、雑魚相手でも命を落とす可能性はあるがな。司令からの命令は、守れよ」


「りょ、了解です!」


 同様の事態は、他のファブニールたちがいた宙域でも起こり始めていた。

 防衛線を突破したファブニールたちが、次々とアテナへと向かい始めていたのだ。


「ファブニールはいい! だが、他のやつらは一匹たりとも通すな!」


 戦いは、第二段階へと進み始めていた。


 ◇ ◇ ◇


「ファブニール、4体ともこちらに向かってるわ」


「やっぱり4…アタシの聞き間違いじゃなかったのね」


 ミソラはレーダーに映った表示を見て、ため息をついた。


「まったく、半年前は1体相手にボロボロにされたのに…今回は4体なんて、ぞっとするわ」


「作戦、本当にうまくいくのかしら…」


「さぁね、でも司令の言うことなら信じたいって思ったのよ」


「ミソラがそう言うのであれば、ワタシは何も言わないわ」


 現在、ミソラたちが乗るシグルドは惑星アテナの軌道上に浮かぶ外部通信用の放送衛星を背にして、敵の襲来に備えていた。


「とにかく、アタシたちの仕事は放送衛星に向かってくるファブニールを迎撃すること。それだけに集中すれば良い。ただし…」


「自分の命が一番だろ? 変わってるよな~」


 そうなのである。

 アリーヨは、ミソラたちに放送衛星の防衛を指示しながら、衛星よりも人命を優先する判断をくだしたのである。


 ファブニールは現在、放送衛星を狙っていると予想される。

 シグルドパイロットたちは、自身の命を優先しつつ、ファブニールの迎撃にあたること。

 今回の戦闘で敵に放送衛星が奪取されることについては、問題としない。

 ただし、ファブニールが惑星アテナへの襲撃を企図した動きを取るようなら、全騎総力を上げて、目標の殲滅をはかること。


 それが、今回の作戦の概略であった。


「司令は、ここでファブニールとの決着をつけようとは思ってないみたい…むしろ、放送衛星をジャックさせたいと思ってるような節もある…」


「ただ、ジャックさせた時が一番攻撃しやすいのも確かだろ…目標の動きが止まるわけだし」


「ん~…よくわからないね~」


「まぁ、あれこれ考えるのは戦いが終わった後にしましょう」


 重要拠点を敵の手に渡してもよいという今回の作戦は、パイロットたちにも衝撃を与えていた。

 しかし、あれこれ話をしていられる時間が、もう少なくなっていることにミソラは気づいていた。


「ファブニールが来るわよ。全騎、迎撃体勢に入って!」


 シグルドのレーダーが、近づいてくる敵影を捉えたのである。


 半年ぶりの再会、いつの間にか増えたみたいだけど…全員、ここで落としてやるわ!


 司令の作戦を聞いていたミソラではあったが、その内心では彼女なりの目的が立てられていた。

 それは、彼女の性格からすれば、自然なものであった。


 それぞれの思惑が重なりながら、半年ぶりの戦いが、始まろうとしていた。




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