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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【驚動編】 第1章 争いの中で
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9 次の戦場へ

 ◇ ◇ ◇


 対宇宙怪獣用近接兵器グラムは一見するとただの実体剣である。

 しかし、この兵器は宇宙怪獣を確実に倒すための機能が盛り込まれていた。


 その秘密はエメラルドグリーンに発光する刃にある。

 グラムの刃はアスガルズ恒星系で発掘、改良されたグリンブルナノメタル粒子を使用している。その正体は超高密度に圧縮された粒子金属であった。


 グラムの刃は、熱を持つことでその粒子を周囲に放つ。

 さらに、細かい粒子は固い皮膚に対しても容易に侵入することが可能である。

 この剣で斬られると、ナノメタルが体内に侵入する。

 ナノメタルは、急速に目標の体内で拡大すると、やがて爆発を起こすのである。


 結果、グラムを振るうミソラのシグルドは、サラマンダー型の表皮を貫通する攻撃を行うことができていた。


「これで…6匹目!」


 シグルドがグラムを振るう。

 サラマンダー型の首が両断され、その後爆発した。


 シグルドの右側にいたサラマンダー型が、熱線を放つが…


「きかないのよ!」


 熱線はグラムの刃に当たると、拡散する。

 この特性も、ナノメタル粒子によるものであった。

 刃周辺に浮かぶ粒子が、高エネルギー体に触れることでそれを拡散させ、機体への攻撃を無力化するのである。


「良い武器じゃねーか、ミソラ! 俺にも使わせてくれよ!」


「ダメよ。見た目ほど、使うの簡単じゃないんだから」


「それにグリンブルナノメタルは高価よ。アレックスには任せられないわ」


「カンナ、勝手に会話に入ってくるんじゃねぇ!」


「それよりも、敵が近づいてきてるわよ!」


「わかってるっての!」


 ミソラに話しかけてきたアレックスが、近づいてきたサラマンダー型に応戦する。適切に距離を取り、至近距離での狙撃銃によって、徐々に体力を削っていく戦い方だ。

 アレックスは2騎のシグルドを率いており、その味方にうまく指示を出しながら戦っていた。これなら、あの宇宙怪獣は任せてもいいだろう。


「さて…それじゃあ、アタシは…」


 ミソラは、レーダーを確認する。

 同時に、クロウから手近にいる宇宙怪獣の情報が送られてくる。


「オーケー、アンタの言うとおりに倒してやるわよ」


 ミソラ騎は再び、剣を構えた。


 ◇ ◇ ◇


 統一時間11月4日 15時45分。

 アルゴナイタイ恒星系での宇宙怪獣の反応は消失した。


 現れた宇宙怪獣は全部で20匹。はじめに確認されたサラマンダー型だけであり、遅れて現れたものは存在しなかった。


 カテゴリー4とは言え、その数は多くはない。

 ミソラたちは追加の襲撃に備え、周囲を警戒したが、結局宇宙怪獣の痕跡は見当たらなかった。


 事件が起きたのは、18時15分。

 これ以上の宇宙怪獣の出現はないという判断がくだされ、ミソラたちが母艦へと帰投しようという時に起きた。


「ミソラ、ブリッジから緊急通信が来てる」


「開いて」


 ホログラムモニターに、艦長のマディの顔が映った。


「アカツキ大尉、緊急事態だ。パルテノス恒星系にファブニールが出現した」


「な、それは本当ですか!?」


「ああ、30分ほど前にやつを確認し、現在戦闘行動に入っているそうだ」


「やつは、単騎で現れたんですか!?」


「いや、カテゴリー2から4の宇宙怪獣たちを引き連れている。我々はベガとその戦闘機部隊を残して、これからパルテノス恒星系へと戻ることにした」


 マディの言葉と同時に、ミソラの脳に現在のパルテノスの状況が送られてくる。それは数値だけの情報であったが、かなりの激戦が繰り広げられていることがわかった。


「戦闘直後ですまないが、君たちには即座に帰投してもらいたい。収容が完了次第、我々は超長距離ワープを行い、パルテノス付近まで移動。戦闘機部隊には多段階超長距離ワープ装置を装備してもらい、本艦よりも先に戦闘宙域まで向かってもらいたい」


「了解しました。すぐに帰投します」


 答えながら、ミソラはシグルドの移動速度を上げる。

 他のパイロットたちも、同じ情報を受け取ったのか、ミソラに続いた。


「…ヴァルハラは大丈夫でしょうか?」


「なに、アリーヨ司令は名将だ。それにヴァルハラの戦闘力もバカにはならん。ただちにどうなるということはないだろう…だが」


 そこでマディは怪訝そうな表情を浮かべた。


「どうしたんですか、艦長?」


「いや、これはまだ不確定情報なんだが…」


 マディは、あることをミソラに伝えるべきかどうか、悩んでいる様子であった。

 ミソラはそんな彼の態度を見て、とっさにその情報はあまり良くないニュースなのだと理解した。


「不確定情報でもいいです。教えてください」


 だが、彼女は聞かなければならない。

 それが殲闘騎部隊を率いる彼女の使命であった。

 悪いことであれば、それを想定の上で作戦をクロウと相談することができるのである。


 マディは、まだ悩んでいるようだったが、モニター越しのミソラの表情に気圧されたのか、口を開いた。


「我々が固有の存在だと認識していたファブニールだが、やつは現在、少なくとも4体確認されているそうだ。驚くべきはそのどれもがシグルドの識別コードを持ち、同じ反応を示している」


 それはミソラの他、横で話を聞いていたクロウも信じることができない報せであった。


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