6 ミソラとクロウ
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統一時間11月2日 22時00分
迎撃艦母艦ヴァルハラから、切り離された三隻の迎撃艦、シリウス、カノープス、ベガは、アルゴナイタイへ向けての航海を始めた。
連続での超長距離ワープ機能を持たないこの3隻の迎撃艦は、これから約12時間かけて計4回の超長距離ワープを行い、アルゴナイタイ恒星系へと跳ぶ予定となっていた。
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作戦に備え、人が慌ただしく動き回る中、ミソラはシリウスの殲闘騎ハンガーにいた。
自らの愛機であるシグルド、その中に潜むクロウに会いに来たのである。
「もう…次の作戦には間に合うって言ったのに…」
現在のミソラは、不機嫌であった。
「なんで、シグルドⅡが今回は使えないのよー!」
それは、彼女が楽しみにしていた新しい相棒…シグルドⅡがこの作戦では使えないということが判明したからであった。
「しょうがないだろ。最終調整はヴァルハラでしかできないっていうし」
「うぅ…わかっているけど」
彼女がこのことを知ったのは、つい2時間ほど前であった。
作戦会議を終えて、シグルドⅡをシリウスへと移動させようとしたミソラを、ルーシーが止めたのだ。
「無理よ。まだ最終調整が終わってないの」
「でも、それはシリウスの艦内でやれば…」
「残念だけど、最後の調整にはヴァルハラの設備が必要なの。迎撃艦の出発が遅らせられれば間に合わせることもできるかもしれないけど…そんなの無理でしょう?」
「むぐぐ…」
「ごめんなさいね。もしヴァルハラがアルゴナイタイに行くのであれば、間に合わせることもできたのだけれど…」
そんなルーシーの言葉に、艦の割り振りを提案したミソラは、なにも言い返すことができなかった。
結局、ミソラはこの作戦では従来のシグルドを使用して戦うことに決定した。
「うぅ…シグルドⅡ…アタシの新しい機体…」
そのショックはなかなかに大きかったようで、現在もミソラはコクピットで悔しそうにクロウへ愚痴を言っていた。
「まぁ、いいだろ。新しい武器は持たせてもらったんだしさ…」
「うぅ…でもぉ…」
こんな表情を、ミソラは他のパイロットたちには見せていなかった。
それはミソラが、自身をいつも凜々しくあるべきだと律していたからであったが、クロウの前では、それ以外の一面も見せていた。
それはミソラがクロウのことを信頼しているために、無意識のうちに見せるようになったものであった。
「今回の艦で…今の機体で、アタシたちは勝てるのかしら…?」
そのため、ミソラはクロウに対しては自分の不安を口にするようにしていた。
「勝てるよ。ミソラと、俺がいれば」
不安そうな表情のミソラを見て、クロウは優しく答える。
「…アンタ、言うようになったわね」
そう言って、ミソラは笑う。無邪気な表情。他の隊員たちには見せない顔だ。
「ま、次の戦いも頼りにしてるわよ」
「おう、任せとけ」
我ながら、きざな返答だとクロウは思った。
だが、ミソラはそんなクロウを見て、安心したらしい。
シートをぱんぱんと優しく叩くと、コクピットを出て行ったのであった。
「…任せとけ、お前は死なせない」
無人となったコクピットで、クロウは1人そう呟くのであった。
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