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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【鼓動編】 第4章 悲しき戦い
68/126

30 シグルドVSシグルド

 ◇ ◇ ◇


 ミソラの一撃は、シグルドβが乗る長距離輸送ブースターグラニを貫いた。

 高エネルギーのレーザー弾が直撃したことにより、ブースターは暴走状態に陥り、やがて爆発した。


 ミソラは、爆煙から飛び出す機体を見た。シグルドβだ。

 グラニがやられたことに気がつき、すぐに飛び降りたのだろう。


 シグルドに宿る方のクロウから、データが送られてくる。

 目標に目立った損傷はなし。


「反応はピカイチってことね」


 戦闘の映像を見ていたので、ある程度予想はできていたことだが、実際に動きを見て、その反応の高さを実感する。


「相手にとって不足なし! 行くわ!」


 グラニを失ったことでシグルドβと、ミソラたちの距離は急速に縮まっていた。

 ミソラはタイミングを見計らうと、グラニから飛び降りた。

 そしてそのまま一直線に、シグルドβへ向かう。その手にはレーザーブレードが握られていた。


「クロウー!」


 すれ違いざまに、一閃。

 しかし、ミソラが振るったレーザーブレードの光刃はシグルドβには届かない。

 相手もまたブレードを取り出していたのである。


 刃同士がぶつかり合い、火花が散る。


 はじめの一撃を外したミソラ騎は、両腕で相手を押して距離をとった。

 相手も距離を取ろうと考えていたようで、機体を引かせる。

 二騎の間に数十メートルの距離ができた。


 体勢を整えたミソラは、再びシグルドβに斬り込もうとするが…


「…っ!」


 脳内に警告が響く。

 突撃するよりも早く、シグルドβは武器をレーザーライフルに持ち替えていた。


 咄嗟に、回避行動を取る。

 レーザーが機体すれすれの場所を通り抜けていく。

 クロウのバックアップが無ければ、今の攻撃は避けられなかっただろう。


 だが、一撃目を回避しても、次々と光の弾丸がミソラ騎を襲う。

 それは無計画に放たれたものではなく、ミソラの回避先をあらかじめ読んで撃たれたものだった。


「…なんて早さなのよっ!」


 ギリギリのところで、光弾を避け、時にはブレードで弾きながら、ミソラは毒づいた。


「でも…相手はアタシだけじゃないんだから!」


 シグルドβめがけて、レーザーが飛んできた。

 ミソラが撃ったものではない、ツヴァイが乗るシグルドが離れた場所から狙撃したのだ。


 直撃コース。

 しかし、シグルドβは機体を軽くそらすと攻撃を避けた。

 必要最低限の動き。時間にしてコンマ数秒の動作。


 それだけで致命となる一撃を回避したのだ。


 だが、このコンマ数秒の隙を、ミソラとクロウは見逃さなかった。


「隙ありぃ!」


 シグルドβが射撃体勢を整える前に、距離を縮める。

 先ほどはつばぜり合いが起きたが、今回は武器を持ち替える猶予は与えない。

 懐に入り込まれたシグルドβは、攻撃を避けることができない。


 確実に相手にダメージを与える一撃。

 しかし、シグルドβはまだ抵抗する手段を持っていた。


 機体がまばゆく光る。

 敵の目をくらます、フラッシュだ。


 これを使われると、視界を奪われたパイロットは一時的に行動が取れなくなる。

 先ほども、アレックスたちがクロウが乗るシグルドβを捕らえようとした際に、使われたものだった。

 しかし…


「同じ手が、通用すると思うなっ!」


 ミソラはすでに、その手を読んでいた。

 フラッシュが放たれる直前に、コクピット内のセンサーの感度を落としていたのだ。


 ミソラは手元を狂わすことなく、レーザーブレードを振った。

 その斬撃は、今度こそシグルドβを両断する。


 はずだった。


 ブレードが、光の残像を描きながら空を切った。


「かわされたっ!?」


 ミソラが確認しようとする前に、彼女の脳内にレーダーの情報が映し出される。

 シグルドβの反応、消失。


 攻撃が届かなかったことに、ミソラは舌打ちをする。

 やつには、この手もあったのだ。


 どんな方法を使っているのか分からないが、一時的に殲闘騎のレーダーからも、視界からも消える超高速での移動。


 相手を見失ったミソラは、追撃に備えるが…

 レーダーにシグルドβの情報が再度表示された。


 だが、ミソラの近くに、相手はいない。


「アイン!」


 シグルドβが再び現れたのは、ミソラやツヴァイから離れた場所にいた、アイン騎の目の前だった。


・作品の感想お待ちしております。またブクマ登録していただけると泣いて喜びます!

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