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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【始動編】 第1章 終わり、そしてはじまり
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4 ブリーフィング

 ◇ ◇ ◇


【ヒュプノス・タナトス恒星系 トランジットポイント】


 統一時間4月6日20時35分。

 クロウを含む、9名の殲闘騎(スレイヤー)パイロットがブリーフィングルームに集まっていた。


「先ほどこの宙域に宇宙怪獣が出現が確認された。ヤツらはヒュプノスを背にして、本艦へと一直線に向かってきている」


 迎撃艦シリウス殲闘騎(スレイヤー)隊長のゴードンは、ぼそぼそとそう告げた。

 注意しないと聞き取れないほどの声量だが、各隊員の前に浮かぶホログラムが彼の言葉を一字一句逃さず表示してくれるため、問題なく頭に入れることができた。

 ホログラム上ではこの宙域を描いたマップが開かれており、その上で20個のマークが動いていた。


「数は20体、うち17体がトカゲ型のカテゴリー1。残り3体がワイバーン型のカテゴリー2と判明した」


 宇宙怪獣は、その外観とサイズから大まかな名称、等級がつけられる。

 命名は第一発見者が報告時につけるのが慣例となっており、命名者は宇宙怪獣を見た時に、万人がその名称を容易に想像できる名前をつけることが望ましいとされていた。


「部隊は3騎編成で行う。カドモスα隊は私の、カドモスβ隊はミラー・コーネフ大尉、シグルド隊はミソラ・アカツキ少尉の指示に従え」


 マップ上に新たに9つの三角印が浮かび上がる。

 中央に表示された3つの印、それがクロウが所属するシグルド隊を示していた。

 クロウは隊長機――ミソラ騎の右後方に配置されていた。


「宇宙怪獣の本艦への到着時刻は1時間30分後。だが、ヤツらの到着を待つ必要はない。我々の方から出迎えてやろうじゃないか。さっさとヤツらを殺し尽くして、次の超長距離ワープに備えるぞ」


「「おお!」」


 殲闘騎(スレイヤー)乗りたちの、威勢のいいかけ声が室内に響いた。


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月6日20時55分。

 ブリーフィング後、ハンガーに向かいながら、クロウはため息をついた。


「はぁ、まさか初陣なんて…」


「なに言ってんのよ、臨むところじゃない!」


 一方、隊長に選ばれたミソラはやる気満々といった様子だ。

 彼女も実戦は初めてだというのに、このテンションの違いはなんなのだろう。


「ま、クロウくんは演習の成績が悪いからね~」


 しかし、初陣を前にしてテンションがおかしいのは彼の方らしい。

 僚機を務めるパイロット、セレナ・ミラディも気楽な様子だ。とはいえ、彼女は普段からこんな調子なのだが。

 彼女もシグルドのパイロットだ。年齢はクロウと同い年。


「あーあ、はやくシャワー浴びにいきたいな~」


 セレナが、両手を頭の後ろで組みながらそんなことをつぶやく。

 ミソラよりも女性らしい…出るところの出たボディラインが、パイロットスーツ越し浮かび上がり、クロウは赤面して彼女から顔を背けた。


「なに出撃する前から、そんなこと言ってるのよ」


「だって、ワープの後ってなんか全身がムズムズしない? 気持ち悪いんだよ~」


「…そうかしら?」


「…どーして君たちはそんなリラックスできてるんですかね」


 顔を横に向けたまま、クロウは二人のガールズトークに首をつっこむ。


「ん~だって、負ける気しないし? 相手はカテゴリー1だよ?」


「それくらいの等級なら、アンタだって何とかできそうよね」


「そりゃそうだけど…」


 カテゴリー1は最弱の烙印を押された宇宙怪獣だ。

 クロウであっても、カテゴリー1であれば負けることはない。

 …あくまで、シミュレーターの結果を信じるのであればの話だが。


「ま、初陣がカテゴリー1相手で良かったじゃない。アンタだって、死にたくはないでしょ?」


「まあ、そりゃ不幸中の幸いってことで…」


「クロウくんって、本当に臆病だよね~」


「セレナ、お前は思ったことを隠さず口にするよな」


「それがセレナの良いところでしょ?」


「良いところなのか…それ?」


「あはは~照れるなぁ」


 そんなことを話しているうちに、クロウたちはハンガーに到着する。

 整備を済ませた、3騎の巨像が彼らを出迎える。


「じゃあ、アタシたちの初陣、しっかり決めるわよ!」


 その5分後、殲闘騎(スレイヤー)隊は迎撃艦シリウスを発進した。


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