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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【鼓動編】 第2章 首都星ゼウス
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11 見舞い

 ◇ ◇ ◇


 グランとの会談は2時間ほどで終了した。

 会談を終えた後、ミソラは艦隊司令部に用があるマディたちと別れ、司令部を出た。


 彼女にはこれから3日間の休暇が与えられていた。この間は、どこで過ごしても良いとされていた。

 休暇の過ごし方はそれぞれである。

 休暇の間、惑星内で宿を取り陸地を楽しむ者もいれば、宇宙港にある艦の中で過ごす者もいた。

 

 アレックスはだいたい前者であり、カンナなどは後者であることが多かった。

 ミソラは性格的に前者の人間であった。また今回は3日後に司令部で表彰があり、それ以降も検査など、ゼウス内での予定が入っていたため、彼女は休暇の間は宇宙港には戻らないことにしていた。


「待ち合わせまでは、まだ時間はあるから…」


 ミソラは午後の予定を確認すると、ホログラムモニターを立ち上げ、ゼウスの市街地にある店の情報を調べる。


「よし…」


 目的の場所を見つけたミソラは、タクシーをつかまえると、ゼウスの市街地へと向かうのだった。


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月10日 13時25分。

 市街地で買い物を済ませたミソラは、その後昼食を取ると地上側の一般向け宇宙港にほど近い研究施設へとやってきていた。


「ミソラ~」


 門の前で立っていると、待ち合わせの相手――セレナやアレックス、カンナ、ジョセフなどのシグルドパイロットたちやってきた。

 彼女たちは2台にタクシーに分かれて乗って、ここまで来たようだった。


「ごめんね~、待った?」


「ううん、大丈夫。アタシも用事があってさっき来た所だったから」


「そっか~、よかった~。私たち遅れるかと思って焦っちゃったよ~」


 一見すると、全然焦っている様子のないセレナである。

 だが、彼女の背後にいるカンナたちのほっとした顔を見て、なんとなく道中で一騒動あったのだろうということを察するミソラなのであった。


「いやー、間に合って良かった」


 まだそう言う元気のあるアレックスは良いほうで、ジョセフなどは無言のまま息を吐いている。

 カンナも辛そうにしていたが、ミソラに理由を話してくれた。


「…研究所の場所を軍の宇宙港近くにあるのだとみんな勘違いしてたの」


「あー…」


 宇宙港は低軌道上に設置された艦艇が停泊する宇宙側のものと、人や荷物の出し入れが行われる地上側のものが存在する。

 人や荷物の運搬はシャトルを通して行われ、地上側の宇宙港は一般向けと軍用のもので別々の場所に建てられていた。


 司令部に用のなかった彼女たちは先ほどゼウスにやってきたのだが、その際に研究所から遠い軍用の宇宙港を使用したため、来るのに時間がかかってしまったのだ。


「博士は時間にうるさいって聞いてたから、焦ったわ…」


「ま、遅れなかったからよしとしましょう。それに、ここでしゃべってちゃ約束の時間に遅れるわ」


「そうだね~。行こう行こう~!」


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月10日 13時30分。


「時間通り…よく来てくれたわ」


 研究所のセキュリティーゲートをくぐったミソラたちを、ルーシ・ノイマンが迎えた。

 ミソラたちは研究施設内に収容された、クロウに面会しに来たのだった。


「じゃ、彼の所に案内するから着いてきて」


 彼女はミソラたちに認証用のコードを送ると、目的地へと向かって歩き始めた。

 ルーシーの横をミソラとセレナが歩き、その後ろに他のパイロットたちが続いた。


「今日はありがとうございます。わざわざ研究所の中まで入らせてもらっちゃって」


「いいのよ。別に隠すようなことはなにもないし」


 ミソラの礼に、ルーシーはなんてことのないように答えた。

 実際、彼女にとってはなんてことはないのだろう。

 ミソラたちがゼウスにいる間、クロウへ見舞いをしたいと申し出た所、彼女は2つ返事で了承したのだ。


「…それに、あなたたちも彼が変な科学者に体中いじり回されてないか心配でしょう?」


「そうですよね~」


「…冗談だったんだけど」


「え、すみません~!」


「…ま、いいのよ。私は自分の研究を人に見せることに抵抗とかないから」


「盗まれたりする危険性とかあるんじゃないですか~?」


「別に…誰かが研究を盗んだとしても、私の方が先に良いもん書いちゃってるから」


「はぇ~、そういうことなんですね~」


 それはルーシーの研究者としてのプライドなのだろう。

 改めて彼女が変人ではあるが、悪人ではないということを認識するミソラなのだった。


「着いたわ。どうぞ」


 ルーシーの足が止まる。その先には白い扉があり、扉の横にある四角形の表示には「クロウ・シノサカ」と書かれていた。


「病院みたい…ですね」


「ええ、この施設は研究所と病院を兼ねているから。一応、彼の状況は医療の分野から見た方がいいかなと思ったのよ」


 だからここを紹介したの、とルーシーは付け足した。


「この先に、彼がいる。一応説明しておくけど、彼は今、記憶のほとんどを喪っているわ。だから、もしかしたらあなたたちのことを覚えていないかもしれない、その点だけ理解してあげてね」


 ルーシーの言葉に、全員が頷く。

 ルーシーが手をかざすと、扉が開いた。




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