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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【鼓動編】 第1章 喜びと混乱と
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8 検査

 ◇ ◇ ◇


「以上が、クロウ・シノサカについて私たちが知っている情報だ」


 マディの艦内放送によって、クロウの復活が告げられた。

 その上で、クロウの復活については不明な点が多いため、詳細は首都星ゼウスについた後、研究機関での検査結果を見て共有する旨も伝えられた。


 艦内ではクロウ復活の噂が事実であったことに驚き、困惑する者が多かった。しかし、彼とセレナの再会を見ていた乗員たちの話を聞き考えを改めるのであった。


「なにはともあれ、良かったじゃないか」


「謎も多いが、ゼウスで検査をすれば理由も分かるだろう」


 結果、そんな楽観的な声が多数を占めるようになっていた。


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月9日17時30分。

 医務室隣の部屋では、ミソラ、セレナ、マディの同席の元で、ルーシーとムールによるクロウの検査が行われていた。


「別に医療は専門じゃないんだけど…一応、かじってはいるから」


 そう言いながらも、ルーシーは慣れた手つきで、手元の端末を操作していた。

 端末がクロウの情報を読み取り、ホログラムモニタ上に文字が次々流れていく。

 彼女の端末は小柄ながら、最新の演算機能を持っており、それ単体で人間の生体情報を読み取る能力をもっていた。

 その様子を見学していたミソラはモニタに浮かぶ文字列が何を意味しているのか、理解できていなかったが、ルーシーとムールはその結果を見ながら、時に驚き時に頷きながらクロウの検査を進めていた。


 続いて、カウンセリング。


「あなたの名前は?」


「クロウ…シノ…サカ」


「出身惑星、生年月日を教えてもらえる?」


「…………」


 基本的な質問とクロウの応答が繰り返され、ルーシーとムールがその内容をメモしていく。



 統一時間4月9日17時50分。


「とりあえず、今の設備でできることは終わったかしら」


 検査を終えたルーシーは上機嫌な様子で、椅子から立ちあがった。


「彼が見つかった時に、ドクタームールが検査をしていたでしょう? 得られたデータはそれとほぼ同じね。特におかしい点はなし。ただ、カウンセリングの結果は興味深かったわね」


 ルーシーの目の前に、ホログラムモニターが浮かぶ。


「何が理由かはわからないのだけれど、彼…言葉をうまく話せていないわ。記憶に混濁もあるみたい」


 モニターには先ほどのカウンセリング時の質問と、クロウの回答の内容が羅列されていた。


「自分の名前や、あなたたち…シグルドパイロットの名前は答えられるだけど…自分の出身地やマディ艦長や他の乗員の名前はでてこないのよね。ただ、カウンセリング前の検査で脳の様子も見てみたんだけど、異常は見つかってないの」


「つまり、一時的なものかもしれないってことですか?」


「さあ、わからない。こればっかりはゼウスで見てもらった方が早いでしょう」


 ルーシーはお手上げという様子で、両手を上げた。


「…本来であれば、正常に動くべきところが動かなくて、異常が出るところが正常という結果が出る…こんなイレギュラーの原因を調べるには、私の端末の力じゃ力不足なの。そんな顔しないで?」


 そこでミソラは自分が不機嫌そうな表情をしていることに気がついた。

 彼女はルーシーが検査をすればなにか新しい情報が出てくるのではないかと期待していたのだが、思ったよりも新発見がなく、肩すかしをくらった気分になっていたのだ。


「す、すみません…」


「いいのよ、謝る必要はない。あなた含め、彼について知りたい人はこの程度の情報じゃ満足しないでしょ」


 そのルーシーの言葉は、自分にも言い聞かせているようだった。


「とにかく、彼の検査は今後も行うべきね。それもちゃんとした惑星の研究機関で。そうすれば、分かることもきっと出てくるでしょう」


 それがルーシーの出した結論のようだった。


「艦長、彼を搬送する病院…ないしは研究機関はもう決まってる?」


「いいえ。ゼウスに到着後、司令部の指示に従おうと考えていました」


「それなら私の方で手配しちゃうわね。知り合いの研究機関があるから…悪いところじゃないから、安心して。なんたって、私も研究に参加できる場所だしね」


 そう言って、胸を張るルーシーだったが、ミソラたちからしたらそれで安心なのか…ということは判断できなかった。


「それではお願いします…ところで、ノイマン博士」


「なにかしら?」


「これから本艦は、超長距離ワープを行う予定なのですが…」


「あ、そうだったわね」


 そこで、ミソラは現在時刻を思い出した。

 トラブルがあったとは言え、これからシリウスは定刻通りに超長距離ワープを行うことになっていた。


 そろそろ、ルーシーに帰ってもらわなければ困る。

 それがマディの本心のようだ。


「連絡艇はすぐに離れさせるわ。あ、私は着いていくわよ?」


 だが、ルーシーはこの艦を離れる意志はないようだった。


「えっと…それは…」


「だって、ゼウスまでこっちの方が早く着くんだもん。それに私の新しい研究対象がこの艦にある。このまま乗ってたほうが便利でしょう?」


 それは、単純かつルーシーらしい理由だった。

 結局、マディは彼女を説得することができず、首都星ゼウスにたどり着くまでの間、ルーシーはこの艦に留まり続けることになるのだった。




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