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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【始動編】 第4章 ドラゴン型侵入作戦
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28 体内迷宮

 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月8日10時00分。

 任務を終えたシグルド8騎は、出口に向かっていた。

 ドラゴン型の体内が激しく蠕動しはじめたため、できる限りスピードを上げて、体内を進む。


 後はこいつの体内から脱出するだけか。意外と簡単だったな。


 思わずそんなことを考えてしまうクロウである。

 被害はできる限り少ないに超したことはない。もちろんクロウもそう思ってはいた。

 しかし、彼が予想した以上に、事態はうまく進行していたのだ。気を張っていた分、拍子抜けするのも仕方がない。


 カドモス隊はドラゴン型の熱線によって4騎が撃破されていた。その情報を受け取った彼は、シグルド隊もドラゴン型に到着するまでに数機が落とされるのではないかと考えていたのだ。しかしシグルド隊は今のところ全機健在である。


 ここまで差が出るもんなのか。


 改めて、シグルドの基本性能の高さに感心するクロウなのであった。

 そして、機体性能の高さから、これから自分たちを待ち受ける障害についても、いち早く察知していた


 これは、一体…?


 ◇ ◇ ◇


 統一時間4月8日10時10分。

 彼らはドラゴン型の首元の部分まで移動していた。

 あとは、来た時の反対で気管を通って外に出るだけである。


 しかし、彼らは気管に侵入することができずにいた。

 入ってきた時と比べて、道が変異していたのである。

 現在、殲闘騎が通路として使っていた気管の道には複数のワイヤーが張り巡らされていた。


「おいおい、どういうことだよ…!」


「解析完了。これは全てドラゴン型の細胞で作られている。強度は…かなり固い」


「なんで急にこんな…」


「おそらく顔の回復に使うはずだった細胞の一部を利用したのだと推測される」


「アタシたちを帰らせたくないってこと…?」


 殲闘騎が複数騎並んでも通れるほどの直径だった気管の道は、肉のワイヤーによってその道幅を大きく制限していた。


「まだ1騎ずつなら通れそうだけど…」


 果たして、ワイヤーを避けて進めば、出口まで進むことができるのだろうか?


「待って、これからデータを取ってみる」


 ミソラの疑問を受けて、カンナが機体の左腕を頭上に掲げた。

 数秒後、シグルドの指先から小型の偵察機が発射される。


「データ、まとまったわ。このワイヤーは出口まで続いているけれど、レーザーブレードで必要な箇所を切断すれば突破は可能」


「ありがと、カンナ」


 こうして、方針は決まった。



 統一時間4月8日10時15分。

 シグルド部隊はアレックス騎を先頭にして気管の道へと侵入した。

 後ろにはシグルド元α隊の2騎。元β隊の3騎が続く。最後尾には機体が小破したセレナ騎と、ダミーシグルドをリアルタイムで操縦しているミソラ騎がついた。

 つまり、侵入時と同じ順番で彼らは脱出を試みることにしたのである。


 8騎のシグルドは、ワイヤーの間をくぐり抜けていく。


「おらおら、遅いと置いていくぞ!」


 アレックスはそう叫びながら、通路を進んでいく。

 ワイヤーとワイヤーの間は狭いが、カンナによってあらかじめデータを共有されていたので、難なく進むことができていた。

 一方、機体が本調子ではないセレナと、もう1騎、機体を操縦しているミソラは彼らに付いていくことができずにいた。彼女たちの機体と、先頭集団の距離はだんだんと離れていく。


「ミソラ、大丈夫~?」


「うん、心配してくれてありがとう。それよりもセレナはどうなのよ。機体制御大変なんじゃない?」


「この通り、ばっちりだよ~!」


 セレナの返事と共に、目の前のシグルドが器用にワイヤーの間を通る。


「それにしても、仕掛けた爆弾が通信式で良かったね~」


「ええ、そうね。もし時限式だったら、アタシたち、皆死んでいたかも」


「フフフ、ホントだよね」


 ドラゴン型の体内に埋め込んだ爆弾は、全て通信により起爆するようになっていた。そのためミソラとセレナは余裕を持って移動することができていた。


 だが、その余裕を見抜かれたのか…突如、壁から棒が突き出てくる。

 それはドラゴン型の細胞によって作られた肉の槍だった。


「くっ!」


 咄嗟の出来事に対して、ミソラはダミーシグルドの操縦を一度止め、自機の安全を最優先で確保するよう動いていた。結果、攻撃を避けることに成功していた。


 しかし、セレナの方は…

 脚部を喪ったことにより姿勢制御に難があるセレナ騎はその攻撃を完全に避けきることができなかった。

 先端をとがらせた肉の槍が、セレナ騎の右脚の間接に突き刺さる。

 セレナはウェポンボックスに手を伸ばすと、レーザーブレードを取りだそうとするが。


 その右腕に再び肉の槍が刺さった。


「…えっ!?」


 セレナ騎はさらにバランスを崩し…推進器に槍が貫通したのがとどめとなった。

 機体を移動させる力を喪ったセレナ騎は、そのまま槍の衝撃によってドラゴン型の胴体部の方へと落ちていく…


「…セレナっ!」


 ミソラは、落ちてきたセレナ騎の手をつかもうとするが…

 今度は肉の槍が、自分を襲おうとしていることに気がつき、咄嗟に体をひねらせる。


 結果、ミソラの機体はダメージは負わなかったが…


「セレナー!」


 セレナ騎は、すでにミソラ騎の手が届かない場所まで、落ちてしまっていた…


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