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銀河のドラゴンスレイヤー  作者: 藍沢洗
【驚動編】 第4章 クロウ・シノサカ
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24 決定事項

 ◇ ◇ ◇


 統一時間11月8日 21時30分。

 ミソラたちがヴァルハラの通信室へと到着し席につくと、すぐにアリーヨからの通信が送られてきた。


「こちらアリーヨ。声は届いているかな?」


「はい。大丈夫です。こちらの声は?」


「ああ、問題ない」


「今日は急に呼び出してすまないね。本当はヴァルハラに戻った後に伝えたかったんだけど…」


「それほど事態が切迫してるってことでしょ。だからワープの待ち時間を使って私たちに通信をしてきた? 違う?」


「ああ、その通りだ」


 司令官に対しても遠慮のない話し方をするルーシーに、ミソラは内心ひやひやしながらも、口を開いた。


「それで、アタシたちへの用事っていうのはなんなのでしょうか?」


「ん? ああ、そうだったね。その前にまずはノイマン博士、私があらかじめ頼んでおいたことなんだが…」


「ああ、実物ならここにあるわよ」


 そう答えると、ルーシーはミソラが抱くカプセルを指さした。


「ミソラ、クロウのカプセルをアリーヨに見せてあげて。あと、今からデータも送るわ」


「ん、わかった」


 ミソラは答えると、クロウの思考粒子が入ったカプセルを、アリーヨに見える位置まであげた。


「クロウ・シノサカの意識が入った思考粒子の一部を抜き取った結果、そこにもクロウの意識と呼べるものが存在することが確認されたわ。つまり、実験は成功したということになるわ」


「ふむ…それは、よかった…」


 アリーヨは、心の底からはそうは思っていなさそうな表情で、頷いた。

 厳密には、安堵と、苦痛が入り交じった、そんな表情だ。


 その変化を、ミソラは見逃さなかった。

 なぜならば、彼女も数分前に同じような表情をしていたのだから。


「シノサカ大尉、私の声は聞こえるかな」


 アリーヨは、表情を元に戻すとミソラが掲げるカプセルへと視線を映し、その中に宿る意識へと声をかけた。


「はい。聞こえています。司令」


「よろしい。それで…カプセルの居心地はどうだい? なにか異変とかは起きてないかな?」


「特には…居心地というのはよく分からないですが、シグルドの中も、このカプセルでもあまり代わりはないですね」


「そうか…それはよかったというかなんか…」


「そこらへんは、私が調査済みよ。カプセルでもどこでも異常は発生しないわ。それどころかシグルドⅡのパラメーターを見ると、補充した分のまっさらな思考粒子にもクロウの意識が伝播しはじめている」


 歯切れの悪い回答をするアリーヨの言葉を遮り、ルーシーが補足説明をする。

 その中には、ミソラが初めて聞く情報もあった。


「クロウの意識が伝播しはじめてるって…?」


「つまり、シノサカ大尉の意識は、他の思考粒子と混ぜることで、さらに拡大されていく、ということかな?」


「ええ、そういうことになるわね…って、アリーヨ。あなたはそのことを予想していたんでしょう?」


「え?」


 ルーシーの指摘に、驚いたのはミソラであった。

 司令は、クロウの意識が拡大することを、予想していた?


「ああ、別にそうでなくても良かったんだ…けどね。ただ、状況が切迫している現在、これは良いニュース…ということになるんだろう」


「ええ、そうね」


 アリーヨの言葉に、ルーシーは真剣な表情で頷いた。

 一方のミソラは、クロウのことがなぜ良いニュースになるのか、理解できていなかった。


「司令、それはどういう?」


 だからこそ、疑問を口にしてしまった。


「ああ、そうだね…君には話しておかなければいけないね」


 アリーヨの眼差しが、ミソラを射貫く。

 その瞳を見た瞬間、ミソラは察した。


 今、司令は自分に嬉しいニュースを話すために、通信をしてきたのではないということを。


「我々、銀河連合軍は宇宙怪獣との戦闘激化に備え、現在エインヘリアルシステムが搭載されているシグルド全騎に、クロウ・シノサカ大尉の意識データを移植することを決めた」


「…え?」


「今後、シノサカ大尉にはシグルド各騎のエインヘリアルシステムを効率的に運用するための、オペレーティングシステムとして働いてもらう」


 そして、その予想は彼女が想像したものよりも、はるかに衝撃的な内容だった。


「ノイマン博士にはこれから思考粒子の増殖、充填作業をしてもらう。そして、アカツキ大尉…思う所はいろいろとあるだろうが、受け入れてくれ。これは決定事項だ」


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