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余計な酒代、やり過ぎなお鍛錬

適当字名が有ります。お気をつけください。


暇潰しにでも読んでってくれたら幸いです。

「で?使いも出さずに何故一泊して参られたので?」


「いや、あのー。文欽の親父さんと気が合っちゃったてゆーか…。


あ、此方が文欽の親父さんの文稷さん。

此処で孤児の世話とかしてた人。

ご家族とかと一緒に玉院に来て武官の先生として働いてもらう事になりました」


「文欽の父。文稷、字名を穀黍という。

家族や孤児共々宜しく頼む。」


「あぁ、ご丁寧に。・・・ではなく!!


ハァ…まぁ、いい。

昨日の内に渡りは付けてあります。

外交と言えば些か大仰ですが県令殿の初めての交渉。行動一つ一つが状況を左右するのをお忘れなきよう。


さて、説教は此のくらいにして行きましょうか」


「あ、郭嘉。ちょい待ち」


「?」


「余分な酒代は給金から引いとくから」


「…ナンノコトヤラ」


「酒屋の娘さんは可愛かったな。甲斐甲斐しく世話してもらったって?」


「・・・・・何故、存じ上げているのか」


「酒屋のオジさんは文清麹。娘さんは文濁盃って言うんだって」


「私の弟の娘、姪っ子ですが奉公殿の側室に如何かな?まだ七つですが」


「・・・天は俺を見放した!!!」


天才軍師此処に散る。良酒五斗(約10ℓ)の代金で。


郭嘉が上司と年上の同僚予定の者に弄られていると約束の時間が迫って来た。郭嘉が当てがわれた宿から出て政庁に案内する。


小さいながら良く手入れされた建物。句陽の政庁と違って随分とらしい感じがする。まぁ、孤児が走り回ってたり政庁の執務室にでっかいキッチンがついてる方がおかしいのだ。


呼びかけに応じた従者に連れられて一室に案内される。少し経つと良達の対面にお相撲さんが二人が腰掛けた。良と同じか、少し高い背の二人はお相撲さんと評した通り腹回りも大きい。


もーなんかギッチギチである。部屋は広いのに良達の前に腰掛ける彼らの圧によって小部屋の様だ。


大きいと言う意味で重圧を感じさせる片割れ。豪炎の様に逆立つ髭を持った大男が布袋様の様な笑みを浮かべて口を開く。


「俺が許褚さ、許仲康。

一応、此処譙を取り仕切ってる。でも実際は定兄上が色々と仕切ってくれてるから小難しい話はそっちで頼む」


許褚の言葉に流れ落ちる滝の様な髭を生やした大男が阿修羅の様な顔を優しく歪めて頷いた。


「私が許定だ、字名を伯義。

弟に顔となって貰い譙において県丞の代わりをしている。締約は違えていないのだろう?」


「あー此れ渡す様に言われたんでどうぞ。

後、曹子孝さんも連れて来る予定なってっす」


そう言って懐から布の巻物を出す。

許定が其れを受けと取り紐を解き開いて黙読する。そして横から覗き込む許褚。


「・・・うむ、安心した。

譙の者に対して一切の手出しをする可からず。此れが守られるならば我らは御前達を歓迎しよう。


許褚、夏侯家の方々達に伝えてやりなさい。呂布軍は締約を破るつもりは無い様だと」


「そうか!其れは何よりだ。

こうしちゃいられん!すぐに教えてやらんとな!!」


そう言って許褚は嬉しそうに駆け出した。足音がすげぇドスドス鳴ってるが体格に比して異常に早い。


街の主である許褚の行動に郭嘉はポカーンである。

まぁ、句陽の袁兄弟や崔均辺りならどっかの脳筋で慣れてて受け流すだろうが適応能力の低めな郭嘉は驚いてしまった。

まぁ、良に比べて許褚がだいぶ歳上と言うのもある。


「驚いたかな?」


「あ、いや。失礼しました」


「ハッハッハッ、気になさるな。

奴はああ見えて剛強な男。数年ほど前に汝南の黄巾軍が他の賊徒を吸収して此処を襲った時に奴が跳ね返したのは有名だろう?


私に過ぎたる弟だ」


闊達な許定と奔放な許褚。此の譙が乱世にあって人に溢れるのも頷けると言うもので有る。


許定の語る話を興味深く聞く郭嘉。何事もまず聞き問う事で分かる事も有るのだと知る為に聞上手な上に質問上手で有り、許定も大人の余裕がある為会話が途切れることが無い。


話される内容は文武の面白い話だが交渉代表者の良は若干置いてけぼりで有る。と言うのも良は別の事が気になって仕方ないのだ。許褚って馬超と戦った人じゃね?メッチャ強いんじゃねと久々に脳筋爆発させていた。


まぁ、アレである。最近は呂布や成廉、高順や張遼などが忙しく圧倒的な格上の者との鍛錬に飢えていたのだ。


更に言えば目の前にいる許定と言う人も名に覚えはないが強そうである。


「許県丞さん。物は頼みなんだけど…」


良の頼みを聞いた許定は快く承諾する。

曰く、若人の向上心を無下にするべきでは無いとの事だ。対価もいらないと言う。


それぞれ武器を選ぶ。良は兜を被り木棍を持ち、許定は兜を被り丸太の様な木棍…棍棒を握る。

庭に出て良のよろしくお願いしますの礼と共に鍛錬が始まった。


……

………


「ヨッシオナァイッシャア!!!!!」


半刻経って良の十数回目のよろしくお願いしますである。もう何語か分からないが頭を下げて礼をしている事から辛うじて何を言っているか把握できる。


子鹿の様にプルプル震える良は其れでも笑みを浮かべて飛びかかった。


許定は前例から棍棒を縦振りでは無く、横に振るって良を後退させる。良は筋繊維を酷使しながら許定の棍棒の範囲ギリギリで突進を止めて大振りな許定に肉薄する。


しかし許定は案重心移動を駆使して身体ごと素早く切り返し、神速の袈裟殴りを放ってきた。地べたに四肢以外が当たるか武器に当たったら取り敢えずは負けと言うルールの為、良は五回も此の切り返しの餌食になり地に伏した。


故に左から迫って来る棍棒を棍で防ぐ。

破城槌が門を吹き飛ばす様な感じで良が吹き飛ぶ、受け流す云々が通じない程の一撃。


更に追撃。拳を振り上げ肉食獣が飛びかかる様に許定が迫る。その勢いは早く、此の追撃で良は七回程地面に叩きつけられた。そして此れを身を逸らして避けてもその後ゴルフのパターを早くした感じで横っ腹をブン殴られて負けるのだ。因みに二回はやられた。


なので逆に突貫する。一矢報いてやるわと言うバカ丸出しの突撃。

飛びかかる許定、立ち上がる良。


奇跡は起きた。


良は兜で見えなかったのだ。

許定は己が勢いを止めれなかったのだ。


兜と胴鎧がぶつかった。


ゴォウィインと言う音が響き渡り、お互い同時に土煙を上げて倒れる。


許定はすぐに起き上がったが良は伸びていた。

勝敗は言うまでも無いが縁側から眺めていた郭嘉は二十一回戦目にして漸く一矢報いた良を見て大爆笑し数十秒の過呼吸に苛まれる事になる。

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