余計な節介、やり過ぎなお世話
アレなシーンが有りますが文章力が無いだけで子供に対して暴力を振るう事を肯定するつもりは一片もありません。
今回の話は地図(笑)、無茶クソ話、オリジナル武将と適当字名が有ります。又、地理も必死こいて調べましたが曖昧です。
それでも良いよって方のみご覧下さい。
暇潰しにでも読んでってくれたら幸いです。
「陛下の詔。
呂奉先に袁術征伐を命ずる。
ついては驃騎将軍に任じ開府を許す。
・・・御受け取りください、呂兗州僕」
「承った」
皇帝の身代の使者に跪き頭を垂れる呂布は差し出された勅を両手で受け取る。
仰々しく立ち上がり使者と位置を変えると呂布は振り返り群臣に向かって勅を握った拳と声を上げる。
「皆の者!陛下の御勅命を受け私は此れより袁術を討つ!!!
ハッハッハ、ハーッハッハッハ!!
驃騎将軍、呂奉先が命ずるっ。軍師陳宮よ、策を申せっ!!!」
「ハハッ」
小気味よい破裂音と共に呂布に軍令をした陳宮は意気揚々と髭を伸ばし、従者に用意させた地図の前に立つ。
「袁術征伐に当たるに先ずは豫州の勢力図を見ておきましょう。
豫州の潁川群、魯国の三城。更に二城を除く陳国の全て。これらが我らの抑える地。
次に劉備は魯国の三城と沛国の小沛から徐州側の城を保持しています。
最後に逆賊袁術。豫州最大の郡にして袁術の出身地汝南と劉備から奪った沛国の大半と梁国。やはり一番勢力があると言えましょう。
我らの出せる兵力は凡そ三万強、対して敵は約八万。しかしその実、勇壮な騎兵と黄巾の乱以降戦い抜いてきた歩兵三万と水夫としては使えても武器は振るえぬ士気の低い兵二万と歩兵中心の五万という差があります。」
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ーーーーーー済陰ー山陽ー任城ー魯ーーー
ーーーーー陳留ーーーー梁ーーーーーーー
ーーーー潁川ーーー陳ーーー沛ー下邳ーー
ーーーーーーー汝南ーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー九江ーーーー広陵ー
ーーーーーーーーーー蘆江ー歴陽ーーーー
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「袁術の豫州支配は潁川から汝南、九江へ繫がる潁水、陳国から九江に繫がる沙水などの淮水の支流が有りその水軍船の量は膨大。
事実、劉備や劉陳国王との戦いでは寿春が有る九江群から二つの川を使い、汝南各地に迅速な兵の展開をしました」
(潁川方面・潁水)ーー(陳国方面・沙水)ー
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ーー□2ーー□3ーーーーーー□ーーーー
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ーーー4□ーー5□ーーーーーー6□ーー
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ーーーーーーー(九江方面・淮水)ーーーー
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1定潁・2上蔡3平興・4安城・5新蔡
6汝陰・7慎・□河川
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「そこで私の勘案した汝南攻めの策は単純。主要な城のみですが地図をご覧ください。
先ず軍を三つに分けます。
一つは潁川から水陸両軍を合わせ七千を急行させ、汝南の水門とも言える定潁を取ります。此れは張邈殿の元に居られる荀従事中郎が手引きをしてくれていますので其処から新蔡へ早船を使って兵を送り潁水の水路を潰します。
同時に陳国から一万五千を平興に出兵させ敵の陸軍を足止め。…撃滅させても構いません。
続いて沙水の慎県に騎兵を専攻させ奪取。
さすれば我らの得意な陸戦を行えましょう」
「ぃ宜しいか軍師殿?」
何処か重くねっとりとした声で大仰に陳宮に問いかけたのは壮年の男。目と眉が奇妙な程に離れている。金鍍金の鎧に白い絹の外套を纏っていて腰にある剣の鞘は装飾過多でそれら全て傷一つ無く彼の気質をよく表していた。
「何かな?郝萌」
ついーーー。
「司隷出身の私には貴公の策が余りに回りくどく…そう、もう少し兗州の時のような王道の戦いがしたい。
水路を潰す。成る程、良策だ。しかし其れをして後々は支障をきたすのではないかな?
水路を潰し田畑を荒らせば覇王項羽の様に民の反感を買い如何様な禍根を残すか…不安ですなぁ。
此処は其々、三方から虱潰しに攻めた方がよいのでは無いか?」
「先程も申しましたように袁術は水軍が甚だ多い。比べ曹操の水軍は個々の豪族程度。
その差は言わずもがな。我らとて潁川や陳国含めて船団は有りますが袁術の支配地域を含め長江迄を往き来する水軍と争えるかといえば否と言わざる終えません。
其れ以前にその様な方策を取れば地の利のある敵が得するは必定。
ともすれば必然、主要な城に手間取っている間に川を使われ三方其々が挟撃される可能性が高い」
「・・・私も一つ良いか?」
「何ですか?高監軍」
「沙水の首根。敵の逃げ込むであろう汝陰はどうする?」
「窮鼠猫を噛む。それを恐れます。
放置すべきでしょう」
「・・・うむ。では背面の梁国はどうなった?」
「梁国は速戦。既にこの場におらぬ方々から伝令が来ておりますよ。後々の為の協力者も手配していますので…」
「・・・成る程。其れで若と張中郎将が姿を見せていなかったのか」
一週間前の梁国は睢陽。梁国に於ける行政の中心部は物珍しい事が起こっていた。
大きな軍太鼓が心音を急かす様に鳴り響く。包囲される城に対して兵達が矢の一発も放たず田畑も踏まず、相対する城門の兵もまた武器は握れど振るう事はしなかった。
太鼓の音が止まると城門が開かれ、一騎の将が現れる。大男と言うには足りないが立派な体躯をしており、長い戈を手に握り更に無骨な手斧を腰に四つも下げた壮年の武人であった。
「我、袁梁国相が校尉にして伯長の兪文專!!
名高き白虎、良羽よ!この城を落としたければ我を打ち倒して征けぇいっ!!!」
其れに対して出てきたのは赤黒い愛馬に跨る長身屈強な若武者、相変わらずの様相の良だ。
平時にいつも着ている物と比べる迄もなく上質な服を身に纏い、背が伸びたことで武器防具は以前にも増して似合っている。
「俺が呂井、良羽だ!!行くぞオラァ」
良の返答と共に二匹の馬が駆け出す。
しつこい様だがもう一度、言っておく。
此れは非常に、非常に珍しい事だ。
例えば遊軍を率いる戦慣れした人間が先駆して敵将と会敵し、偶発的に一騎打ちになると言うなら呂布とかでなくとも往々にしてある事だ。
何故かと問われれば単純に伝令機器などと言える物が軍楽器しか無く、其れで伝えられるのは前進後退か撤退が精々。敵左翼の何々の何某の部隊の背後を急襲しろと言う指令をしても兵達は文字も読めず何某って誰だよ。寧ろ何処?となる。
確かに良はこの戦で一将として参戦していて遊軍を任せられ、そう言った事もあるだろう。だがしかし此の一騎打ちは、そう言う偶発的でも無く、申し込まれて其れを受け両軍止まってと言う余りに時代錯誤な物であった。
と言うのも今、良の一撃を受け戈を離してしまい狼狽える男は袁術軍の佰長の兪淑と言う。反董卓連合の際華雄の突撃によって討たれた兪涉と言う者の子にあたる人物で梁国に於ける徹底抗戦の主張者だ。
対して梁国を袁術に任された袁嗣と言う男は豫州全般の荒れ方と民心と士気が零の状況から降伏を主張。進軍するもままならず、妥協点を見つける為話し合ってたら敵に城を包囲されると言う状況になり、もし兪淑が良を討てれば徹底抗戦し逆に討たれれば降伏すると言う話になり今時珍しい態々、両軍を止めての一騎打ちが勃発した。
しつこいが言っとく、超珍しい。ありえないと言っていい。
馬を離して振り向きざまに吼える兪淑。
「やるなぁ白虎よ!これでも喰らえぃ」
痺れる手を強く握り拳を作って確かめ、振り向きながら腰の斧を握り、良の背に向かって投げた。対して良は馬首を返しながら偃月刀で斧を叩き落とす。
「お返しだコンニャロー!!」
言うと偃月刀を地に突き刺し肩に担いでいた羌族製の大弓を手早く握り矢をつがえ放った。
流れる様に、と言うよりは切り裂く様に兪淑へ飛来する矢。
耳に入る鋭い風割き音と共に皮鎧を貫いて肩を貫きようやく止まる。
「ギィヤァァアアアアアアアアアア!!」
歴戦の武人と言える男でも余りの激痛に悲鳴をあげた。戦争の熱に浮かされていなかったのが悪い方向に向かってしまったのだろう。
「おぉぉのぉおおおおれぇぇええええ!」
兪淑は肩に刺さった矢をへし折り、腰に残る斧を両手に握り馬を反転させ駆けさせる。良も偃月刀を握り馬の腹を蹴った。
あたかも仕切り直しの様だが先程とは違い兪淑は手にした斧を交差する直前、渾身の力で投合。
「うおっと?!」
良は慌て弾く。急な一撃に全力で振り払われた偃月刀。
間髪入れず投げ込まれる手斧。たった数十センチ振るえばふせげる距離にあると言うのに偃月刀は戻らない。
兪淑は勝ちを確信した。
「かぁったぞぉおおお!!」
だが良はこう言う時のタチ悪い逆襲の常習犯である。偃月刀を事も無げに手放し、腰の鉄鞭を抜刀術の様に引っこ抜いて斧を叩き落とした。
「ん…なにぃ!??」
今度、慌てたのは兪淑であった。自分の給料数年分の武器を刃毀れも気にせず放り捨てる若造に戦いの途中で一瞬、困惑する。
気が付けば互いの得物が相手を捉えられる距離。
衝撃、兪淑の斧が砕け散る。
驚愕。其の顔の儘、兜をブッ叩かれた。
「ガァッファア??」
その変な声と共に落馬する。
実は良の持つ近接武器の中で一番質が良いのは鉄鞭である。全部鉄で練られた結構な一級品、故に兪淑が持てる程度の武器なんかより余程良い物なのだ。
結果、此れである。
味方の兵が挙げる鼓膜をブチ破りそうな歓声の中、泡を吹いて昏倒している対戦相手を馬に乗っけて自陣に連れて行く。
降伏するだろう相手の用意が有るので対戦相手を預け、握り拳を挙げて兵達の間を通り歓声に答えながら自分の部隊の元へ戻った。
すると良の目に入るのは鎧を纏い、兜被らずニヤニヤした郭嘉と袁敏の二人である。
「いやいや良羽。カッコよかったぜ!」
「全く。項羽でも目指しておいでですかな?フッフッフッ…。
剛勇の英傑など明日から女人が放ってはおかんだろうな」
「ちょ、やめろし。恥ずかしいから…。
ってかこんな事しなくても説得すれば降伏させられたんじゃねーの?」
「無理だな。さっき県令の討った兪淑は親父の兪涉から悪い意味で頑固だと有名だ。
酒場で聞くに父も止められたらに関わらず勝手に華雄を急襲して一騎打ちに持ち込んだが返り討ちにあったそうだ。
国相の手にも余っていたのだろう」
「いや、でも一騎打ち申し込むか?普通」
「確かに奉公殿が受ける様に言ったが実際に其れをしちまう良羽も大概だぜ?」
「なぁああ!言うなやそれぇー!!
だってここ迄ぜーんぶ郭嘉の言う通りにしてたら敵味方の被害ほぼゼロでここまで来れたじゃん!!なら言う通りにするじゃん!!!」
「どーどー。
まぁ、私も県令殿のお陰でやり易いのは確か。箔をつける為に必勝を確信していたとは言え己が上司に一騎打ちなどと言う危険を背負わせたのですから遊ぶのもこの辺にしておきましょう」
「俺でっ、遊んでんじゃ、ねーよっ!!」
そんな風にふざけ合っていると咳払い。
音の発生源は張汎、張遼の兄であった。
「弟と梁国相…袁嗣殿がお待ちだよ」
「あぁ、すんません。今行くっす。
袁敏、兵と物資なんかの確認頼むわ」
「あいよ」
「郭嘉、行くぜ」
「ハハッ」
良が兜の緒を締め直し郭嘉も兜を被り、円敏に見送られ張汎に続く。
全員が騎乗して弓の届かない城門と自軍の間で止まると騎乗した張遼が現れる。
すると壁上の兵達が消えていき城門がユックリと開く。全開になると死装束を纏い自身の手を背後で縛り棺桶を引っ張った男が張遼の前迄やってきて膝まずいた。
「梁国を配しておりました袁嗣にございます。
張中郎将、何卒部下達には寛大なご処置を願います」
「袁嗣、貴公の汚名を被ってでも民臣を救おうと言う心根、此の張文遠が受け取った。
民の安寧と将兵の安全は此の私が保障しよう。
…立たれよ」
そう言って張遼は袁嗣の後ろに回り紐を切る。
此れは降伏と其れの受諾の作法で有る。
まぁ、そんな事はどうでも良い。
豫州を早めに安全な穀倉地帯にしたいのでそこの所は呂布が出費する予定であり、ついでに言うと今後も出来うる限り降伏してもらえる様に手厚く此処の民を慰撫するのは決定事項だ。そんな話を降した城の執務室で語られる。
「と、言うわけで。その辺は私達がしておきます。袁監軍従事は借りますが…。
若…呂中郎将は豫州攻略の為、小沛の譙に向かって許仲康と言う人物の協力の最終確認をして欲しいのです。
あ、此れが陳軍師の書した書簡です」
「あのーすげぇ言いにくいんすけど、俺がっすか?自分んで言うのもなんなんですけど礼儀とか朧げなんですけど…」
「はい。むしろそれで良いのです。
相手の許仲康は怪力無双の傑物として名を広めた方で貴方と似た所のある方ですので。
あぁ、仔細は郭参軍従事に伝えてますので取り敢えず一緒に譙県に行って下さい」
そう言われた良は占領した睢陽を一日と経たず出立し郭嘉と騎兵十騎を伴い出立し沛国のサ県(サの字は賛の夫を先に代えてこざとへん追加。画数多すぎ)に向かった。そこで一泊し譙県。
睢水を背にし大きな城壁に囲まれており人で賑わっていた。服装からして多くは流れ者達だが。
チラホラ話を聞いてみると前情報の通り許仲康と言う人がしっかりしているみたいで彼を慕って人が集まるらしい。又、豫州から兗州に逃げる際の拠点の一つでもある様で本当、人だらけである。
「あぁ、県令殿。言い忘れてたが此処は曹氏と夏侯氏が主な名士だ。
最近は曹氏は幽州の方に行って、夏侯氏も大半がそちらについて行ったから許仲康の率いる許氏が取って代わっているが」
「ぅえ?それってマジか」
「襲われはせんだろうが気をつけておくと良い」
「うん。成る程な」
パシッ。そんな音を手から響かせ良は横っ面に飛んできた石を受け止める。
「!!?」
「さっきから石ころ握ってめちゃクソ睨んでるガキがいたからな」
良は飛んできた石を放っては掴みを繰り返す。
控えていた護衛がわりの騎兵が即座に子供数人を取り押さえた。石を投げた者は二人掛かりである。
「怪我させんなよ」
そう言って良はその子供達の元に近づく。
頭を押さえられ側頭部を地べたに押し付けられている十歳に満たない程の子供の前でしゃがみこみ年の割に目つき悪い横顔に問う。
「名前は?」
「下郎に名乗る名は無いっ!!」
良は一度晴天を見上げ呟く。
「曹操」
「うぇっ?!」
「夏侯氏」
「…っ!!!!」
分かりやすいなコイツ。そんな事を思いながら立ち上がる。
「郭嘉、どっちだと思う?」
「…うーん。何方かの一族にしては些か身に纏う服が度を越して襤褸いな。
幾ら何でも衣服が破れ煤け、骨が浮き出るほどに没落したとは思えん。
彼らの縁者か食客か?…いや、まぁ此の有様では精々奴僕と言った所だな」
「なんだとコノ青瓢箪めっ!この文欽のどこが奴僕か!!」
「文欽だって。
文氏なんて名士いたっけ郭嘉?」
「うーーん。流石に調べてみんことには私にも解らんな」
「よっしゃ。よくわかんねーけど、これだけはしとくか…」
そう言うと良は拳を握り、ハァ〜と息を吹きかける。祖父がゲンコツ前にやってた事だが何かしらの意味があるのかと言われれば知らない。
「良いか?文欽」
「…無礼者、その握りこぶしはなんだ」
「まぁ聞け。
どーゆー理由でお前が石なんざブン投げたのか知んねぇ。
でもな。こんな人通りの多いトコでんな事したら危ねーだろ?
俺はお前の事なんざ知らんが、もしかしたら他の通行人にも当たってた可能性もある。
最悪、関係の無い人間が死んでたかもしれねぇ」
「 それがどうした!
大義の前に余人の命など幾ばくの価値があろうか!!」
ゴゥン。そんな音を立てて良の拳が振り下ろされ文欽の目の前の地面を抉った。
文欽は慄き小便を漏らす。まぁ、十に満たない子供が良の怒気と手荒な掲示に恐れぬわけが無い。泣き喚かぬだけ気骨があると言うものだ。
「俺の手を見てみろ」
ビクリと震えながら文欽は良のゴツゴツとした握り拳を見る。中指に蟻が潰されており、小指や人差し指に砂利が食い込んで小石によって切傷ができていた。
「お前がやったのはこーゆー事だ。
中指がお前だ。蟻の命を奪った。お前が噛まれる前に殺して大義を成した。
人差し指や小指がお前の大事な人。更に言えば無関係の人もそう。
お前の安易な行いで傷つく。血を流した奴は死ぬかもしれない。復讐を否定するつもりもねぇが、せめて周りの被害を増やさねぇ様に頭にいい奴に考えて貰え。
戦の手駒やってる俺が言ったとこで説得力はねぇが分かったか?…いや、分かれ」
そう言うと良は親指を押し付けてもう一匹の蟻を殺した。
「この方がまだマシだ」
「いや、いやいやいや県令。流石に無理だろう。弁を持って諭してやるのが…」
「分かった」
「え?」
「なら俺はこうすべきだろう。
理由も話す。だから一騎打ちで勝負しろ」
そう言って目つきの悪い子供は良を睨み上げた。
「よっしゃ。かかってこい。
あ、ガキンチョ供放してやって」
「えぇ…」
呆然と「え」以外の発音をし無くなってしまった郭嘉と護衛半分を置いて城外に向かう。
良に付いてくる文欽は語り出した。
「俺は文欽、字名を仲若。
父は文稷、字名を伯穀。曹裨将軍の元で騎兵を率いていた。
だけど微山湖から小沛への道中でお前達に遭遇し、脾将軍を逃す為に乱戦の中で足の筋を切られ戦えなくなってしまった。
やっとの思いで逃げ込んだ東緡は劉備に落とされ身動きが取れるようになったと思えば曹州牧は兗州に居らず呂布が取って代わっていた」
「あー、用は仇討ちってか?」
「そう言う事だ。父は戦士としては生きられ無い」
「成る程な…この辺なら良いだろ。
存分にかかって来い!!」
その言葉を合図に文欽は駆け出し飛び膝蹴りをかます。良は両手で高らかと振り上げた拳で殴りつけ地に落とした。
えずきながら立ち上がる文欽に大股で近づき蹴り飛ばす。其れを転がるように避けた文欽は足にしがみ付いて脛に噛み付き、ついでとばかりに足を殴り続ける。
年の差は倍近く成長期である彼らにとって文欽の圧倒的不利は否めない。がしかし良は手加減をしない。
何故か。それを眼の前の子供が望んでいるからだ。
そして、それ故に決着は早い。
鼻息と呼吸それぞれ共に荒い文欽を一瞥すると文欽は良を睨む。
「良くやったぜ。オイ」
そう言うと良はしゃがみこむようにして文欽の腹へ拳骨を入れた。
決着が付いて漸く衛士達を引き連れて細身の男が良に呼びかける。
「アンタ子供相手に何してんだ!!
ん?文坊か…あぁ、其れくらいで勘弁してやってくれないか・・・」
「…何で文欽が悪って決めつけてんだ?」
「いや、癇癪持ちの子でな。年の割に力も強くてよく暴力沙汰を起こしてたんだ。
坊の親父さんが怪我してからは尚の事酷くてな…」
「成る程な。コイツの親御さんの家はどこか知ってるかい?
確かに手を出してきたのは文欽だが、やり過ぎちまったし謝っとかねぇと…」
そう言って文欽を担ぐ。暴力クソ野郎と呼ばざるおえないが此れが良の出来る精一杯だった。言葉で諭すが最上と言うのは分かっているが説得力というものを感じさせるには良はあまりに若く又行動が伴ってはいない。良なりに出来るのは昔の自分と似た様な文欽に対して不器用な祖父がしてくれた様に振る舞う事しか出来なかった。
まぁ、良自身は清々した代わりに数秒でボッコボコにされたがせめて文欽もそうあってくれれば幸いである。と言うのが良の願うところだ。
案内されたボロ屋の一室で座に座った良が二十後半の男女に対して頭を地に付けるほどに下げている。
「あの、ホントすいませんでした。
なんて言うか親近感感じて…こう全力でやっちゃったて言うか。…すいません」
「まぁまぁ、構いませんよ。
あの子も将の子として気概を見せてくれた様ですし。表情も晴れやかになって寧ろ感謝しています」
「うむ。私も戦場で不覚を取ってからと言うものあいつの思う通りに相手をしてやれなかった。
いい気晴らしになっただろう」
良が若気の至りを謝罪して文欽の両親に許しを請うている。やり過ぎた事などを散々謝って逆に引かれている頃、郭嘉と言えば。
「飲ミ過ギルト白虎ノ頭目ニ怒ラレルゾ」
「支払イモ足リルカ?」
「いーいー。けんえーいはああうかあ。
ウップ…。
…わぁたぁぜぇっえーゆうあん!!
どこいうぁくあいいえオロォロロロロ」
「ギィアアアアアアアアアアアア!!」
「ギィアアアアアアアアアアアア!!」
飲み過ぎて吐いてた。




