第四十九話 「豪華な扉を見つけました」
メンプルの衣装を団員達と同じにして頭に羽を追加した。
公演後、団員全員で衣装のままで宣伝を始める。
飲み屋のお姉ちゃんと間違えられないようにかならず女より男の人数を増やすのを忘れない。
わしも新聞に芸団の記事を書くように命じた。
宣伝の効果が出たのか、暫らく経って芸団に顔を出すと客の人数も増えていた。
内容もおとぎ話を題材に場面毎にそれぞれの芸を披露している。
後は、音楽をつければもっと盛り上がるだろう。しかし、経費も掛かるのでもっと人気が出たらアドバイスすればよいかもしれん。
これでひとまず安心じゃ。
ちなみに、おさきにメイプルのフンドシ衣装を渡して着るように頼んだが一瞬で断られたが、おさき以外は、着てくれたので夜の衣装に追加した。
今日は、久々に試練の塔に入る日じゃ。
朝食の時からエリザベスはソワソワしている。
「あなた様。早く試練の塔へ行きませんか。久しぶりで我慢が出来ません。」
「エリザベスよ。落ち着け。試練の塔は逃げたりせぬぞ。」
さっさと食事を済ませたエリザベスがわしを後ろ抱き締めてねだる様に言う。
「エリザベス。はしたないですよ。」
「はっ。はい。アリス様。」
アリスは笑みを浮かべて優しく言うが、目が笑っていない。
条件反射の様にエリザベスは直立不動になりわしから離れるとメルに手を引かれて席に戻された。
エリザベスは完全にアリスに教育されているな。
食事を終えて準備をすると試練の塔に向かう。
入り口の処にオードリーとマリリンが待っていたので合流して試練の塔の転移陣に入る。
10階まで問題なく進む。階段を上がると今までとはまったく違う景色だった。
天井や壁がなく、3mの道がまっすぐ伸びている。端から下は真っ暗で底が見えない。
とりあえず進むと100m×100mの広い空間が現れる。
用心しながら空間に入ると中央に魔法陣が浮かぶ。
魔法陣から出て来たのはゴツゴツとした赤い皮膚をした巨大なトカゲの顔をした2足歩行の魔物が7体。
7体とも背中には、大きな翼と太い尻尾がある。
両手剣が3体、盾と長剣が2体、三つ又槍が2体を装備している。
ーーー看破&鑑定ーーー
魔物 種族:魔獣族 種:竜魔獣 属性:火・闇
Lv.83
HP:8700
MP:7500
SP:7000
【能力】【槍術】Lv.83 【火のブレス】Lv.83
【鱗強化】LV.83
【アイテム】なし
ーーーーーーーーーーー
※全長:3m 立った高さは180cm
両手剣を装備している竜魔獣 【剣術】Lv.83
盾と長剣を装備している竜魔獣 【剣術】Lv.83 【盾術】Lv.83
全員戦士系か後衛に回られると拙い。
メルを遊撃にして前衛を右からエリザベス・ラルチェ・わし。中衛のマリリンは後衛のアリスとオードリーを守る様に陣形を組むと魔法の準備をする
竜魔獣は、右から両手剣、盾と長剣、盾と長剣、両手剣、両手剣。後衛は、槍が2体と向こうも陣形を組ながらわしらに向かってくる。
※右から両手剣1、盾と長剣1、盾と長剣2、両手剣2、両手剣3、槍1 槍2のように表示します。
接触する前に何とか魔法を完成される。
エリザベスは中級光魔法で身体を上げる。
オードリーは、水の精霊を呼び火の耐性を上げる水の膜を展開する。
わしとアリスは、ギリギリまで待ってから上級水魔法を放つ。わしは、水のドリルで盾と長剣2へ、アリスは水の槍を右の盾と長剣1に狙いを定める。
2つ共、魔法が当たり、盾持ちのバランスが崩れる。
そのスキにラルチェが複合槍の大斧を大きく横に振る。バランスを崩している盾と長剣2の腹に深々と食い込むとそのまま振りぬいて、盾と長剣1にぶつける。
エリザベスは目の前の両手剣1に斬りかかりるが剣で防がれる。
そのスキにメルが近づいて右手の爪で顔面を貫くとすぐに離れて後ろに回り込む。
右側の両手剣2・3は、同時にわしに斬りこんでくる。
【危険察知】が危険を告げたのでバックステップで躱す。
両手剣3の胸に5本の矢が刺さる。オードリーが風大弓で矢を放ったいた。
残りの両手剣2はわしが着地と同時に向かう。ハリセンに水の属性を纏わせる。
両手剣2は迎撃に間に合わせる為に突きの構えを取る。
わしは、そのまま向かっていくと目の前に両手剣の剣先が迫る。
体を半身にして躱すと下から救い上げるようにハリセンを両手剣2の腹に叩き込む。
バコーーーーーン。いい音を鳴らして両手剣の腹が潰れる。
両手剣2は口から大量の紫色をした血を吐いて動きを止める。
わしは両手剣2を水にラルチェと闘っている槍2に向かった。
メルは槍1の攻撃を躱しながら確実に傷を負わしている。
その近くでは、エリザベスが斬撃を飛ばしている。
その為か槍1はメルに集中が出来ないでいる。
メルが槍1に突進する。槍1の攻撃範囲の手前で急停止するとエリザベスも向かっていく。
視線がエリザベスに向いた瞬間にメルが1本長爪を飛ばす。
長爪は、槍で弾かれる。メルは、後ろのエリザベスを隠すように前に出ると残り9本の長爪を飛ばす。
先程よりも至近距離からの攻撃なので、捌ききれずに両腕に2本づつ刺さる。
メルは腰から短剣を抜くと槍1に向かう。槍1は構えるが腕に刺さっている長爪が動きを邪魔をする。
そんな状態から放たれる槍を躱すのは簡単だ。サッと避けて、胸に短剣を刺すと離れる。
槍1は、最後の足掻きでメルに顔を向けると大きく息を吸う。
口の中に火がたぎり、吐き出さそうとした瞬間。
エリザベスのホーリーソードが首を跳ねる。
わしが槍2に向かうとそこには、ラルチェが一方的に槍2を攻撃していた。
攻撃を繰り出す度に槍2の体が浮く。
わしは、浮いたタイミングに九尾鞭を振るとあっさり縛る事が出来た。
後は、ラルチェが大斧の面を振り下ろすと消えていった。
盾と長剣1が残っているのを思い出して探すといなかったが沢山の矢が落ちていた。
どうやら、ラルチェに吹っ飛ばされた後、起き上がる前にオードリーの矢で倒されたらしい。
火魔石、闇魔石、竜のウロコ、竜の宝玉を回収すると奥に進む。
この後も広い空間に出ると戦闘になり、空間と空間の間の道には魔物は出なかった。
みんな竜魔獣で魔法を使う奴もいた。対人戦としても良い経験が出来たと思う。
進んで行くと、豪華な扉が現れた。ルル様のダンジョンでは中にボスがいたのを思い出す。
しかし、この試練の塔では、今まで一度も階層ボスは現れていない。
豪華な扉もなく、階段があるだけじゃ。
メルに扉を調べさせたが罠はなかった。
「うむ。これは・・・・。誰か、このような豪華な扉について知っているか。」
「いえ。聞いたことありません。」
「私も~。聞いたことがありません~。」
「すみません。タケル様。私もわかりません。」
「見たことも聞いたこともないです。」
「私も知りませんが実に興味深いです。王様。中に入りましょう。」
「あらあら。新発見ですか。」
どうやら、誰も知らないようだ。情報局や忍びからも報告は受けていない。
わしの感では、危険なのは間違いないがクリアすればレアなアイテムが手に入れらるかもしれん。
さて、どうするか。皆の顔を見回すと特に嫌な顔をしていなかった。
「よし、入るとするか。その前に休憩をするぞ」
「はい(~)」×6
ラルチェ牛乳に多めの茶葉を入れて、ロイヤルミルクティーを作る。
試練の塔の中なのに皆、お茶で喉を潤し、お菓子で空腹を和らげると自然と会話が弾むようであちらこちらで笑い声が聞こえる。
休憩を終えたわしらは、扉の前に立つと全員に上級光魔法を使い身体能力を底上げする。
準備が出来たので中に入ると広い空間がある。
慎重に中を進む。上を向いても真っ暗で天井が見えない。
試しに光魔法を上空に放ったがそれでも天井が見えないので相当高いのじゃろう。
暫らく歩くと目の前に魔法陣が現れる。
部屋の大きさからしてもかなりの大きな魔物が現れるかもしれん。
わしは、光り輝く魔法陣を睨みつけながら魔物が現れるのを今か今かと待つのであった。




