第四十一話 「効率良い狩場探しだせ」
0時に間に合いませんでした。
「これで終わりじゃ!!」
わしは、爆音のハリセンを戦闘蟻魔虫に叩きつけた。
爆音と共に戦闘蟻魔虫は、頭から押しつぶされると動かなくなり、やがて闇包まれて消えていく。
消えた場所には、土魔石・水魔石が各1個と戦闘蟻魔虫の牙が対で1組落ちていた。
試練の塔の魔物は通常とは違い、倒すと勝手にアイテムに変わる。しかもオーバーキルをしてもちゃんとアイテムに変わるので取りこぼしの心配が無い。
アイテムは魔物の属性の魔石と魔物の部位がランダムで落ちる。
なぜ、試練の塔だけ魔物の仕様が違うのかは、正確には判っていない。
わしの予想では、<女神の奇跡>で作成された時に空中庭園の維持も考えてこのようになったと思っている。ルル様なら空中庭園の維持に掛かる魔石の計算もしていておかしくない。
「うむ。とりあえず休憩にするか。
メルとラルチェはお茶の準備を他の者はアイテムを拾ってくれ。」
わしが指示を出すとメルがアリスからお茶のセットを受け取ると準備を始めた。
ラルチェはわしの所へやってきたのでビキニアーマーを脱がし、巨大な胸を生活魔法で綺麗にする。
メルがさっと鍋を地面に置くとその上にラルチェは四つん這いになる。
「タケル様~。はやく絞ってください~。」
ラルチェに懇願されては仕方がない。まずは口で消毒して上澄みを飲んでから絞り始めた。
「あっ~。うっ~。そこです~。もっと強く~。」
ラルチェの声に反応してわしは夢中で絞っていると鍋に貯まったのを見計らってアリスがわしの手を止める。
「タケル様。鍋から溢れてしまいます。それとそれ以上するとご自身が辛いだけですよ。
ここはダンジョンですから。」
アリスは、鎧で見えないはずのパトスの状態を察して止めに入ったようじゃ。
わしは、アリスと自分の股間を何度も交互に見たが、アリスは「ダメです」と言葉に出さずに口パクで断られた。
ラルチェが立つとメルが栄養満点のラルチェ牛乳を温め始める。
ビキニアーマーを着ようとしたラルチェは、オードリーに止められていた。
オードリーは色々な角度から見ると直に触りだして最後には両方を吸っていた。
満足したのかオードリーはラルチェにお礼を言って考え込んでいる。
「オードリー。どうしたのじゃ。何かあったのか?」
「うぅん?・・・王様。・・・・亜種に興味があっただけ。」
相変わらずオードリーは口数が少ない。それと今の様に時々考え込むことがある。
魔法ギルドの責任者の地位を捨ててまでヒノモトに来たのだから魔法研究にかける情熱は相当なものじゃろう。
アリスに聞いたらわしに近づいたのも研究の為で神々と接する機会を増やしたいらしい。
その為なら何度でもわしと夜を共にしても良い。しかも【愛の伝道師】を体験したいので最低1度は必ずしたいらしい。
「タケル様。準備が整いました。」
メルに呼ばれるといつの間にか椅子とテーブルが用意されていたので座った。
わしが座るのを確認してから皆が座る。
ふぅぅ。このミルクティーは相変わらず旨い。
一息ついたので周りを見ると先程まで蟻の体液や体の一部が大量に床に転がっていたが今は綺麗に無くなっていた。
魔物は倒されるとアイテム以外は全て消えるので戦闘で体液や体の部位が散乱しても本体が消えれば一緒に消える。武器や防具についた汚れも消えるので有り難い。
「タケル様。これからどうされますか。」
「うむ。そうじゃな。
このまま進むよりも転移陣の所に戻り、そこで狩りをする。
幸い、この階の魔物は戦闘蟻じゃ。
全滅させなければ次々と仲間を呼ぶので、狩りをするには丁度良い。」
アリスに聞かれたので答えたがエリザベスだけは、納得していないようで不満げな顔をしていた。
エリザベスにしたら先に進んでボスを倒したり、宝箱を発見する方が好きなのかもしれん。
しかし、わしらはレベル上げにこの塔に来ているので経験値が美味しい狩場が有ればそこで戦い続けた方が効率的でなにより楽じゃ。
お茶を終えると転移陣のある部屋に戻る事にした。
塔の通路は幅5m 高さ5mと広いので圧迫感は感じられない。
わしらは、【自動地図】があるので迷わず、転移陣があった部屋に入った。
部屋の大きさは7m×7mの正方形で一番奥に転移陣がある。
床に地・火・風の魔法陣を次々に書き込んでいく。
万が一、大量に現れてもいい様に準備はしっかいとする。
ある程度準備が終わったので、メルに蟻を探しに行かせた。
【気配探知】を使いメルの位置と蟻の位置を確認する。暫らくすると蟻と接触した。
メルは挟み撃ちにあわない様に道を選びながら戻って来る。
「タケル様。皆さん。準備して下さい。」
「お帰り。メル。良くやった。」
「おかえりなさい(~)。ご苦労様です。」×5
メルは、部屋に入るとまっすぐ自分の定位置についた。
最前列は右からメル、ラルチェ、エリザベス。2列目はわし、マリリン。3列目は大分下がってアリス、オードリー。アリスとオードリーの距離は広い。
暫らくすると戦闘蟻魔虫がぞろぞろと入ってきたので火と地の魔法陣を発動させる。
入れ口から最前列のエリザベスの手前まで火柱が天井まで昇った。その横に厚い岩の壁が天井まで届いていている。
うむ。これで、入ってきた蟻たちは横に広がる事はない。
真っ直ぐ進まない蟻が火の柱を越えても、その先には厚い岩の壁があるので穴を開ける前には燃え尽きるじゃろう。
アリスとオードリーの足元の魔法陣が発動して2m位の高台が下から生えてくる。
二人は落ちない様にしゃがんで完成するまで待った
これで後ろの2人も弓や魔法が使うやすいだろう。
ーーー看破&鑑定ーーー
魔物 種族:魔虫族 種:戦闘蟻魔獣 属性:土・水
Lv.72
HP:1750
MP:1000
SP:1200
【能力】気配探知:Lv.72 毒針攻撃:Lv.72
足跡物質強化:Lv.72
【アイテム】なし
ーーーーーーーーーーー
全長150cm 幅80cm 尻の先に50cmの毒針あり
メルとエリザベスが一歩前に出る。その間にわしとマリリンが移動する。
壁のお蔭で最大3匹を相手するだけで良いので余裕が出来る。
前3人が疲れたらわしとマリリンが変われば良い。
先頭の蟻を前衛3人がそれぞれ相手をする。
メルは、噛みつこうとした蟻を躱してカウンターで触覚を斬る。斬られた蟻は混乱したのか顔を激しく動かして体の動きを止めた。そのスキに首をカラクリ長爪で飛ばした。首が無くなっているのに闇に包まれるには少し時間が掛かった。
ラルチェの攻撃は、豪快の一言に尽きる。複合槍を振りかぶっては轟音と共に大槌の面を下にして振り落す。蟻は、狭いので避けられずに潰されていく。
エリザベスは、まるで舞を舞っているかの様な剣筋で華麗に蟻を一刀両断していた。
後衛のアリスは上級闇魔法で入り口付近の蟻達を混乱させていた。
オードリーは地と火の精霊を呼び岩壁と火柱の補強に充てる。
自分は風大弓で蟻達に矢の雨を降らしていた。
わしとマリリンは何もしていない様に見えるがそんな事はない。マリリンの仕事は治癒なので魔力が温存させている。わしは、メルが仕留めた死体に九尾鞭を振り闇に包まれる時間を速めている。
押し寄せる蟻達を蹴散らしても入り口の蟻達は混乱して同士討ちをしているので全滅にならない。
今のペースだと前衛が10匹倒すと少し時間が出来る。
その間にわしは九尾鞭を使い魔石やアイテムを拾っては劣化アイテムボックスに入れていく。
マリリンは前衛の3人の傷を癒していく。
「メル。わしと交代じゃ。下がれ。」
「申し訳ございません。タケル様」
メルが疲れを見せたのでわしは交代を命じて休ませる。
スピードタイプのメルは動き続けるのでどうしても体力の消耗が他の者よりも多くなる。
「何を謝っているのだ。見てるだけなのが飽きただけじゃ。」
気を使わせない様にメルに言うと九尾鞭を<斬撃>を込めて広範囲に振った。
ラルチェやエリザベスの前の蟻も巻き込んで合計5匹まとめてバラバラに切断した。
後ろの蟻達が残骸を踏みつけながら前に出る。
わしは目の前まで引き連れて九尾鞭を振っては多量に蟻達を切り刻む。
1時間位経ったので今度はエリザベスとメルを交代させる。
「エリザベス!メルと交代だ。拒否は認めん。」
「くっ。まだやれますのに・・・。わかりました。王様。」
命令しないとエリザベス休もうとしないので困る。弱音を吐くのを嫌っているのは判るが魔物相手にムキになってもしょうがない。疲れたら休めば良い。
それから1時間交代でメルとエリザベスが交代させた。休んでいる間にマリリンが治癒をしている。
ラルチェが交代しない理由は簡単じゃ。必要無いからじゃ。
ルル様の特訓を受けたわし・アリス・ラルチェの3人は最大7日間は休まずに戦えるようになった。
眠気が限界に来ると闘いながら寝る事が出来るようになり、寝ている間は、起きている時よりも無駄な動きが無くなる。罠に嵌める等の頭を使う作戦は出来ないが純粋な戦闘でなら寝ている方が強い。
「タケル様。19時を過ぎました。」
アリスから時間を教えられたのでそろそろ終わりにする事にした。
わしは、入り口前に設置した魔法陣を発動させて厚い岩壁で入れ口を塞ぐ。
部屋の中の蟻達は、九尾鞭の餌食になりアッサリアイテムと化したのでみんなで手分けして魔石とアイテムを拾ってアリスのアイテムボックスへ入れる。
アリスが清算するのでわしが拾った分もアリスのアイテムボックスに追加した。
全て拾ったので転移陣を使って塔の外に出た。
外に出ると空は暗く完全に夜になっていた。
塔の周りには沢山の光魔法の魔道具が光を照らしているので明るい。この魔道具は夜の間はずっとついている。塔に籠っているものは深夜でも帰還する事があるのでいつも明るい状態を保つようにしている。
商業ギルドの出張所もあり24時間営業をしている。
この国の最大の収入源なのでこの位は優遇する。
わしらは商業ギルドの出張所にある買取専門の窓口に向かう。混む時間が過ぎているのかそんなに待たずに順番が来た。
「いらっしゃいませ。タケルさん。それではあちらの個室に案内します。」
「はい。分りました。何処までもついて行きます。イタッ」
アリスとラルチェに尻を抓られる。
一国の王と眷属では、同然眷属が偉い。存在としても格が上なので逆らえん。
ルル様達の家族とは仲が良いので気にしないが会ったことも無い女神の眷属には失礼内容にするのは当たり前じゃ。
個室に案内されると大きなテーブルとソファがある。座る様に勧められたのでわしらは座る。
アリスがアイテムボックスから魔石やアイテムを出してテーブルに並べて行く。
テーブルの上は、アイテムと魔石の山が出来てきた。
「これで全部ですか。タケルさんが誤魔化すような事はしないでしょうが規則なの調べます」
眷属が指を鳴らすとわし等全員が光りだすが一瞬で光が消えた。
「はい。結構です。それでは会計しますのでギルドカードを出して下さい。」
わし等は眷属にギルドカードを渡すとテーブルの上のアイテムや魔石が一瞬で消えた。
今度は、ギルドカードが一瞬光った。
「ご利用ありがとうございました。」
眷属は一人づつ丁寧にギルドカードを返してくれた。
ギルドを出てからギルドカードを確認するとレベルが1つ上がっていた。
アリスとラルチェが2つ。オードリーが3つ。マリリンとメルが4つ。エリザベスが5つ。
たった1日で上がるとは戦闘蟻サマサマじゃ。
次も美味しい狩場を見つけられれば良いのじゃが。




