第三十二話 「ラトの真実」
ギルド設置前祝の祭りの準備に村人達は慌てて家に帰って行った。
負けた反対派も急いで帰っていたので塞ぎ込む事はないじゃろう。
うむ。祭りを宣言して良かった。祭りは村人達の数少ない娯楽じゃ、不貞腐れていては楽しめんじゃろう。それに、ギルド設置には、神々の審査があるのでかなりの時間がかかるから暫らくは何も変わらん。
村人達を見ているとラトの一団がわしに近づいてきた。
ラルチェとアリスも気付き、わしの傍にやって来る。
「タケル様。ギルドの設置おめでとうございます。」
「気が早いな、神々の審判を受からねばならんぞ。」
「タケル様であれば問題ないでしょう。これでこの村も発展する事間違いなしです。」
「ラトよ。喜んでいる処悪いが、ギルドの申請は神人:黄龍様の村で行うぞ。
明日の祭りの買い出しに貿易都市まで行くがお前たちはどうする。
帰る者がいるなら連れて行くぞ。」
ラトの驚き様はすごかった。目と口が限界まで開いて固まっている。
ふふふ。これが見たかったのじゃ。
ラトは自分の計画を水面下で確実に進めていたので、かなりの利益を期待していたのだろう。
確実な利益を得る為にギルドを設置させようとしていたので村人と商売の約束もしていたのじゃろう。
そう簡単に出し抜かれてたまるか、わしもギルドは必要と思っていたがわしが決めると村人達の不満が出てしまう。今回は、わしが動かなくてもラトが勝手に動くと思い利用させてもらった。
固まるラトに若い商人達は帰りたいと訴え、後ろの傭兵達は相談している。
医療ギルドの女だけが残ると主張していたが護衛対象が帰るのであれば残るのはおかしいと皆に止められていた。わしに助けを求めて詰め寄ろうとしたがラルチェとアリスの二人にガードされていた。
しばらく時間がかかったがラトは復活すると商人達や傭兵達と話し合い、悔しそうな顔をして一緒に帰る事をわしに告げた。
その時、小声で「買い物の後で構いませんが、私の商会に来ていただけませんか、お願いしたいことがあります。」と言い残して離れて行った。
買い物は私の所でと言われると思っていたのがそれよりも大切な話がある様じゃな。
わしは顔色を変えずに買い出し時間も考えてすぐに出発するので急いで館に来るように告げた。
わしらも館に戻ると走り屋とネルリンを呼んだ。
2人の眷属が来る頃には、ラトの一団も館に集まってきた。
ラト達は、眷属の大きさに驚き、食べられる事に恐怖をしていたが寝ているネルリンはサクッと食べていった。わしは、ラルチェとアリスに後を任せると告げるとネルリンに食べられ移動した。
気が付くと貿易都市の商業ギルドの前に全員、降ろされていた。
わしとラトは商業ギルドに入り、護衛達は医療ギルドの女以外は解散した。
わしの顔を見るなり、職員達が一斉に立ち上がり挨拶をして、その中でも一番偉そうな男がギルドマスターの部屋へ案内してくれた。
部屋に入るなり、ラトはギルドマスターに報告をしている。
報告を受けている内にギルドマスターの顔色はドンドン悪くなり、報告が終わるとすぐにわしに土下座をして謝罪してきた。
何時の間に土下座を覚えたのじゃと疑問に思ったが今回の行商は誰も悪くないので不問にすることを告げると生還を果たした冒険家のような喜びに満ちた顔で席に着いた。
わしは、今日の要件とギルド設置するのでしばらくは行商は要らない事や設置後もこの貿易都市と転移陣を検討することも告げた。それと、今回の買い物はラトの商会で買う事も付け加えた。
ギルドマスターは快く了承したのでわしは、ラトと一緒に商業ギルドを出た。
ラトを待っていた若い商人に案内されて馬車に乗り込もうとした時に医療ギルドの女に抱き着かれた。
これからラトと大事な話があるのだが、医療ギルドとの関係も大切にしたいので一緒に馬車に乗りラトの商会へ向かった。けして、豊満な胸を押しけられた訳ではないぞ。村人の為じゃ。
わしの館よりも大きな家の前に馬車が止まる。馬車を降りると店員全員で出迎えてくれた。
ラトは商談部屋ではなく、豪華な応接間にわしらを案内した。
ソファに座るとすぐに可憐な美女が黙ってお茶を運んでくれた。
美女の頭には大きな狼の耳があり、大きな狼の尻尾があった。
派手では無いが気品がある服を着ていで店員やメイドではない事がわかる。
「タケル様。孫のメルと申します。この者は生まれつき言葉が話せませんが頭も良く、丈夫で手先も器用なので家事全般、会計、武術まで一通りできます。
未成人なので成人の時には、性行伝授の儀をタケル様にお願い出来ないでしょうか。
そして、本来ならもっとタケル様の信頼を得てからお話しする予定でしたが・・・お願いです。
タケル様の再生魔術のお力でメルを治して頂けないでしょうか。
当然、対価はお支払いします。」
わしは、メルを見ると視線に気付いたのか黙ってお辞儀をした。
医療ギルドの女に「治せるか」と聞くと「医療ギルドではムリです」と悔しそうに答えが返ってきた。
医療ギルドの女の話では、瀕死のケガを治癒する自信はあるが先天性のケガや病は治せないらしい。
この世界は、軽いケガや病は薬で治して、重傷の時だけ治癒魔法を使う。
医療ギルドの職員の大半は治癒魔法を使えないが薬の配合でケガや病を治している。
治癒魔法の取得はかなり難しく、再生魔術はさらに困難でしかも他の魔法と比べて10倍以上の経験値が必要な為、大都市の医療ギルドでもレベル30台がいれば良い方らしい。
なるほど、医療ギルドとしたら再生魔術のレベルが70のわしはどんな事をしても欲しいのじゃろう。
医療ギルドの女は若くしてランク7にまでになったのじゃ、きっとギルドマスター候補で、自分がギルドマスターになった時に手の届く処にわしを置いときたいのであろう。
計算が出来る女は嫌いではないぞ。
考えているといると乱暴に扉が開いてフルアーマーの男が入って来た。
移動音が少ないのでかなり高価な鎧を着ているのはわかる。しかも動きに無駄が無い。
とっさに腰の鞭に手を伸ばした。
「オヤジ。メルを治せる奴が来たのは本当か?」
「やかましいぞ!!バカ息子が!!大切なお客様の前だぞ!!!
タケル様。申し訳ございません。息子がご無礼しました。
この男がメルの父親で、私の3男になります。
見ての通り無頼者で商会の護衛隊長をしています。」
「そんな事よりどうなんだよ。治せるのかどうな・・・・ギャャー
待て、待て、痛いって。悪かった。メル止めてくれーー
誰か止めろーーー」
3男は後ろから飛び蹴りを喰らい、壁に激突して倒れるとメルが素早く上に乗り顔面を殴打している。
誰もメルを止めようとしていないので日常的な光景なのじゃろう。
「ホホホ。すみません。再生魔術士様。うちのバカが失礼をしました。
それでメルは治せるのでしょうか。」
飛び蹴りをして入って来た狼耳と尻尾が目立つ女性はどうやら3男の奥さんらしい。
胸元が開いたドレスにヒールを履いているのがそれ程背が高くいない。
背が低いのがコンプレックスかもしれん。
そもそも、ヒールを履いているのに飛び蹴りでフルアーマーの男を飛ばすとは、どんだけ強いのじゃ。
しかも笑いながら近寄って来るので目の前に大きな桃が迫って来る。
「再生魔術士様。お願いです。どうかメルを治してください。お願いします。」
近いと近いと思っている内に頭を抱えられて胸の谷間に顔が埋もれて行く。
柔らかい。とろけるような柔らかさじゃ。極楽。極楽。
「いい加減にせいお前達。タケル様が困っているではないか。」
ラトよ困っているどころかわしは喜んでいるぞ。
胸の感触に未練があったが、奥さんから離れると「治療するので部屋を貸せ」とラトに言う。
部屋を出る時にラトに「貸しじゃからな」と言い残しいく。
部屋に案内されるとそこは人形やぬいぐるみがいっぱいのメルの部屋じゃった。
ピンクと白で統一された家具を見るとメルはかなり少女趣味だと判る。
正直目が痛いがメルを診断すると言ったらここに通されたので仕方がない。
部屋には、メルと奥さんと医療ギルドの女とわしで4人。
医療ギルドの女は勉強の為と土下座までして見学を希望したので断れなかった。
「それでは診断を始めるぞ。まずは、ベッドに座りなさい。」
メルに言うと突然を服を脱ぎだした。わしは止めるのも勿体ないので待っていると下着も脱いで全裸になってから座った。
本当は不要じゃが折角なので裸体を堪能する。
まずは、良く見る。次に触って確認する。時には刺激も与えて変化を見る。
メルは体毛が殆んどなく、尻尾と耳が無ければわしの世界でも問題なく暮らせる容姿をしていた。
テンションが上がったのでわしも脱いでメルにはベッドの上に乗ってもらい、四つん這い等いくつかのポーズを取ってもらった。
最終的に「茶臼のばし」のポーズのまま全身で再生魔術を使うイメージ治療を始めた。わしの全身が白く輝き始める。わしのレベルであれば患部に触っていなくても体に接触していれば効果はある。しかし、時間がかかるのでそれを利用して感触を長く楽しんでいたが1時間位で完治してしまった。
「うむ。終わったぞ。メル何か喋ってみなさい。最初はゆっくりじゃ。」
「あ゛。あっ。あ・あ・・・マ・・・マ・。」
うむ。これで良し。後は練習あるのみじゃ。メルは離れなかったのでわしの上で練習をしている。
わしは練習しやすい様にメルを両手で支える。胸を揉む形になったのは偶然じゃ。
練習してるメルにいきなり奥さんが抱き締めた。
「メルちゃん。ママよ。今、ママって言ったわよね。」
「う・・。ま・・ま・・。」
二人は泣きながら喜び合っている。生まれた時から喋れないのじゃ。どれだけ苦労した事か今は喜びに分かち合うが良い。
心が洗われる様な光景がわしの上で行われているがわしの目の前には奥さんの巨大な桃が揺れている。
二人が激しく抱き合っていると突然、奥さんの桃が飛び出して来た。
メルが奥さんのホックを外ずしてしまったらしい。
奥さんは気にせずにメルと言葉の練習をしている。
顔面で柔らかい極上の桃を堪能していると医療ギルドの女の手が伸びてくる。
女の手は的確にわしを刺激してきたのでわしも負けずに奥さんの桃を刺激した。
暫らくすると奥さんがメルをわしから離れさせた。
そこには肉食獣が獲物を狙う時の目をした2匹のメスが居る。メルは不思議そうな顔をしていたが声の練習を続けている。
二匹の肉食獣との戦いはあっさり勝利をしたので服を着るとメルに手伝ってもらい寝ている二人に服を着せた。わしの【愛の伝道師】レベルならこんなもんじゃろう。ラルチェとアリスが異常なのじゃ。
メイドの案内でメルと一緒に応接間に戻るとラトの家族が勢ぞろいで出迎える。
フルアーマーの男は鎖に巻かれて天井から吊るされていたが誰も気にしていない。
「・・み・ん・な・・な・お・た・・。」
ゆっくり一言一言声を出すメル。
その声を聞いた家族は歓喜に包まれた。泣いて喜ぶ者もいる。
フルアーマーの男は鎖を引き千切りメルに抱き着こうとしたがカウンターを喰らい壁にめりこんでいた。
痛みを感じないのか何度も何度もメルを抱きしめようとするが全て返り討ちに会い、今はタワーブリッジをかけられている。
ラトにソファまで案内されて座るとわしの手を取り、膝をついて感謝された。
「タケル様。本当にありがとうございます。
実は、メルを治す為に様々な医療ギルドに依頼しても治らず。
ギルドマスターからの依頼の時にタケル様が高度な再生魔術が使えることは聞いていました。
事業拡大もありますが、メルの治療もあって今回の依頼を受けました。
本来であれば、例えギルドマスターの依頼でも荷が無くなれば引き返すのですがメルの為と思いなんとか村にたどり着きました。
護衛達を治した腕前とお金を取らない気前の良さにタケル様ならと確信しました。
最初にメルの事を言わなかったのは、タケル様はお金では動かない方だと思ったからです。
タケル様は情が厚い方だとわかり、まずは信頼を勝ち得てからお話ししようと思っていました。
ちなみに医療ギルドで最高の再生魔術のレベルは40台で依頼した時は2億程請求されましたが治りませんでした。」
なっ。2億じゃと。そんなに高いのか。良し、金に困ったら再生魔術で稼ぐとするか。
ふと、窓を見ると完全に夜だった。これは拙い、ラルチェとアリスに何を言われるかわかったモノではない。わしは慌ててラトに準備が終わっているのか確認する。
「ラト。商品はそろっているのか。そろそろ帰らねば拙い。」
「はい。全てご用意しております。メルの恩人にお金は摂れません。
ご希望の品と私が村で足らないと思った物も合わせて様々な物をご用意しました。
食事も用意しましたがどうされますか。」
「食事を取っている時間は無い。これを渡すので後で読むが良い。
すまん急いで案内してくれ。」
わしは、ラトに手紙を渡すと神妙な顔で受取り懐に仕舞った。倉庫にはラトとメルが案内してくれたのでネルリンを呼んで食べてさせて、家族総出で見送られながらわしは帰った。
館に着くと手に入れて品は明日にして急いで玄関を開けた。
そこには、笑顔のラルチェとアリスが仁王立ちで待っていた。。
「ただいま。ラルチェ、アリス。ラトから様々な物をもらったので明日の確認しよう。」
「おかえりなさい~。タケル様~。明日が楽しみです~。」
「おかえりなさい。タケル様。お疲れの様ですのでお風呂から入りましようか。」
わしは笑顔のラルチェとアリスに左右の腕を掴まれて風呂場へ連行された。
「痛いぞ。二人とも。爪が食い込んでおる。」
二人は無言で力を込めながらわしを風呂場に運んだ。
風呂場に着くと服を破りながら脱がされて二人掛りで乱暴に洗われる。
風呂場にはわしの悲鳴が響き・・・・暫らくするとラルチェとアリスの声だけが響き渡った。
ツヤツヤな二人とは対照的に疲れ切ったわしは冷めた食事一人で食べて眠りについた。
翌日の祭りは昼から始まり、盛大に盛り上がって深夜まで続いた。
ラトの用意した酒は頼んだ数の数倍もあったので飲み切る事が出来ずに地下牢に保管された。
ラルチェとアリスを誘う男達がいたが女連中に見つかるとボコられていた。
二人は女性達にも人気があり、わし以外の男が近づくと結託して排除されている。
わしは、各区の代表者達と飲みこれからの村について熱い議論を交わしていた。
途中、村人も参加して大いに盛り上がって深夜まで続いた。
議論に参加しない若い男女達は、あちらこちらで姿を消していたが誰も気にしなかった。
ラルチェとアリスは女達に守られているから安全じゃが念の為、【気配探知】で居場所を確認した。
わしは・・ストーカーではないぞ。
ラルチェとアリスを信じているが襲われてはいかんと思って【気配探知】を使っているのだからな。
祭りが終わり、床に入るとラルチェとアリスが甘えて来たので聞いてみると
「タケル様~。今日は何時にも増して視線を感じましたよ~。嬉しかったです~。」
「祭りの時は、タケル様の独占欲を感じられる数少ないイベントですから。」
二人には【気配探知】がバレていた・・・・恥ずかしい。
「ラルチェ。男の方の独占欲を可愛いと思えるようにならないとダメですよ。」
アリスが止めを刺すように小声でラルチェに教えていた。
恥ずかしいので二人を黙らせようと攻め立てると夜が深けて行った。
翌日の朝、アルタに連絡をしてギルドの申請を依頼した。




