第三十一話 「動き出す者達 後編」
傭兵達は全部で5人。全員軽装で武器を持たずにソファに座っている。
時間もないので始めるとするか。
まずは暗器の確認じゃ。全員に服を脱ぎ、隠している物を出す様にを命じた。
傭兵達はすっと立つと無表情で脱ぎだす。
わしから見て右から順番に看破&鑑定をした。全員ランクは7だが大した【能力】は無かった。男は軽く流し、女はじっくり観察した。ラルチェとアリスには検査じゃと言ったがアリスは笑顔のまま微笑んでいる。まるで「後でお仕置きですよ」と言っているようじゃ。これは、お仕置きされるのは確定じゃな。それなら堂々と触るとしよう。
戦闘ギルドの職員は、光人族の男で190cmガッチリとした体型。【能力】から槍が得意な戦士だとわかる。指輪から針が飛び出す暗器と爆発の魔道具を持っていたので回収した。
工業ギルドの職員は、地人族の男で150cm全身筋肉でまるで筋肉達磨のような体型。【能力】から斧が得意な戦士で、見かけによらず細工が一番高かった。次は鍛冶と斧が高く、まるでおとぎ話のドワーフじゃな。
農業ギルドの職員は、無人族のネコタイプの男で170cm中肉中背の特徴が無い体型。【能力】からはクワやスコップを武器に土魔法・火魔法・光魔法を使う魔法戦士じゃった。闘う姿を想像するとかなりシュールじゃな。正直戦いたくないと言うよりもこんな戦闘スタイルは認めたくない。魔法戦士といえば花形なのに。
魔法ギルドの職員は、風人族の女で165cm髪は腰まで伸ばしていてスレンダーなモデル体型。体毛は少なく色気よりも可憐さが目立つ。胸も尻も触り心地ちは良いのじゃがボリューム感が無いのが残念じゃ。
【能力】は精霊魔法・風魔法・弓の順で戦った。まるでおとぎ話のエルフのようじゃった。
医療ギルドの職員は、光人族の女で160cm髪はくせ毛のようで肩まで伸ばしている。太っていないが豊満な体型で胸と尻のボリューム感は満点じゃった。自然主義なのか体毛は手入れをしていなかった。
【能力】は光魔法・治癒魔法・水魔法・メイス・盾の順で高く、ゲームに出てくる神官のようじゃった。
脱いだので男たちは座る様に命じる。女達は呼び寄せ、わしと向かい合うように片足ずつ座らせた。
ラルチェとアリスから殺気を浴びるが今更辞めてもお仕置きは確定なのでスルーすることにした。
両手で女性の神秘を堪能しながら話を進めた。
話が長かったので聞いた内容をまめた。
全ギルド、共通しているのは、わしの人柄と交通の危険度と結界石の調査じゃ。
各ギルドの思惑は後で言おう。
わしの評価は高く、戦闘ギルド以外は問題ないと判断していた。
戦闘ギルドも迷っていて今日の話し合いで決める予定だったようじゃ。
医療ギルドはわしの再生魔術に感動してスカウトしたいようで話している時は情熱的に体を重ねて来た。
交通に関しては危険と判断しているので転移陣は必須と考えている。
結界石の大きさに皆驚いていた。魔法ギルドが一番執着をしていたので気を付けねばなるまい。
戦闘ギルドは、村周辺のダンジョンの有無と魔物の狩り場レベルの確認。わしが危険と判断したら暗殺をするように命じられていた。爆発の魔道具を持っていたので、失敗したら証拠隠滅に使う予定じゃったのだろう。
工業ギルドは、村周辺のダンジョンと採掘場の有無の確認。
農業ギルドは、農業の生産力と農作物の種類の調査。
魔法ギルドは、村周辺のダンジョンの有無と魔物の狩り場レベルの確認。
治癒ギルドは、村人の生活レベルと布教のしやすさの調査。
そろそろ時間なので名残惜しいが服を着せてソファに寝る様に命じた。
これで起きた時には元に戻っているじゃろう。
ラルチェとアリスにどちらか残る様に命じてわしは部屋を出た。
しかし、二人共ついてきた。わしは文句を言おうとするとラルチェに担ぎ上げられて、アリスには耳を抓られる。
「痛っ。痛いぞ二人共。離してくれ。」
「大丈夫ですよ~。わたしは直ぐに部屋に戻りますから~。」
「あらあら。タケル様もわかっていて楽しんだのでしょう。
本当に困った方です。フフフ」
笑顔のラルチェとアリスは笑いながらわしを地下室へ連れて行く。
地下室の最奥に拷問部屋があり、二人はまっすぐ入って行った。
二人で協力しながらわしの手足に壁から伸びている枷を嵌めて行った。
「タケル様のバカ~。スケベ~。節操なし~。」
「ぐふっ。おっ。」
ラルチェの拳の嵐が次々わしの体を喰らい尽くす。
ラルチェも慣れたモノで意識が飛ばない様に顔から下を殴って行く。
わしは再生魔術を使いながら受けて行くとアリスが止めた。
「ラルチェ。そろそろ戻らないと傭兵達が起きてしまいますよ。特にあの淫乱な光人族の女は目を離さない様にして下さい。」
「はーい~。ではタケル様~。いってきますね~」
濃厚なキスを残してラルチェは部屋を出て行った。
うむ。ラルチェなら襲われても返り討ちできるから問題ないじゃろう。
「あまり時間が無いので一気にいきますよタケル様。」
アリスが妖艶な笑みを浮かべて上級闇魔法を高めていった。
わしは目を覚ますとラルチェとアリスに抱き締められていた。
「タケル様~。おはようございます~。」
「タケル様。傭兵達が待ていますよ。」
再生魔術で治癒すると頭が冷めて来た。服を見るとシワや汚れもなく綺麗だったのでそのまま、応接間に向かった。
ラルチェとアリスに扉を開けさせてから堂々と中に入った。
扉が開くと傭兵達は一斉に立ち上がり頭を下げた。わしが座っても頭を下げていたので慌てて「楽にしろ」と言うと頭を上げて座っていった。
「まずは、お前たちに説明せねばなるまい。実は、昨日会った時に用事があると言っただろう。
その用事とは、神獣:カーバンクルのルーブル・ファームル様を招いて宴を開いておったのじゃ。
宴は夜通し続けられてお前たちが来た時はゲームをしていたのじゃがタイミングが悪かったのじゃな。
ちょうどカーバンクル様が負けが続いていた時に訪問したので終わりにする事を告げると怒り出してしまい、そのままの勢いで玄関に向かいお前達に怒りをぶつけてしまった。
ただ、安心せい、体はカーバンクル様とわしが治したので問題ないが目を覚ますのに時間がかかるので応接間で寝かせることにしたのじゃ。
カーバンクル様も普段はお優しいのじゃがテンションが上がると稀に羽目を外してしまう困ったお方じゃ。皆には悪かったが神々と付き合うとよくある事なので慣れるしかないがのぉ。
そうじゃろ、ラルチェ・アリス。フォフォフォ。」
「いつもの事です~。はい~。お茶ですよ~。」
「確かにいつもの事ですね。どうぞ。」
ラルチェとアリスはお茶を並べながら返事をした。
傭兵達は、体を抱いて震えていた。
「なるほど。神獣様とお付き合いするのも大変なのですね。」
戦闘ギルドの職員が何とか声を出しているがお茶を飲む手は震えていた。
それからは和やかに雑談をしながら時間が過ぎて行った。途中、腹の探り合いもあったが、かるく躱した。後半に戦闘ギルドの職員だけ見える角度に暗器の指輪を見せると一瞬だけ顔を変えただけで何もなかったように話していた。その様子を他の傭兵達も見ていたのは流石じゃ。ランク7ともなれば抜け目がないのぉ。
昼を過ぎた頃、傭兵達が帰るので商人達に言付けを頼んだ。
明日の午後、湖の前で採決を取るので商人や傭兵達も来るように頼んだ
応接間を出る時に医療ギルドの職員がわしの所まで来て身を寄せようとしたがラルチェとアリスによって阻まれていた。3人共笑顔なのに空気だけがかなり重かった。帰る時に「タケル様。今度は一人でお伺いします。」と爆弾を落としていった。
各区の代表者達が来るまでわしは二人の機嫌を直すために寝室で過ごす事になったのは言うまでない。
各区の代表者が訪問したので会議を始めた。
まずは、各区の総意を聞いたが中立派が半分を超えていた。
これは拙いと思い、会議の場を一番大きな広場へ移した。
広場なら村人たちも聞けるじゃろう。
広場に着くとわしは一段高い所で見下ろす形を取り、右側に賛成派、左に反対派の椅子を並べる。
中立派は、自由に移動出来るように真ん中に椅子を並べた。
わしは再度、中立は認めないことを宣言して会議が終わるまでにはどちらかに移動するように命じた。
そして、明日は賛成派と反対派で演説をしてから採決をする事も告げると後は各区の代表者にまかせた。
そうすると中立派を取り込もうとかなりの熱い議論になった。
普段おとなしい村人達からは信じられない暴言が飛び交うこともあった。
あまりにもエキサイトした時はわしが止めて、議論を進める様にする。
広場の騒ぎに気付いた村人達が徐々に集まる。
面白い事に見学者達も段々と賛成派と反対派に判れて行き、ヤジが飛ぶようになった。
喧嘩を始めようとする者達はわしが九尾鞭を使い拘束する度に「喧嘩するならわしが相手になるぞ」と脅すとしばらくは沈静化する。
夕方になり暗くなっても決まらなかったのでわしは上級光魔法を使い広範囲に灯りを照らした。
完全に夜になると光魔法が使える村人も灯りを照らし始めた。
中立派が移動する度に歓声と悲鳴があがる。
残り1つになった時、賛成派と反対派の数は同数になった。
このまま決めると残った区の代表者が決めた事になるかもしれんのでわしは会議を終わらせる事にした。この後は、酒場や家族で話し合えば良い。この場の勢いで決めるより一晩経って冷静になってからの方が良いじゃろう。
「皆の者。今日はもう遅い。賛成派と反対派は同数じゃった。
今晩もう一度考えてから明日の午後湖に来てもらうぞ。
男だけではないぞ、女子供全てじゃ。必ず参加してほしい。
採決方法は先程、説明した通りじゃ。忘れるでないぞ。
では、解散じゃゃゃゃ。」
わしが解散を宣言すると帰る者、この場に残る者、酒場に向かう者等様々な反応を見せる。
その中で気になったのが、賛成派と中立派の中には若い商人が混ざり、ラトは反対派の中に消えて行った。傭兵達も居たが派閥に混ざることなく酒場に行く者や宿に帰る者が居た。
わしは、村全体に上級光魔法を使い帰り道を明るくする。皆がある程度帰るまで様子を見め為に残った。喧嘩するバカにお仕置きをする為じゃ。
しばらく待っていると医療ギルドの女がわしに挨拶に来たがラルチェとアリスに止められている。
二人のガードは鉄壁で絶対に通さないようにしていた。わしは構わないのじゃがと思っていると戦闘ギルドの男に襟首を掴まれ引きづられる様にして帰って行った。
村人も帰り静かになった広場を後にしてわしらも帰った。
ちなみにラルチェとアリスはいつも以上に積極的奉仕をしてくれたので明日は寝不足かもしれん。
翌日、朝食を食べると湖に向かった。
会場の準備と言っても高台を作りそれに細工をするのと線を引くだけなのですぐに終わるが湖には漁師たちが漁をしているので静かにゆっくり時間をかけた。
それでも時間は余るので、村人を待つ間は釣りを楽しむことにした。
この湖は広大で端が見えない。【自動地図】によると東西50km、南北80km深さは測っていないが50mはあるかもしれん。湖の真ん中に大きな岩があり、そのあたりまでは結界石で守られているので漁師達は
決して岩を越えない様にしている。
それでも岩の辺りだと魔物に襲われることもあるので大部手前で漁をしている。
魚たちも魔物に襲われないのが判っているのか村側に多種多様に生息しているので大量に取れる。
わしらが釣りを楽しんでいると村人達が集まって来た。
大量に取れたので今晩が楽しみじゃ。
村人が集まったので点呼を取るように命じると全ての村人を確認できた。
端の方に商人や傭兵達もいる。
わしは高台に乗り、魔法陣を使った。上級風魔法で作った音を大きくする魔法陣じゃ。
「皆の者。聞こえるか?うむ。良く集まった。時間も惜しいので、始めるとしよう。
まずは賛成派の者から演説をしてもらうぞ。
次は、反対派なので準備をして待つが良い。」
賛成派の内容は、如何にこの村が発展するのか、物が豊富になるのかなど良い所のみを語っていた。
これは商人の知恵も入っておるな。話がまとまっている。
演説が終わると賛同とヤジが飛んだが賛同の方が多い様に聞こえた。
次に反対派の内容は、治安悪化の恐れ、移住者との衝突、これまで外道領主が現れるまでは問題なく暮らしていたので今更帰る理由が無い事など感情に任せて語っていた。話はまとまっていないが心に来る物がある。
演説が終わると賛同とヤジが飛んだがこちらも賛同の方が多い様に聞こえた。
「うむ。両方の良い分にはどちらも理があり、どちらも正しいじゃろう。
踏みとどまれば変化は無いが今まで通りじゃ。
歩けば大ケガを負うこともあるが変化がおとずれるじゃろう。
どちらを選ぶにしろ、決めるのはお前達じゃ。
それでは、賛成者は右側に、反対者は左側に移動しなさい。
移動したら数を数えやすい様に10人毎に列を作ってもらうぞ。
代表者達が指揮を執りなさい。
では、移動を開始じゃゃゃゃゃ!!!!」
村人達は騒ぎながら移動し始める。あまりのうるささに鳥達や動物たちが逃げていく。
代表者達の指示に従い10人ずつ並んでいく。
暫らくすると綺麗に左右に分かれた。
「それでは数を数えるので皆の者動く出ないぞ。」
アリスが賛成をラルチェが反対の数を数えて行く。
数え方は列に漏れが無い事を確認して先頭を順に数えて行き、10人数えたら10人目の先頭者をわしの前に来させる。数えた者は座らせる。それを繰り返し行う。
村人は3000人は居ないのでわしの前には30人は集まらない。
僅差でないので端数まで数えなくても良いじゃろう。
反対は13人目から人が来なくなったが賛成が終わるまで待たせた。
結果は賛成:16人、反対:13人。
賛成派は喜び、反対派は泣き崩れていた。
「うむ。それではこの村にギルドを作る事にする。
不満を持つ者もおるじゃろうが今は我慢せい。
わしがしっかりギルドの者達と話をつけて、この村の不利にならない様にすることを誓うぞ。
それでは、これからの村の発展に祝して、明日は祭りを開く。
皆の者準備をしろ。
それでは解散じゃゃゃゃゃゃ。」
これは、ラトの仕業じゃろうな。昨日のうちに反対派を丸め込んだのじゃろう。
バレない様に微妙な人数だけ絞っているのもうまい。
これから忙しくなるは確定しているがせめて、明日の祭りは楽しまねば。
2話構成が体調崩して3話になってしまいました。
体調管理はしっかりせねばと思う今日この頃です。




