第二十九話 「動き出す者達 前篇」
わしは今は応接間の天井に魔法陣をいくつか書いている。
魔法陣は通常の魔法よりも魔力の消費が大きく、時間が経つと消えてしまうと言うデメリットはあるが意思だけで瞬時に魔法が発動できるメリットがある。
初めて会った時に看破&鑑定をしたが【罠発見】や【魔力察知】を持っていなかったので見つかる事はないじゃろう。
安全の為、心友の証を装備して会うのが一番なのじゃがそれでは、装備を見せびらかしたい成金者や商人を恐れている臆病者と思われるのも癪に障るので装備しないで会うことにした。
午後、1番に商人1だけが館へ訪れたのでアリスに応接間へ通す様に伝えた。
わしは、魔法陣の1つを使い待っている商人1を看破&鑑定した。
使った魔法陣は、上級空間魔法が込められており、応接間の鏡に写った景色を執務室の鏡に映し出す魔法じゃ。
ーーー看破&鑑定ーーー
名前:ラト・ガーバル
性別:男
種族:闇人族 ベヒモスタイプ
年齢:65
LV:37
HP:1150
MP:1400
SP:1050
【才能】
【能力】
・幸運 lv.40
・闇魔法 lv.22
・土魔法 Lv.25
・猪突猛進 Lv.30
・交渉術 lv.62
・看破 lv.63
・鑑定 lv.63
・算術 lv.61
【補助】
【アイテム】
旅人の服
ーーギルドガードーー
名前:ラト・ガーバル
レベル:37
年齢:65
性別:男性
貯金額:75,000,000
ギルドのランク
傭兵ギルド:3
商業ギルド:6
魔法ギルド:2
農業ギルド:2
工業ギルド:2
ーーーーーーーーーー
なるほど、傭兵で限界を感じて商人になったのじゃな。顔を売るのに色んなギルドで仕事を受けたのであろうな、その証拠に複数のギルドのランクがある。
ランク3から4に上がるのは才能が無ければ上がれんのかもしれん。
気になるのがいくら村の中でも武器を持っていないのは解せぬ。どうやらわしが鑑定を持っていることに気付いておるな。
レベルが低いのでわしに対して鑑定は出来ない筈なのに・・・今までの経験によって判ったのかもしれん。中々やるのぉ。
さて、あまり待たせてもいかんな。
念の為、上級光魔法で身体能力を上げて、上級闇魔法で魔法耐性を上げてから応接間へ向かった。
わしは、ラルチェとアリスに扉を開けさせてから堂々と中に入った。
演出は派手にせねばなるまい。
「またせたかな。ラト。」
「とんでもございません。わざわざ時間を作って頂き感謝の言葉もありません。」
あいさつと社交辞令の他愛無い会話をしている間にラルチェとアリスにお茶の用意をさせて、わしらの前に置くと部屋を出て行った。
二人が部屋出ても暫らくは雑談が続いたがラトの雰囲気が変わった。
さて、鬼が出るか蛇が出るか
「タケル様。実は、私は行商ではありません。貿易都市でも5本の指には入る商家の会頭です。
ギルドマスターは会頭自らが行商に出る事を第一の条件として有力な5つの商家に依頼をしました。
他の4家は会頭が高齢だったり、跡継ぎや次男等が行商する事を強く希望していましたので、全ての条件に当てはまったのは私だけでした。
その為、出発には時間がかかってしまい遅くなりました。」
「成程。時間がかかったのはそんな理由があったのじゃな。
ギルドマスターも会頭自らが条件とは厳しくしたのぉ。
それで、ラトの評価はどうじゃ。お前ほどの男がただ休んでいたわけではあるまい。」
「これはこれは、タケル様には、敵いません。
ギルドマスターは、タケル様の人柄、村の経済力、交通の危険度の調査が本命です。
傭兵の中には他のギルドの職員もいました。
さすが、派遣された職員ですな、生き残れたのは全て職員だけです。
村についてですが、
荒れている所が幾つかありますが農民総出て耕していましたので問題は無いでしょう。
無人族のチーズも大量にありましたので農作物に対してはかなりの輸出が見込めると思います。
交通については、行商が全滅しましたので安全とは言えません。
また、貿易都市から中継点になる村や町が少ないのも問題です。
昔は王都がありましたが、魔物に滅ぼされてからは小さな村が点々としかないありません。
最後にタケル様になりますが、
聞いていた人物像に比べて大変、知的で聡明な方だと思いました。
まさか、あそこまで高度な再生魔術を使えるとは思っておりませんでした。
通常でしたら1人1000万は請求されてもおかしくない所を無料とは考えられません。
しかも、自立型のゴーレムまで作成できるとは、流石2柱の心友でいらっしゃいます。」
ラトは、崇拝するような顔でわしの事を語っているが商人の話は話半分で聞かねば足元を救われる。
やはり最大の問題は、交通じゃな。今回は不幸が重なっただけじゃが、再度ないとは言えん。今回の話を聞いた行商は村には来ないじゃろう。商品が全て無くなっては大赤字どころか破産じゃ。
さて、どうしたら良いか。
走り屋に頼むのかは良いが風圧に押しつぶされるじゃろう。
ネルリンはわしが傍に居ないと本当に食べてしまうのでダメじゃ。
あれこれ考えているとラトが提案してきた。
「タケル様。1つ提案なのですが村にギルドを作るのはいかがでしようか。
ギルドが出来れば、転移陣によって移動は一瞬で済みます。
当然、大きさや重さの制限は掛かりますが交通の問題は解決します。」
「なるほど。しかし、転移陣の維持はかなり高いはずじゃ。
しかも、1度使うと次に使用できるのは数日かかる。とても採算が合わん。」
「それは大丈夫です。複数のギルドが維持費を出し合えば問題ないはずです。
村にギルドを作るには神々の審査が必要ですが、タケル様は2柱の心友ですから問題ないでしょう。
つきましては、農作物についての商談なのですが独占とは言いませんが優先的に私の商家へお売りして頂ければありがたいのですが・・。」
流石は商人じゃ。ちゃんと儲けが出る様に計算するわい。
この年で命の危険を冒してまでわざわざ事業拡大を狙うとは大した商売人じゃ。
それなりに野心も持っているのも良い。
こやつ面白いかもしれん。
「ラトよ。話は判った。村人と話した上で判断するので5日間待て。
その間の滞在費は全てわしが持つ。
それとよくギルドマスターの命令を教えてくれた。おぬしの心意気に答えよう。
帰りは安心せい。神獣の眷属にお願いしてお前たちを送ろう。
それと傭兵達には自由に村を見学しても良いと伝えてくれ。」
「成程。わかりました。それでは6日後にお伺いします。タケル様。それでは失礼します。」
「うむ。6日後に会おう。」
ラトが帰って行くのをわしは窓から眺めながら、裁判者のゴーレムを呼んで審判者達に監視するように告げた。
会議は明日で良いじゃろう。
これから忙しくなるぞ。
フォフォフォ。
今回は短くてすみません。




