第十七話 「乙女の怒り!!」
翌日、わしだけがラルチェやアリスの元に戻った。
「おそいです~。タケル様~。そんなにルル様と一緒に居たかったのですか~」
「・・・・・・遅い・・・・・バカ・」
二人の前にわしが現れるといきなり怒られた。
ラルチェは怒っているのは判るがほんわかした雰囲気は消せないので可愛く思えてしまう。
アリスは無表情に怒気を込めて怒るので何を考えているのか読めず、ものすごく怖い。
「モォォォォ~。タケル様のバカ~!!」
「・・・シ・・ね・・・。」
ラルチェがわしに角を突き出してくると同時にアリスが初級闇魔法を高めていく。
わしに角を引っかけると頭を下げて<かち上げ>をされて上空へ飛ばされる。
一番高くまで上昇すると一瞬止まる。後は落下するのを待つばかりじゃが。
停止中にアリスの初級闇魔法がわしに当たる。
うっ。あれ?痛くない・・・・ムズムズ?・・・・。
おっ。あそこがかゆいじゃとぉ・・。
痒い場所を掻きながら落下すれば当然、受け身が取れない。
頭から落ちて床から足を生やしたオブジェができた。
わしは再生魔術を使ってかゆみと傷を治癒しながら、
床から抜け出そうとするが二人の攻撃が止めないので脱出できない。
「ダメな子にはメッです~。」
「・・・・・滅・・・・・。」
「なぜじゃ。なぜそこをだけを集中攻撃するのじゃやゃゃゃ!!」
二人の攻撃は見事な連携で一点集中の攻撃をしてくる。
再生魔術が無ければわしはユニセックス男子になっていたじゃろう。
あれ?このセリフ昨日も言ったような気がするのじゃが。
二人の怒りを一身に受けて静まるのに数時間が過ぎた。
「わかりましたか~。タケル様~。私たちの時も同じくらいお願いしますね~」
「・・・・・コクコク・・・・。」
二人とも顔を真っ赤にしながら言うと恥ずかしいのか横を向いてしまった。
「二人とも。すまなかった。許しておくれ。そしてありがとう。」
わしは二人を一緒に抱き締めながら言うと顔は向けてくれないが抱きしめ返してくれた。
3人で抱き合うという幸せな時は長くは続かなかった。
それは、殺気を込めた念話が届いたことで幸せな空間が終わりを告げる。
誰じゃ。ラルチェの豊満な尻とアリスの引き締まっていながら弾力がある尻を楽しんでいたのに。
「タ・ケ・ル。仲良く抱き合っているところ悪いんだけど
僕に言うことはないのかなぁ。
ルルお姉ちゃんから散々と自慢されてねぇ。
この気持ちどうすればいいかわかるよね。タケルだったら
悪いけど二人ともしばらくタケルを借りるよ。いいよね。」
「アルタちゃん。どうぞです~。私たちのお仕置きは終りましたから~。
あっ。でも今晩は一緒に寝たいのでそれまでには返して下さいね~。」
「・・・・当日・・・返却・・・・・・・厳守。」
「OKだよ。二人ともありがとうね。今日中には返すよ。」
なんじゃ。この軽いノリは、しかもわしはこれからアルタに怒られることも確定しているのか。
あれ?いつの間にアルタと二人は知り合ったのじゃ?
聞いてみるとわしらがあまりにも遅いので二人は必死に探し回った。
何日も探しているうちに偶然アルタを見つけて仲良くなり、それからは毎日会いに行っていた。
時々、アルタの処でわしとルル様の決戦をリアルタイムで見ていたらしい。
うむ。なんでもアリなのじゃな、神人クラスになると。
「では、ラルチェ・アリス行って来るぞ」
「いってらっしゃいです~」
「・・・・いってらっしゃい・・。」
奴隷の首輪の所為でキスが出来ないのが歯がゆいが現れた魔法陣に吸い込まれてアルタの処へ向かった。
魔法陣から浮かび上がると強大な宝石にの中に黄金の龍が居た。
「こんにちは。アルタよ。何を怒っておるのじゃ。」
「それは怒るよ。当たり前でしょう!
輝くほどツヤツヤしたルルお姉ちゃんの自慢とノロケ話を聞かされれば。
タケルは知らないだろうけど。
【愛の伝道師】を取得させることはもの凄く難しい事で、
神獣・神人・神精霊の間では憧れる程のステータスになるんだからね。
玉藻御前や神精霊:水精霊のアプサラスなんかが得意なんだけど
狙っても体力を回復しているうちに、相手の心が壊れるから普通は無理なんだよ。
僕たちは人と性行するのは儀式以外しないし、
そもそも僕たちが自ら性行伝授の儀をすること自体が少ない。
そーしーて!まだ僕も取得させたことが無い!!!
こんなことなら僕が無理やり宝石から出て性行伝授の儀をすればよかった!! 」
ふむ。どうやらわしは悪くないらしい。
諦めない執念が実り【愛の伝道師】を取得しただけでわしは何も悪くない。
アルタの嫉妬なのじゃな、可愛い所があるではないか。
そんな事を思っていた時期もあったのぉ。
「タケル。最初に謝っておくね。ゴメン。」
突然、わしの頭上から雷が落ちて来た。
「のっおおおおおお。」
避けられずに感電する。
上を見ればいつの間にか雷雲が出来ており、時々光ったりとゴロゴロと鳴っている。
部屋の中に雷雲じゃとなんて出鱈目な世界なんじゃ。
感電の痺れから解放されると一先ず逃げることにした。サッサッ。
しかし、タケルは雷雲に回り込まれた。タケルは逃げられない。
雷が落ちる。ゴロゴロ、ズドォォォーーーン。
タケルにクリティカルヒット。タケルは痺れて動けない。
「タケル。頑張り過ぎだよ。エッチだよ。スケベだよ。えーと。無節操だよ」
落雷中、罵声が飛ぶ。時々、的外れなことを言うのがアルタらしい。
暫らく雷に打たれていると雷雲が薄くなってきた。これで、話が出来る。
「アルタよ。気が済んだか。そろそろわしも限界じゃ。」
「えーーー。しょうがないなぁ、1つお願いを聞いてくれたら許してあげる。
これを左手の薬指にはめてね。絶対外しちゃダメだよ。」
龍がデザインされた金色のアーマーリングを受け取る。
ーーー看破&鑑定ーーー
アイテム 黄龍の心友
神人:黄龍 アルベルタ・ディータを召喚出来る。
全ての取得経験値アップ
自動修復、自動帰還機能付き
神人:黄龍 アルベルタ・ディータに認められた者のみが装備出来る。
認められていない者が装備すると黄龍の神撃を受ける。
ーーーーーーーーーーー
呪いでないので装備すると時限爆弾の腕輪が外れた。
「おっっ。アルタ。二つの意味でありがとう。もの凄く助かったぞ。
それにしてもなぜ、左手の薬指なのじゃ?」
「良かった。気に入ってくれて。こちらの世界では意味は無いけどタケルの元の世界だと特別な意味があるんだよね。だからかな。」
「なるほどのぉ。わしとアルタの仲じゃからかまわんぞ。
1つ聞きたいのじゃが龍タイプ固有の【能力】が無いのはなぜなんじゃ。
ルル様に聞いたらアルタに聞けと言われた。」
「あっ。それはね、龍や竜タイプは同じタイプの年長者や神人から
直接伝授されないと覚えないんだよ。
レベルが20上がる毎に覚えられて100までだから5つだね。
1つ1つ伝授されないといけないから大変かも。」
「なるほど。わしは指輪があるからその辺は楽じゃな。
今のわしなら、2つは覚えられるはずじゃ。アルタよ伝授してくれないか。」
「うんいいよ。じゃ行くね。指輪に意識して!」
指輪を心臓の位置に持って来て待つ。
指輪が輝きはじめると光が生まれ、次第に大きくなりわしを包む。
2回輝きが増した後、静かに消えて行った。
状態で【能力】確認すると【龍の咆哮】【龍のブレス】が追加した。
それと体も変化したようじゃ。以前に比べて龍に近くなっている。
頭の角も大きくなり、瞳は縦に線が入り、歯は牙のように鋭くなり、全体的に鱗の数が増えた。
巨大な宝石を鏡代わりに体を確認する。うむ。これが成人の龍タイプなのじゃな。
姿は変わったが強さや威厳が出たような気がするので良しとした。
その後、アルタと楽しい雑談をして時間が過ぎて行き夜になったのでラルチェとアリスの元へ帰った。
ルル様が帰ってこないので仕方なく宝物庫から布団を出して3人で準備をした。
仲良く3人で布団に入り、雑談していると二人は眠りについた。
相変わらず雑談のほとんどがラルチェが喋っているのは言うまでもない。
わしはルル様がどこ行ったのじゃろうと考えながら眠りに落ちた。
まさか あんな事になるなんて、この時のわしは知る由もなかった。
締めの言葉を色々と考えたら、結局は定番になりました。
定番が定番である理由を思い知らされました。




