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推しのダンジョン配信者が妹になった義理の姉妹の話  作者: マグローK


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第7話 ワタシの胸の内

 ――須藤すどう朔、改め、不知火しらぬい朔。


 本当は、誰かにもっと寄りかかりたい。

 でも、それは甘えだ。そう思い込んで、ワタシは自分を叩き上げてきた。


 だって、いつかみんなは離れていく――そう信じていたから。


「……最近、気がゆるんでる。ダメだな」


 お義姉ちゃんに聞こえないよう、ワタシは小さくつぶやく。

 ちょっとだけ “特別な関係” になった人に、甘えすぎている気がするのだ。


 義理の姉――不知火 ゆう


 配信者であるワタシを知ったうえで、堂々とファンだと言ってくれる、同い年の “お義姉ちゃん”。

 素のワタシを見ても、引かない。拒まない。否定しない。

 その優しさに、ワタシはつい流されてしまう。


 だから今日は、自立した姿を見せるため、2人でダンジョンに来た。


「うわぁ、プライベートで本物のダンジョンなんて初めて!」


 警戒すると言っていたはずのお義姉ちゃんは、好奇心いっぱいの目で周囲を見回している。

 ダンジョンと言えば、薄暗く、ホコリっぽいだけの人が好まない場所。

 なのに、お義姉ちゃんはキラキラと目を輝かせている。


 その無邪気さが、ちょっぴりうらやましい。


「お義姉ちゃん、もしかして探索に慣れてる?」


 ワタシの疑問に、お義姉ちゃんはのんびり首を横に振った。


「全然だよ」


 両手をぶんぶん振って否定する。


「授業で入った程度。ほら、自転車の世界大会を観客席から眺めるみたいなもの?」


「日常だけど非日常、みたいな?」


「そうそう。入口で見たでしょ? わたしはまだ仮免。朔ちゃんと違って、本免許なんて先の先」


 にへら、と笑うその顔に、気負いはまるでない。


 けれど――ダンジョンは、素人が無装備で生き残れるほど甘くない場所だ。

 命のやり取りをする“重さ”は、例外なく存在する。


「じゃあ、どうしてそんなにラフな感じでいられるの?」


 ワタシの問いに、お義姉ちゃんは優しく微笑んだ。


「だって、“あの” Sakuと一緒なんだよ?」


「え?」


「比類なき実力をもつ探索者が傍にいる。それが朔ちゃん。そんなの、安心しないわけないでしょ?」


 そう言い切られて、胸が熱くなる。

 怖くない、って――言ってよかった。

 心臓はバクバクなのに、その鼓動が少し心地いい。


「……平気そうに見えるかもだけど、実はわたしも緊張してるんだよ?」


 大切な人と感覚を共有できている。それがうれしい。


 だからかな。いつもより反応速度が上がっている気がする。


「普段のワタシを見ても、なおそう思える?」


 不意に現れた小柄な人型モンスターを斬り払いつつ、ワタシは聞き返した。


「うん。普段の朔ちゃんを見たうえで思った。『この子なら大丈夫』って。やっぱり朔ちゃんはSakuなんだ」


「……っ、ずるい」


 ワタシは慌ててザックを抱え、お義姉ちゃんに背を向ける。

 そんなまっすぐな言葉、ワタシはとても口にできない。


「どしたの? 急に背中向けちゃって。今のモンスターがハイライト?」


「ち、違うよ! じゅ、準備。ここから始めようと思って……」


「オッケー! 了解。ここまでモンスター除けしてくれてたんでしょ? ありがと」


「ううん、そんなことないよ」


 ワタシの挙動不審にも、お義姉ちゃんは微塵も嫌な顔をしない。


 本当は、周囲の雑魚が怯えていただけ。渡辺さんの一件と同じで暴発したワタシの魔力に反応して。


 いいところ、見せられてないな……。


「――せめて、階下では……、配信では、Sakuとしての威厳、見せないと。せっかくリアルで会えたファンをがっかりさせられない」


 ワタシはいつものように配信の準備を整え、深呼吸。カメラを見据えた。

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