第二話 ちゃんと目を見て向き合って。
フラフラと体を揺らしながら、双葉の言葉に拗ねたような表情を浮かべる。
床に座り込んだまま手を伸ばして双葉の袖を掴もうとする。
……掴めなかった。
……いかないで、双葉。
紅葉「ひどいなぁ〜逃げるなんて〜。」
紅葉「酔ってても本気なのにぃ〜。」
紅葉「寝室まで連れてってよぉ〜双葉くん〜」
双葉「……あと、その酔っぱらった時だけ出るくん付けもやめろ!普通に名前で呼べ!」
……なんでだよ。
…なんで、素直になれないんだ。
俺は止まらず、紅葉を無視して、階段を上り寝室に向かった。
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酔いが回って、体が言うことを聞かない。
寝室に向かう双葉の背中を見て、慌てて追いかけようとする。
ほんとは…酔ったりしないで、ちゃんと伝えたかった。
でも、こうでもしないと…私は…伝えられない気がして…。
紅葉「ふた…葉…。待ってよぉ〜寝室まで連れてってくれないのぉ〜?」
双葉「……自分で来なさい。」
寝室のドアから、静かに怒る双葉の声が聞こえてくる。
……ごめんね、双葉。
……双葉の気持ち、全然考えてなかった。
紅葉「ふぅ〜ん…自分で来いって言われちゃった…。」
紅葉「でも寝室どこだっけ〜?」
紅葉「あぁ…よいが…もっとまわってきてぇ…わかんなくなっちゃうよぉ〜」
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双葉「……。」
俺は紅葉の言葉に耳を塞ぐ。聞いていると、苦しくなるからだ。
……紅葉は、酔ってても素直に好きって言ってくれてるのに…俺は…。
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視界が揺れる中、寝室のドアの前までようやく辿り着き、ドアノブに手をかける。
力が入らず、ドアにもたれかかりながら私は…独り言を呟く。
…双葉が、来てくれるって信じて。
紅葉「あれぇ〜?寝室ってここだよね〜?」
紅葉「双葉くん冷たいなぁ〜でもそんなところも好きぃ〜」
紅葉「…ふた…ば…早く会いたいよぉ…。」
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双葉「……。」
……逃げてばっかで、どうすんだよ。
……酔ってても、酒癖が悪くても…俺は…。
俺はベッドから立ち上がり、部屋の扉を開ける。
双葉「……もぉ…ほんとに酒癖が悪いんだよ…。」
……もう、いいだろ。
……紅葉が、好きだ。
俺は部屋の前で倒れている紅葉に恥ずかしくなりながらも、ちゃんと気持ちを向けて、手を差し伸べる。
双葉「……酔いが覚めたら、もう一回、好きって聞かせろ。」
ドアの前に座り込んだまま、双葉の声を聞いて目を輝かせる。
……ふたば…来てくれた…。
……ありがとう…。
差し伸べられた手を見つめ、酔いで潤んだ瞳に喜びの色が広がる。
紅葉「ふたばくん…♡もちろん聞かせてあげる〜。」
紅葉「だから…連れてってぇ〜?」
……酔いが覚めても、覚めてなくても、好きだよ。
……ずっと、ずっと出会った時から。
双葉「……くん付けやめろって言ってんだろ…?」
俺は紅葉の手をしっかり握り、ゆっくり起き上がらせる。
紅葉を支えながら、もう片方の手で、紅葉の頭をそっと撫でる。
……ちゃんと、聞かせてくれ。
……俺も伝えるから。
双葉「……ほら、寝るぞ。」
頬を赤らめながら、大好きな双葉の腕にギュッと抱きつく。
頭を撫でられる感触に幸せそうな表情を浮かべる。
紅葉「……もっと撫でてぇ…。」
……大好きぃ…ふたばぁ…。
……大好きだよ、紅葉。
……だから、ちゃんと起きてる時に言わせろ。




