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第一話 素直になれない。

俺の名前は、青木双葉あおき ふたば


今は大学生で、学校生活を楽しみながら、

嫌いな勉強を頑張っている。


今日は、幼馴染の赤木あかぎ 紅葉もみじと一緒にゲームセンターや、ボウリングなどでたくさん遊んだ。


そして、帰る前に居酒屋で酒を飲んだり、

大学卒業した後どうするかとかこれからの話をしたり、世間話や、愚痴もいろいろ吐き出した。


紅葉は居酒屋で、酒を浴びるように飲んで、めちゃくちゃ酔っ払っていた。


すごくかわいいのだが、めちゃくちゃ酒好きで、酒癖が悪い。


酔い始めた時には、すごくダル絡みをしてきてすごくめんどくさい。


ダル絡みされて、めちゃくちゃ酒を飲まされることもある。


しかし、酔っ払ったまま家に帰すのは危険だと思ったので、俺の家に泊まらせることにした。

俺と紅葉は、家に帰ってきた瞬間、

疲れてソファに座る。


紅葉「えへへ…双葉くぅん…泊まらせてくれりゅなんて…ひっぐ…優しいねぇ…。」


呂律がうまく回っていない腑抜けた声で…

顔は少女漫画の主人公が照れている時みたいに真っ赤になっていた。


紅葉「宅飲み…するよねぇ…ひっぐ…。」


双葉「……いや…まだ飲むのかよ…。」


俺は心配した表情をしながら、

体勢を崩し、ソファからずり落ちそうになる紅葉を支える。


双葉「ちょ…大丈夫か…。」


ふらふらと体が傾きながらも、俺の腕にしがみついてくる。


紅葉「えへへ〜双葉くん優しい〜♪

全然大丈夫だよ〜まだまだ飲めるって〜。」


紅葉「今日は泊まっていくからね〜♡」


双葉「……あぁ、うん。好きにして…。」


紅葉が再びソファから落ちそうになったので、さらに身を寄せて支える。


双葉「……あ…前、宅飲みした時みたいに、奇声発するなよ?お隣さんにめちゃくちゃ怒られたんだからな?」


…酔いがだんだん強まっていく。

紅葉は瞳が潤んで俺を見つめてくる。


俺は目が合うと恥ずかしくて目を逸らす。


紅葉「え〜?なんのこと〜?」

紅葉「ウチ、そんな変なことしたことないじゃん〜。」


唇を少し尖らせ、不満そうな表情を浮かべる。


紅葉「今日こそはちゃんと大人しく飲むからぁ…。」


双葉「……あのなぁ…記憶が飛ぶからって何していいわけじゃねぇんだよ…。」


双葉「……ていうか…まだ飲むのか…?」


俺は紅葉の頬を突っつきながら、心配そうに目を細める。


紅葉はニヤリと笑いながら俺の指先を自分の頬から掴み取り、その手を自分の頭に乗せて甘えるように寄りかかってくる。


紅葉「もう〜双葉くんったら心配性なんだからぁ〜。」


その紅葉の甘える仕草が、あまりにも可愛くて、酔って赤くなっている頬に上乗せされるように俺は頬が赤くなる。


紅葉「ほら、見ててよ〜今日はちゃんとできるから〜。それより飲み直そ?」


紅葉の頭から手を離し、冷静さを取り戻す。


双葉「……もう飲めねぇよ…紅葉が、俺に無理やりたくさん飲ませまくっただろうが…。」


紅葉は眉をひそめて考え込むような表情をしながら、頭を少し傾げる。


足元がおぼつかなくなってきている。

頬の赤みはさらに濃くなっていく。

ふらつく体をソファの端に寄せつつ、俺にそっと抱きついてくる。


紅葉「あれぇ?そうだっけ〜?ごめんねぇ〜双葉くんにいっぱい飲ませちゃったんだぁ〜。」


紅葉「じゃあ、今日はウチが大人しくしてるね〜♪」


双葉「……あぁ…そうしてくれ。」


俺は、ソファから立ち上がり、洗面台に向かう。


双葉「……歯、磨いてくる。」


紅葉はソファに深く沈み込み、天井のライトを見つめながら酔った頭でぼんやりと考える。


突然思いついたように手を叩き、甘えた声で、洗面台のところまで近づいてくる。


紅葉「あ、待って双葉くん〜!歯磨き粉なくなってたよね〜?」


紅葉「新しいの途中で買い物行って買っておいたからこれあげる〜♪」


双葉「…マジで?なくなってたから助かるわ。」


俺は紅葉から歯磨き粉を受け取る。


双葉「つーか、よく知ってんな、俺の家のこと。」


双葉「いっぱい家に来るのは知ってるけど、さすがに驚くわ。」


得意げに胸を張り、嬉しそうな表情で俺を見上げる。


紅葉「えへへ〜当然じゃん〜。」

紅葉「何度も泊まってるんだから双葉くんの家のことは結構把握してるんだよ〜。」

紅葉「歯磨き粉のストック場所だって知ってるもん♪」


もう何度も見てきて慣れた紅葉の酔っぱらう姿に、少し面倒臭さを感じながら、適当に返事をする。


双葉「……はいはい。」


紅葉は壁に手をついて体を支える。

頬は真っ赤のまんまで、目はうつろになっていた。


紅葉「双葉くんってば冷たいなぁ〜。」

紅葉「もっとウチのこと構ってくれても良いじゃん〜。」


紅葉「ねぇ、歯磨き粉貸して〜?一緒に磨こうよぉ〜♡」


双葉「……一人で磨けるっての…!めんどくさいなぁ…。」


紅葉は俺が手に持っている歯磨き粉を強く引っ張ってくる。


俺も、それに対抗して、強く引っ張る。


双葉「んぎぎきっ…!!は・な・せ!!」


紅葉は頭がふらつきながらも、歯磨き粉を巡る引っ張り合いに必死になって、双葉に向かって体が傾ぐ。


紅葉「えへへ〜双葉くんと一緒に歯磨きしたいなぁ〜♡ほら、早くぅ〜ウチにも貸してよぉ〜」


双葉「……いいって!もぉぉぉぉ!」


歯磨き粉を引っ張る力を強くし、思い切り、引っ張った。


その瞬間、俺たちは、一緒に倒れる。


2人とも「うわぁ!!」


床に倒れ込み、痛みよりも酔いの方が勝っている様子で、俺の上に覆いかぶさるようにして倒れている。


紅葉「きゃっ♡双葉くんったら〜積極的なんだからぁ〜。」


紅葉「これじゃウチが襲われちゃってるみたいじゃん〜♡」


双葉「…っ…変なこと言うな!」


俺は立ち上がろうとするが、

紅葉に強く抱きつかれ、立てなくなる。


双葉「……離れろっての…!」


判断力が鈍りながらも、俺の抵抗を感じて紅葉はさらに俺に強く抱きついてくる。


髪からはシャンプーの香りが漂い、頬を俺の胸に擦り付けてくる。


紅葉「やだぁ〜離れたくないよぉ〜。」


紅葉「双葉くんの匂い好きぃ〜♡今日はここで寝るぅ〜」


双葉「……バカ…。」


俺は紅葉の酔っぱらう姿に、怒りを感じながら、無防備な姿に、心を奪われる。


息が乱れながらも幸せそうな笑みを浮かべて俺の胸に顔を埋めたまま、心臓の鼓動がはっきり聞こえる。


紅葉「えへへ〜双葉くんの心臓バクバクしてる〜♡」


紅葉「ウチのこと好きなのバレバレだよ〜?いいんだよ、もっと素直になっても〜」


顔は火照るようにどんどん赤くなっていく。


双葉「……うるさい……お前なんか好きじゃねぇ…!酒癖悪いやつめ…!」


そう言いながらも、俺の体は紅葉の背中に手を回し、強く抱きしめていた。


紅葉は嬉しそうに目を細め、双葉の言葉に酔い潰れそうな頭で喜びを感じながら、抱きしめられた背中に双葉の体温を感じて笑みがさらに溢れる。


紅葉「ふ〜ん、そう言いながら抱きしめてくれるんだ〜♡嘘つき〜。」


紅葉「酒癖悪くてごめんねぇ〜でも双葉くんのこと大好きだから許して〜?」


……一瞬、時間が止まった気がした。


何を言われたのか、頭が追いつかない。


紅葉の突然の告白に頬を真っ赤に染めて、嬉しい気持ちと、恥ずかしい気持ちが重なり、なんとも言えない気持ちになる。


双葉「……だいすきって……だぁぁぁぁ…もう…!調子狂うなぁ!」


……近すぎる。


顔も、距離も、言葉も。


耐えきれず、反射的に。


紅葉の頬を叩いてしまい、急いで立ち上がり、紅葉から距離をとる。


頬を叩かれて少し驚いた表情を浮かべながらも、すぐに甘えた笑みに戻り、叩かれた頬を両手で覆う。


紅葉「いたいよぉ〜双葉くん酷い〜。」


紅葉「でもね、ウチが大好きって言うのは本当だよ?ずっと昔から変わってないんだから〜」


双葉「……うるさい。」

俺はそのまま、立ち上がり、紅葉から歯磨き粉を奪い取る。


床に仰向けになったまま、双葉の背中を見つめながら、緩んだ表情で微笑む。


紅葉「双葉くん怒っちゃったかな〜?」

紅葉「でもウチ、本当に双葉くんのこと好きだよ〜。」紅葉「昔からずっと…」


俺は歯磨きを済ませ、紅葉のほうに振り向く。


双葉「……好きって言うな!酔った状態で!」


俺は頬を膨らませて、酔っぱらった紅葉を助けず、一人で寝室に向かおうとする。


……素直になれず、紅葉に怒ってしまった。


双葉「頑張って、一人で寝室まで来い!」


俺も…本当は好きなのに。


……素直になれない…。


……なんで

…あんな言い方しかできないんだよ。


あいつの「大好き」が、

頭から離れないまま。

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