生徒会長
あれから我の使った【転生魔法】は結果から言うと成功した。
代償もほとんど無しみたいなもんだった。
人間になったことで動きが多少は鈍くなったが、普通に魔王時代の頃の力を使うことができた。
見た目もそのままだし…ホントに転生したのかを疑うぐらい我に都合が良かった。
そして我には新たなる名前を獲得した。
その名とは、、、
【八神 朔】
それが人間である我の名だ。
「よお……紫音」
校門前で待っている人間の名前は"桜瀬 紫音"
生徒会で【書記】という立場だ。
「会長……遅いですよ…朝の挨拶、もう終わりました」
真顔で紫音のことを見つめる。
「なんですか…そんなマジマジと見て…」
「そんな真面目ちゃんだといつか体壊すぞ」
「会長が不真面目なだけです…なんでこんな人が会長に…。」
紫音がわざと声が聞こえるようにそう言った
「おい聞こえてるぞ」
辺りを見回してみる。
「他の生徒会はどうした?」
紫音は呆れたようにため息混じりにこう呟く。
「いや会長が遅いんですよ……遅刻ギリギリだし…」
そんな時まで待ってくれていたのか……とは、言わないで置いた。
「とりま学校入ろうぜ」
ちゃんと遅刻しそうで怖くなった。
「そうですね…早く各々の教室に向かいましょう」
そうして、紫音と別れるのであった。
教室にて……俺は授業を受けている最中だ。
授業とやらは至ってシンプルだ。
よく分からない計算をし、よく分からない文章を読む
魔王の知識を用いればこんなのは見れば分かるのだが……。
周りを見渡してみる。
生徒一人一人が…クソ苦しんでいた。
適当に手を挙げ答えを言う。
先生の評価、成績も上がる。
テストもテスト前に少し見れば簡単に解ける。
これが……学校だ。
人間界に学校というものが存在していたのは知っていたからな……人間を苦しませる道具…そう聞いていたからな。
最初、この世界に転生したばかりの時は、どんな苦しいものなのかなと、ウキウキしていた…はずだった。
なんだ……簡単じゃないか。
こんなのに苦しめられているのか人間は…。
やはり貧弱だな。
でも、人間の中にも頭が良い奴がいるな…。
例えば俺の斜め後ろにいる女とか。
この学校での学年二位。
噂によれば前の失点は二点だけらしい。
人間にしては出来ている方だろう。
やべっ……目が合った…。
授業が終わるチャイムが鳴った。
すると、とある人物から声を掛けられた。
「ちょっと?何授業中ジロジロ私の方を見てたのよ」
「んえ?少し気になったからな」
すると目の前の少女は照れくさそうに……。
「何言ってるのよアンタ……」
これが俗に言うツンデレと言うやつか?
「ん?」
ずっと気になっていたことを聞いてみた。
「名前……何だっけ?」
目の前の少女は一瞬無表情になり……そして…。
「…………はあ!?」
驚きが隠せない様子だ。
「アンタ……クラスメイトの名前も覚えてないの?」
「あ、ああ」
目を瞑り、考え込んでしまった。
何してんだ?コイツ。
そして数分後
「私の名前は"未戸井 叶美"よ」
「未戸井 叶美…か、覚えたぞ」
心の中で何度も復唱する。
「そういえば俺の名前は覚えているのか?」
率直に聞いた。
「八神 朔でしょ?学年一位で生徒会長…逆に知らない方がおかしいわ」
それもそうか…。
「それにしてもお前も学年二位ってすごいな」
「学年一位にそう言われるとただの嫌味にしか聞こえないわよ」
おっと失敬……と心の中で謝罪をしておく…。
「だけど次は私が学年一位になってやるんだからね…覚悟しなさい!」
いきなり宣戦布告された。
「はいはい……まあなれるといいね」
「アンタのその余裕そうな顔ぶち壊してやるんだから」
………………こっわ。
「そういえば次って授業何だ?」
いきなり話を変えた。
「体育よ」
そんな言葉を聞き、舞い上がってしまった。
「なんでそんなに喜べるのよ……体育なんてただ疲れるだけなのに…」
「体を動かすのが好きなだけだよ」
そう、俺が学校での唯一の楽しみが体育なのだ。
この世界に来てからというもの、あまり体を動かす機会がなかったからな。
しかも体育では、俺の世界にはなかった運動の仕方?があって楽しい。
俺からしたら運動と言ったら"殺し合い"しかなかったしな… その分単純に体を動かすという行為が、ものすごく楽しいのだ。
「ワクワクしてきたな…!」
ちなみにだが、体育では本気を出さない。
人間の力に合わせて動いていた。
その成果か分からんが、学校では何故か…【運動だけ出来ない生徒会長】というレッテルを貼られてしまった。
だけどもう我慢の限界………。
「今日くらい羽を伸ばしてもいいよな……」
そう気持ちを高ぶらせた瞬間、叶美の様子がおかしいことに気がついた。
「どうしたんだ?叶美」
目線だけをこっちに向けながら言う。
「なんか…いきなり…体が動かなく……。」
「なんでそんなに震えてるんだ?」
よく見ると叶美は小刻みに震えていた。
「いや…体を動かそうと…頑張って……」
一瞬戸惑ったが、周りを見たらすぐ原因が分かった
"周りも叶美みたく、動けなくなっている"
多分だが俺のオーラか………。
さっき気持ちを高ぶらせた時にオーラが一気に強まったか…
確かにこれはダメだな…ゼフィの言っていた意味が分かった
オーラを感じ取れないこの世界の住民だと、体が動けない程度で済んでいるが…オーラを感じ取ることの出来る俺の世界の住民だと……確かに死ぬかもな。
何とかオーラを抑えた……少し漏れているが…
この程度なら心配ないだろう。
「あれ…急に体が動くようになった?」
「良かったな」
元はと言えば自分が原因なのだが…………。
「ええ……一体なんだったのかしら…」
「体育って今回何するんだ?」
「今回はテニスよ」
テニスか……体育で一回だけやったことのあるやつか…
前は手加減しすぎたせいで、全敗…普通に舐められたからな
「今回は少し、頑張ってみるか……」
そうして、俺たちは運動場へ向かうのだった。
今回のこのストーリーは、現実世界とファンタジーが交差する物語となっております。これからもバンバン話を投稿していく予定なので見て頂けると幸いです。




