身勝手な現状
ゼフィは目覚める。
見知らぬ天井だった。
記憶を遡りながら、立つ。
横を見ると見知った人物が……そこにはいた。
ーーーーーー!
朔「ゼフィ…!起きたか」
安堵の息が漏れた。
ゼフィは酷く困惑したような顔をしていた。
無理はない…。いきなりの出来事だったのだ。
ゼフィ「魔王………様?」
ゼフィは俺の姿を再認識するとまた横になった。
俺はボロボロになっているゼフィの姿を見る。
服は所々破け、顔には目立つような傷があり、背中には魔族のシンボルとも言える羽が無くなっていた。
朔「何が……あったんだよ…」
俺が震えた声でそう聞くと眉をひそめた。
余程のことがあったのだろう。
じゃなきゃ、わざわざ禁術まで使ってここには来ない。
…………代償も……。
しかも何故俺がいる世界を特定できた……?
これも"オーラ"なのか…。
ゼフィ「あ…………う…。」
何か話そうとしていたが、話しずらいらしい。
俺と目が合うとゼフィはそっぽを向く。
朔「少しづつでいい、少しづつ…何があったのかを教えてくれ」
その言葉を聞いたゼフィは、少し落ち着いた様子だ。
ゼフィ「先ずはどこから話していいものか……これだけは…これだけは先に話しておきます」
ゼフィは一泊を置いてその残酷な話を告げる。
ゼフィ「魔界は、崩壊しました」
…………は?
思考が纏まらない……。何も考えられない。
俺は完全にフリーズした。
朔「な…………なんで……そんなことに…」
俺は言葉を振り絞りそう尋ねた。
信じたくなかったのだ…原因なら明確なのだから。
その…………真実を……。
ゼフィ「魔王が……居なくなったことで…均衡が、崩れました」
言いずらそうに、だけど真っ直ぐに俺に伝えた……。
その残酷なことをーー。
ゼフィは魔族に似合わない優しさがある。
だからこそ、伝えづらかったのだろう。
「魔王様のせいで、魔界が滅んだと……」
ゼフィ「話しても……大丈夫でしょうか?」
俺は意を決して頷く。
ゼフィ「現在魔界は言わば無法地帯、魔王様が居なくなったことで【魔王の座】を奪おうとする魔族が現れました。
それだけならまだ対処は可能でした」
その話を聞いてあることを思った。
朔「魔界は崩壊したんじゃないのか……?」
ゼフィの目には光は宿っていなかった。
ゼフィ「魔界の均衡は崩れたんですよ……崩壊と言っても過言ではありません」
確かにそうだ……。元々俺のせいなんだ。
ゼフィ「しかしそれから何年かした頃に状況は悪化……
魔界は二つの勢力に別れました」
朔「二つの勢力?」
状況が掴めない。
なんでこんなことになっていて俺はのうのうと……。
ゼフィ「魔界を守り、均衡を維持し続けようとする
【保守派】反対に魔界を一度壊し、新しい時代を作ろうとする【破滅派】」
朔「保守派に……破滅派………」
今の話を聞く限り、敵は明確だった。
ゼフィ「【魔王の座】を狙っている奴らは全員"破滅派"に入ったせいで、戦況的に我々保守派はかなり不利です。
今は保守派にいる"メイラン"という魔族が抑えてはいるけど依然不利なのは変わりありません」
そう言われても帰る手段がないのだ。
魔法は使えるが禁術に関して、この世界でやってしまえば壊れてしまう。
俺たちはここに来た時点で"詰み"だったのだ。
ゼフィ「早く帰った方がいいのですが、帰り方が分かりませんね…どうしましょう」
ゼフィが考えているが、俺は帰る気なんて毛頭なかった。
そもそもが俺の責任……だけど、今は人間だ。
元の世界とは関係ない。
ここでの暮らしは楽しいし、生徒会メンバーと…………旅行だって計画している。
ーーーー俺は。
ゼフィ「魔王様…………後ですね、何故かは分かりませんがこの世界にも破滅派が来ているらしいのです」
何だと…………冗談だろ…?
それだと、生徒会の奴らが危ないかもってことか?
朔「ゼフィ……こちら側も動くぞ」
俺は決断する。
今は人間……。魔界に帰りたいとは思っていない。
だって、帰ってしまうとここにいる奴らとは会えなくなる。
旅行も…………行けなくなる。
でもやらないと行けない。
なら………………。
朔「これからの方針を決める。まず破滅派の魔族を捕まえ、情報を吐かせる……学校に通いながらだ。」
ゼフィ「え……?学校に通いながら…?」
朔「ああ、破滅派は多分潜伏している。証拠に今まで被害がない。」
そう、ゼフィが来る前までそう言ったこととは縁がなかった。
つまりどう言ったことか分からないが、息を潜めている可能性がある。
朔「破滅派は【人間のフリをしている】と思う。だから俺らも人間のフリをして生活する。その為の学校だ。」
理由は他にもあると思う。
学校に通い続けたいと思う理由が……。
…………俺は、あの居場所を失いたくないのだ。
"生徒会"という居場所を………………。
ゼフィ「てことは私も学校に……?」
朔「そういうことになるな」
でも破滅派が潜伏してるにしても、俺は何故今まで気づけなかったんだ……オーラを扱う技術が足りなかったのか?
【オーラ】とは、誰しもその身に宿っているもののことだ。
それは一般人だろうが少量のオーラはある。
魔族にも特有のオーラがあり、そのオーラ量は壮大だ。
人間と魔族を区別しろと言われても区別するのは容易だろう。
それ程までに、違いがある。
俺が破滅派に魔族だとバレなかったのは人間になったことでオーラが弱まったからなのか?
朔「とりあえず、人間のフリをするために学校に通うのはいいが…どうやって魔族を探すかだ」
ゼフィ「それに関しては大丈夫です。オーラなら私得意ですから……その魔王様が通っている学校に魔族が居るかどうかを探すのもできます」
オーラ……元だが一応魔王なのに、こんなに出来なかったのか…。
朔「なら決まりだ…。ゼフィも体を休めておけ」
代償のこととか、もっと聞きたいことがあるが、今は……そっとしておこう…。
今回のこのストーリーは、現実世界とファンタジーが交差する物語となっております。これからもバンバン話を投稿していく予定なので見て頂けると幸いです。
ここからプロローグは終わり、禍福編に突入します。




