宴もたけなわ。
ひっそりと焼き肉、のはずがサッカー部の打ち上げと化した個室では、制服でビールを嗜む奴ら9人と早くもウーロン茶に切り替えた俺の10人。肉が焼いたそばから消えていく。
「そういえば、コウキは何で飲まねーんだよ?」
「一杯目はビールだったから、もう充分。」
それだけ言って、ウーロン茶のジョッキを口にする。今日の約束のことをあまり知られたくなかった。だって、フラれる可能性大なんだぜ。
「もっと飲もうぜ。」
「いや、いい。やめてくれ。」
「さーてーは。コウキ~。何か隠してませんかぁー?」
「いや、別に。俺が酒弱いの、知ってるだろ?」
なんとか話を逸らそうと辺りを見渡すと甘党の智也と目が合った。肉を食いながらアイス食ってやがる。しかもビールを飲みながら。そうだ。智也に便乗しよう。
「智也。アイスって何がある?」
「バニラ、抹茶。グレープシャーベット。あ。桜もあるぞ。」
智也がすぐにタッチパネルを見ながら種類を読み上げた。シャーベットならなんとか食えそうだな。
「そこからグレープシャーベットを頼んでくれ。悪いな、智也。」
「OK。じゃあ俺も頼もっと。グレープシャーベット2つ、と。」
智也がうれしそうにタッチパネルを操作している。さすが甘党。
「お前、もうデザート食うの?」
「イヤその、今日はデザートが食べたい気分なんだよ。お前もビールはそこそこにしてアイス食えよ。」
絡んできた奴にあわてて言うが、なかなかまだ飲みたいらしく、ビールを追加している。ちょっとくらい絡まれてもいいが、今日の予定について追求しないでくれ。
シャーベットが運ばれてきたところで、智也の隣に移動して一緒にシャーベットをつつく。酔いを醒ますのにもちょうどいいな。ひんやりとした舌触りを楽しんでいると、智也が小声で話しかけてきた。
「今日だろ?時間いいのか?」
「ああ。もうしばらくなら大丈夫。」
俺も小声で答える。智也の気遣いがありがたい。しかし、ミルフィーユの強要だけは遠慮しておくぞ。




