冷めてる?
「オハヨ。ねえ、昨日さあ、見ちゃったんだけど。」
翌朝のこと、教室に入るなり、ちょい派手めなクラスメートのレイナに声をかけられた。彼女は、私でも知っているような大きな和菓子屋のお嬢様だが、和菓子と結びつかない雰囲気で、遊び人で有名だ。当たり障りのないように接しているけど、実はこういうタイプの子は得意ではないのよね。悪い子ではなさそうだけど。
「何が?」
「んもー。とぼけないでよぉ。界英のオトコとマックにいたじゃん。」
げ。見られていたのね。しかもこんなめんどくさい子に。しかも興味津々だし。
「ああ。あれね。」
「ね、ね。いつから?」
ああ。めんどくさい。こういうことを根掘り葉掘り聞きたがるから苦手なのよね。しかもビミョーな関係だっつーの。
「付き合ってないんだけど。」
「えぇ~?もったいなーい。界英でしょ?付き合っちゃいなよ。いい雰囲気だったじゃん。何年生?」
余計なお世話じゃ。年がら年中、レンアイしてるアンタとは違うっつーの。
「別にそういうのじゃないから。」
「どうして?名前で呼び合っていたじゃないの。それに何かお願いされてたっしょ?」
そんなシーンまで見られていたのね。ってことは店の中にいたワケね。気づかなかったわ。
「いや、別にレイナの好きな展開じゃないと思うわよ?」
「つまんな~い!」
そう言うとレイナは自分のグループの方に行ってしまった。朝から疲れた。
「レイナと何を話してたの?」
疲れて机につっぷしていると里奈の声が降ってきた。
「いや、別に。」
「付き合ってるとかなんとか聞こえたけど?」
聞かれていたのね。里奈はもちろん興味津々の目をしていて。里奈になら話してもいいかな。でも、進行中とは言い難いこの状況は、話しづらいんですけど。
「昨日ね、実は元カレとお茶してるところ、見られちゃったのよ。」
「うんうん。それで?」
「偶然会っただけなのよ。」
「偶然会ったのね。何を話したの?」
「卒業式の日に会えないかって言われたわ。それだけ。」
「すごーい!もちろん会うんでしょ?」
「まあ、一応ね。」
「じゃあ、ヨリを…。」
「戻すかって?今のところ、そのつもりはないわ。」
「どうして?待っていてくれたんでしょ?」
「勝手に、ね。」
「勝手にだなんて、ひーどーいー!」
里奈が声を張り上げると近くのグループの面々が耳だけこちらに向けているのがわかる。
「お願いだから、大きな声で言わないでくれない?」
「あ。ごめん。…どうしてヨリを戻さないの?」
「今はそっち系のコトに興味がないし。だから本当にただ会うだけよ。」
「でもさあ、卒業式の日でしょ?第二ボタンとかくれそうじゃない?」
「えー?ますます興味ないんですけど。」
「美玲って冷めてんのね。」
そうなのかなあ。興味がないって、そういうことなのかしら?




