受験終わってないんでしょ?
「ところで卒業式っていつ?」
「2月22日だけど。」
「コウキって国公立も受けるんじゃなかったっけ?卒業式の頃って試験終わってないんじゃないの?」
俺が国公立志望だって覚えてくれてる!それに試験の日程も気にしているぞ。これはいい感じじゃね?
「まあ、センター試験に通ったら、そのあとから個別に試験があるから。でも半日くらいは大丈夫だ。」
「イヤよ。それでダメだったら、私のせいになりそうだもの。それに私はその日、通常授業の日なんだけど。」
「そ、そんなことはしないぞ!じゃあ、学校が終わってからでいいから。」
断るために試験の日程のことを言い出したのか?
「俺は大丈夫だから。とにかくその日、会ってくれ!一生のお願い!」
両手を合わせて頭を下げる。だってどうしても第二ボタンを渡したいんだ。
そっと顔を上げて表情を見ると、美玲がクスリと微笑った。どういう微笑いだ?
「そこまで言うなら、会ってあげるわ。」
「本当?」
喜ぶ俺に美玲はニヤリと言った。
「ただし、美味しいケーキをご馳走してくれるならね。」
それは余裕だ。さっきまで智也といたあの店に連れてこられたら、と思っていたところだ。ケーキなんて当分は見たくないくらい食ったところだけど、日を改めれば大丈夫だ。
「お安い御用!」
やった!とにかく会うという約束だけは取り付けることができたぞ。
「あら。意外ね。コウキってそういうの疎かったわよね?さては遊んでいたわね?」
「そんなんじゃないよ。つい先日友達に連れてってもらったんだよ。」
「友達?」
また美玲がニヤニヤとする。
「勘ぐるなよ。智也だよ。スイーツ男子の智也。話したことあるよな?」
「う~ん。なんとなく。でも、男二人でケーキを食べに行くとかありえないんだけど。」
「智也は、そういう奴なんだよ。」
「ふ~ん。」
美玲はまだ怪訝そうにしている。その気持ちはわかる。制服姿の男二人がケーキをつつく図というのは、明らかに店内の注目を集めていたから。
まあ、あいつのファーストキスを奪ったことや、さきほどまで相談に乗ってもらっていたことは伏せておこう。
勘ぐる様子からするとちょっとは脈があるんだろうか?でも面白がっているような気がしないでもないしなあ。
小さな着信音が鳴り、美玲がスマホを見る。
「あ。そろそろ帰らないと。親がLINEしてきた。」
「そうか。急だったから。遅くなってごめん。」
「平気。ごちそうさま。」
言いながらいそいそと残りのポテトを食べ、紅茶を飲み干し美玲は席を立つ。
「じゃあ、卒業式の夕方。約束したぞ?」
「わかったわよ。じゃあね。」
マクドナルドの前から足早に立ち去る後姿に声をかけた。
よっしゃあ!約束をとりつけたぞ。




