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浮気をされたら  作者: こたつむ
彩華の場合

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9/15

結婚の理由

 実家に戻って、3ヶ月が過ぎた。


 実家に戻った私は、自分に掛ける時間が持て、独身の頃のように、身なりに気を使う余裕もできた。


 仕事は、旧姓で再開した。

 表向きは、子育てが落ち着いて、仕事を再開したことになっている。


 業界のパーティーに、父の代理で、同じく建築事務所を開く兄と出席する。

 兄も、見た目がいい。

 皆が、私たち兄妹に振り返る。

「義姉さんは、兄さんの見た目に惹かれたのかな?」

「それはないね。

 オレには興味がなかったから、オレの見た目は関係ないね。

 お前の旦那は、お前の見た目だな。」

「そうね。

 身なりに構わなくなったら、興味が他に行ったって感じかな。」

「いい車を乗り回すやつだから、そんなヤツだと思ってたよ。」

「私は、外見だけなのかな。」

「外見しか興味がなかったんだろうな。」

「兄さんは、大丈夫?」

「オレが惚れて結婚したからな。

 彼女は、仕事を思いっきりできればそれで良かったから、仕事の邪魔にならない結婚生活に不満はない。」

「義姉さんは、兄さんをちゃんと愛してるの?」

「心の支えにはなってると思うよ。

 彼女も、仕事では気を張ってるからね。

 オレは、彼女が仕事に集中できるよう支えて、そのオレに彼女は感謝して、それがオレたち夫婦の形かな。」

「仕事してる義姉さん、素敵だもんね。

 頼りにされてるんだ。」


 私は、夫と結婚することで、仕事上の面倒くさい誘いから逃れたかった。

 夫が、大手建設会社の息子だったのも、相手としてちょうどよかった。

 インテリアコーディネーターとして働く上で、家事や子育ての経験がないことにハンディを感じていたから、その経験もしたかった。

 しかし、専業主婦を望んだ夫は、私のキャリアには、興味がなかった。


 パーティーには、夫も出席していた。

 兄が私から離れると、夫が近づいて来た。 

 別居はオープンにしていないため自然に振る舞う。

「そろそろ、戻って来ない?」

 夫は言う。

 今の私は、夫の好きだった見た目に戻っている。

 独身の頃のように、私を見つめる。


 浮気相手と別れたとは言わない。

 私も聞かない。


「もう少し、時間が欲しい。」

 夫は、落胆する。


「私、仕事を続けていきたい。」

「どうして?お金なら、十分に渡してるし、仕事と家事の両立は大変だろ。」

 夫に、家事をする考えはない。

 夫は私に、夫のためだけの人生を望んでいる。

 私が家を出て、家事の大変さを口にしないのは、浮気相手に身の回りの世話をさせているのだろうか。

 

「私、インテリアコーディネーターの仕事が本当に好きだから、これからも続けようと思うの。」

「僕は、男社会の中で、自分の妻に働いて欲しくはない。」

 夫の独占欲は、変わらない。

 私のキャリアへの尊重もない。

 夫は、家を守る妻よりも、見た目のいい自分の妻を自慢することに喜びを感じる人だ。

 子育てで、身なりに気を使わなくなってから、業界のパーティーに私を伴うことは無くなった。

 夫が、これまでの家事や子育てに感謝を示してくれていれば、私の心は違ったのかもしれないが、私が昔のようにオシャレをするようになって、戻って欲しいと思っている。


「紗羅、旦那がどうして自分と結婚したか知ってる?

 ちゃんと、1人の人間として見てくれていたのか。

 旦那が自分自身のために結婚を望んだのか。

 結婚当初のままの妻を望んでいるのか。

 そして紗羅も、どうして旦那と結婚したのかわかってる?

 ホントに旦那じゃないといけなかった?」


 

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