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浮気をされたら  作者: こたつむ
彩華の場合

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8/15

本当に愛している人

 土曜日、子供を父に預けて、母と歌舞伎に出かけた。

 母は、父に子供の面倒を見させることに抵抗を感じていたが、私が押し切った。

 母は、少しでも父の負担が軽減されるよう、昼ごはんの用意をして出かけた。

「たまには、ご飯の支度や、洗濯物の片付けもお願いしたらいいのに。」

「お父さんは、いつも仕事で大変なんだから、1人で孫の面倒を見させるなんて、申し訳ないでしょ。」

 母は常に、夫ファーストである。


 母が行ったことのないような、おしゃれな店でランチをとり、歌舞伎を鑑賞する。

 母も、楽しんでくれたと思うが、歌舞伎が終わると、晩御飯の心配をし、スーパーに寄って、早々に帰宅した。

「お父さん、今日は、すみません。」

 帰宅した母の開口一番は、父に対する謝罪だった。

 私は、父に話す。

「ずっと、家族のために頑張ってきたお母さんを、たまには家事から解放して、自分の時間を楽しんでもらいたいと思ったんだけど、お父さんに対して、申し訳ないって言うばかりだった。」

「そうか。」

 父は、母の献身をどう考えているのだろうか。


「歌舞伎は、楽しかったか?」

 父は、母に尋ねた。

「はい、今度、時間があれば、一緒に行ってみませんか。」

 母は答える。


 母は、家事から解放されることより、子育てが終わり、父と2人で夫婦の時間が過ごしたいことに気づく。

 昔から、母は、父のことを一番に考え、尊敬をしていた。

 家事で、父を支えられることを幸せと思う女性だった。

 そんな母に、1人の時間を楽しむという願望はない。

 夫婦でこれから、いろんなことを楽しみたいと願っていたことに気づく。


 歌舞伎に共に向かうのは、私ではなかった。

 私が、家に居て、2人を送り出すべきであった。


「今度、2人で相撲を見に行けば?幕前の催しも面白いし、朝から、1日ゆっくり見てみれば?

プレゼントするから。」

 母は、とても喜んだ。


「紗羅、本当に相手を愛してたら、相手のためだけの人生が、幸せって感じると思うんだ。

 何かをして欲しいとかも思わないの。

 不満が出るってことは、本当に愛した人じゃなかったのかも。

 2人でなんでも楽しみたいと思う相手と結婚していないとしたら、自分の選択が間違ってたってことだから、我慢は必要かもしれないよ。」

 

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