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浮気をされたら  作者: こたつむ
彩華の場合

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3/16

誰かと比べる

 専業主婦だった私は、ホームウェアをパジャマにし、起きてからも着替えず、そのまま家事と育児をこなしていた。

 髪は、邪魔にならないよう一つに縛り、垂れる前髪はピンで押さえる。

 コンタクトもつけず、メガネで過ごす。

 夏は、首にタオルを掛け、汗を拭きながら過ごす。

 化粧などしない。

 出産後は、自分に時間をかけることはしなかった。


 夫は、私の見た目が好きだった。

 私を連れまわし、人に紹介する自慢の妻。

 結婚前は、私の職場の飲み会には、必ず迎えに来る。

 ショッピングで私が服を試着し、どちらを買おうか悩めば、どちらも買ってくれる。

 結婚してからも、出かける前は、化粧をし、髪を巻き、オシャレをする私の写真を撮る。

 夫が家に戻った時、テーブルにカップが2つ並んでいるだけで、浮気を疑うようなヤキモチ焼きでもあった。

 綺麗な私をこよなく愛していた。


「太った?」

 夫が、私の見た目を指摘することが増えた。

 私は産後、体重を戻せないでいた。

 その言葉は、日増しにキツさを帯びていった。

 買い物で、夫の運転する車の助手席に座った私の太ももの産毛を

「気持ち悪い。」

と、言った。

 子供を産むまでは、爪の先まで、オシャレに余念のなかった私が、女性としての意識持たなくなり、幻滅する夫、その言葉は、私をひどく傷つけた。


 それは、浮気をし始めた頃からだったと、後にわかった。

 浮気相手と比べて、蔑まれて《さげすまれて》いた。

 今、思い出しても腹が立つ。


 私が、女性として常にキレイにしていたら、こんな言葉を浴びることはなかったのだろうか。

 夫はただ、私の見た目だけを愛したにすぎなかったのだろうか。


「紗羅、もし旦那が、見た目を貶す《けなす》ことを言ってきたら、誰かと比べられてるのかもしれない。

 旦那の前で、女であることを忘れないで。

 常に、見られることを意識して、美しい笑顔を忘れないで。

 浮気相手は、新鮮だからよく見えるだけ、そのうち、飽きるから。」

 


 



 

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