第九話 グッズ化の話が来ました
翌朝。
「おはようございます」
「……おはよう」
宿屋の食堂。
俺は死んだ目でパンをかじっていた。
昨日、空から落ちたのだ。
精神的にはまだ着地できていない。
一方。
リシアは妙に機嫌が良かった。
「昨日の公演、大成功でしたね」
「公演って言うな」
「観客満足度100%でした」
「だから評価システムやめろ」
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すると。
宿屋の扉が勢いよく開いた。
「失礼します!!」
入ってきたのは、太った商人だった。
汗だくである。
「探しましたよ!!」
「誰?」
「私は行商ギルド所属、マルコス!」
商人は俺の手をガッと握った。
「ぜひ契約を!!」
「何の!?」
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マルコスは机に紙を並べ始めた。
「こちらをご覧ください!」
そこには。
俺の雑な似顔絵。
そして。
【災害級術者まんじゅう】
「商品化されてる!?」
「こちらが現在一番人気です」
「嫌すぎる!!」
さらに。
【リシア様キラキラ氷菓子】
「なんで私の商品が?」
リシアが少し嬉しそうだった。
「いや喜ぶなよ!」
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「昨日の公演後、爆発的に売れまして!」
マルコスが興奮している。
「“空飛ぶ災害級”は子供人気が高い!」
「変な二つ名ついてる!」
「さらにこちら!」
バン!!
【アンコール棒】
「ペンライトだこれ!!」
「振ると光ります!」
「異世界の技術どうなってんの!?」
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すると。
ピコン。
【関連商品による認知度上昇を確認】
「システムまで乗るな!」
【観客予備軍が増加しています】
「予備軍ってなんだよ!」
リシアが興味深そうに頷いた。
「なるほど。事前に期待感を高める効果がありますね」
「マーケティング分析始めるな!」
「つまりグッズ展開は有効です」
「順応が早ぇんだよ!」
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マルコスがさらに紙を出す。
「あとこちら、次回公演の案なんですが」
「次回!?」
【“災害級飛行ショー”開催決定!】
「勝手に決定するな!!」
「空中演出、大好評でしたので!」
「俺は死にかけたんだぞ!」
マルコスは真顔だった。
「なので今回は安全対策として」
「おっ」
「落下地点にクッションを置きます」
「そこじゃねぇ!!」
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リシアが紙を覗き込む。
「……なるほど」
「お前まで読むな」
「客席配置を円形にすれば、全方向から飛行演出を楽しめますね」
「ライブ会場設計すな!」
「あと、着地後に爆発を入れると盛り上がるかと」
「死ぬわ!!」
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すると。
宿屋の外が急に騒がしくなった。
『来たぞー!!』
『災害級術者だー!!』
『サインくださいー!!』
「何の騒ぎ!?」
窓を見る。
人だかり。
しかも。
子供たちがアンコール棒を振っていた。
「もう売れてる!!」
リシアが冷静に分析する。
「……浸透が早いですね」
「文化になり始めてる!!」
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そのとき。
コンコン。
宿屋の扉がノックされた。
開く。
入ってきたのは、王国魔術師団の兵士だった。
「リシア殿」
「はい」
「王都より通達です」
兵士は紙を読み上げる。
「“これ以上、辺境で何をしているのか分からない騒ぎを起こす前に、一度帰還せよ”とのことです」
リシアが少し考える。
「……なるほど」
「理解はしたんだな」
「つまり」
リシアが真顔で言った。
「王都公演ですね」
「違う違う違う違う!!」
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