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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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8/30

第八話 空からの帰還方法を考えていませんでした


「うわああああああああ!!」


 飛んでいた。

 俺が。

 空を。


「誰だ飛べって言ったやつぅぅぅ!!」


 下では観客が盛り上がっている。

『うおおおおお!!』

『すげぇぇぇ!!』

『もう見えねぇ!!』


「見世物になってるぅぅぅ!!」


________________________________________

 しかも。

【観客テンション 上昇中】

【飛行演出 継続】


「演出扱いなの!?」


 背中の炎の翼がさらに巨大化した。

 熱い。

 怖い。

 高い。


「止まれぇぇぇ!!」


 だが歓声が止まらない。

 つまり能力も止まらない。


「最悪の永久機関だろこれ!!」


________________________________________

 一方その頃。

 地上。

 リシアは腕を組み、真剣な顔をしていた。


「……想定以上ですね」


「お前の開幕爆発のせいだろ!!」


 観客が大盛り上がりである。


「飛んでるー!!」


「かっけぇぇぇ!!」


「もう一周!!」


「無茶言うな!!」


 リシアは空を見上げた。


「このままでは危険です」


「今さら!?」


「観客を落ち着かせましょう」


「やっとまともなこと言った!」


 リシアは深く頷いた。


「皆さん!」


 観客が見る。


「ここからは後半戦です!」


「煽るなぁぁぁ!!」


________________________________________

『うおおおおお!!』

 歓声倍増。

【観客満足度 95%】

【追加演出を実行します】


「追加するな!!」


 ボォォォォン!!

 俺の後ろに火の鳥みたいな幻影が出現した。


「なんでだよぉぉぉ!!」


 しかも。

 観客が拍手するたびに増える。

 一羽。

 二羽。

 三羽。


「増殖するな!!」


________________________________________

 地上では。


「すげぇ……」


「王都の祭りより派手じゃね?」


「リシア様ー!!」


 完全にイベント空間だった。

 リシアは冷静に分析している。


「なるほど」


「何がなるほどだ!」


「飛行系演出は観客満足度が高い」


「メモ取るな!!」


________________________________________

 そのとき。

 老魔術師が青ざめた顔で叫んだ。


「リシア殿!!」


「はい」


「そろそろ魔力限界では!?」


 リシアがハッとする。


「……たしかに」


「今気づいたの!?」


「盛り上がりに意識を取られていました」


「ライブ脳になってるぅ!!」


________________________________________

 一方、空。


「うぉぉぉぉぉ……」


 俺はなんとか姿勢制御していた。

 というか。


「降り方わかんねぇぇぇ!!」


 翼はある。

 推進力もある。

 でも着陸方法が分からない。

 免許取ってないのに戦闘機渡された感じである。


【観客があなたの帰還を期待しています】


「期待するな!」


【安全な着地で高評価が狙えます】


「レビュー形式やめろ!!」


________________________________________

 すると。

 地上からリシアの声が響いた。


「聞こえますかー!」


「なんでそんな軽いんだ!」


「今から着地演出に移行します!」


「演出じゃねぇ!!」


「観客が“帰ってくる流れ”を期待しています!」


「知らんがな!!」


________________________________________

 その瞬間。

 観客席から手拍子が始まった。

 パン! パン! パン!


「なんだ!?」


 リズムが揃っていく。

『オー! オー!』


「コール始まった!?」


『オー! オー!』


 手拍子がどんどん大きくなる。


【観客との一体感が高まっています】


「ライブ空間が完成してる!!」


 すると。

 翼がゆっくり傾き始めた。


「え?」


 俺の体が、自然に広場方向へ向かう。


【着地シーケンス開始】


「そんな機能あったの!?」


________________________________________

 ドォォォォン!!

 俺は広場中央へ降下した。

 観客が総立ちになる。

『おおおおおおおお!!』


「うわぁぁぁ止まれぇぇぇ!!」


 ズガァァァァン!!

 土煙。

 爆風。

 そして静寂。

 数秒後。

 煙の中から俺が出てくる。

 ボロボロだった。


「……死ぬかと思った」


 一拍。

 そして。

『うおおおおおおおおお!!』

 大歓声。

 パチパチパチパチ!!


【観客満足度 100%】

【伝説級公演を達成しました】


「達成するな!!」


________________________________________

 リシアが近づいてくる。


「お疲れ様でした」


「完全に他人事だな?」


「ですが最後の着地は素晴らしかったです」


「事故だよ!!」


 リシアは真顔で頷いた。


「やはり“帰還演出”は重要ですね」


「学ぶな!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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