第八話 空からの帰還方法を考えていませんでした
「うわああああああああ!!」
飛んでいた。
俺が。
空を。
「誰だ飛べって言ったやつぅぅぅ!!」
下では観客が盛り上がっている。
『うおおおおお!!』
『すげぇぇぇ!!』
『もう見えねぇ!!』
「見世物になってるぅぅぅ!!」
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しかも。
【観客テンション 上昇中】
【飛行演出 継続】
「演出扱いなの!?」
背中の炎の翼がさらに巨大化した。
熱い。
怖い。
高い。
「止まれぇぇぇ!!」
だが歓声が止まらない。
つまり能力も止まらない。
「最悪の永久機関だろこれ!!」
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一方その頃。
地上。
リシアは腕を組み、真剣な顔をしていた。
「……想定以上ですね」
「お前の開幕爆発のせいだろ!!」
観客が大盛り上がりである。
「飛んでるー!!」
「かっけぇぇぇ!!」
「もう一周!!」
「無茶言うな!!」
リシアは空を見上げた。
「このままでは危険です」
「今さら!?」
「観客を落ち着かせましょう」
「やっとまともなこと言った!」
リシアは深く頷いた。
「皆さん!」
観客が見る。
「ここからは後半戦です!」
「煽るなぁぁぁ!!」
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『うおおおおお!!』
歓声倍増。
【観客満足度 95%】
【追加演出を実行します】
「追加するな!!」
ボォォォォン!!
俺の後ろに火の鳥みたいな幻影が出現した。
「なんでだよぉぉぉ!!」
しかも。
観客が拍手するたびに増える。
一羽。
二羽。
三羽。
「増殖するな!!」
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地上では。
「すげぇ……」
「王都の祭りより派手じゃね?」
「リシア様ー!!」
完全にイベント空間だった。
リシアは冷静に分析している。
「なるほど」
「何がなるほどだ!」
「飛行系演出は観客満足度が高い」
「メモ取るな!!」
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そのとき。
老魔術師が青ざめた顔で叫んだ。
「リシア殿!!」
「はい」
「そろそろ魔力限界では!?」
リシアがハッとする。
「……たしかに」
「今気づいたの!?」
「盛り上がりに意識を取られていました」
「ライブ脳になってるぅ!!」
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一方、空。
「うぉぉぉぉぉ……」
俺はなんとか姿勢制御していた。
というか。
「降り方わかんねぇぇぇ!!」
翼はある。
推進力もある。
でも着陸方法が分からない。
免許取ってないのに戦闘機渡された感じである。
【観客があなたの帰還を期待しています】
「期待するな!」
【安全な着地で高評価が狙えます】
「レビュー形式やめろ!!」
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すると。
地上からリシアの声が響いた。
「聞こえますかー!」
「なんでそんな軽いんだ!」
「今から着地演出に移行します!」
「演出じゃねぇ!!」
「観客が“帰ってくる流れ”を期待しています!」
「知らんがな!!」
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その瞬間。
観客席から手拍子が始まった。
パン! パン! パン!
「なんだ!?」
リズムが揃っていく。
『オー! オー!』
「コール始まった!?」
『オー! オー!』
手拍子がどんどん大きくなる。
【観客との一体感が高まっています】
「ライブ空間が完成してる!!」
すると。
翼がゆっくり傾き始めた。
「え?」
俺の体が、自然に広場方向へ向かう。
【着地シーケンス開始】
「そんな機能あったの!?」
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ドォォォォン!!
俺は広場中央へ降下した。
観客が総立ちになる。
『おおおおおおおお!!』
「うわぁぁぁ止まれぇぇぇ!!」
ズガァァァァン!!
土煙。
爆風。
そして静寂。
数秒後。
煙の中から俺が出てくる。
ボロボロだった。
「……死ぬかと思った」
一拍。
そして。
『うおおおおおおおおお!!』
大歓声。
パチパチパチパチ!!
【観客満足度 100%】
【伝説級公演を達成しました】
「達成するな!!」
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リシアが近づいてくる。
「お疲れ様でした」
「完全に他人事だな?」
「ですが最後の着地は素晴らしかったです」
「事故だよ!!」
リシアは真顔で頷いた。
「やはり“帰還演出”は重要ですね」
「学ぶな!!」
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