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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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7/29

第七話 盛り上がりすぎると危険です


 隣町での初公演は、なんだかんだ成功した。

 ……成功したのか?


「本日の反省会を始めます」


 宿屋の一室。

 リシアが黒板を用意していた。


「なんで会議形式なの?」


「改善点の共有は重要です」


 黒板にはすでに文字が並んでいる。


【良かった点】

・氷像崩壊で笑いを取れた

・子供客への反応が良い

・掛け合いが自然


「掛け合い分析されてる!?」


【改善点】

・導入が弱い

・爆発タイミングが長い

・MCに勢い不足


「ライブ運営の会議なんだよ!」


________________________________________


 リシアは真面目な顔だった。


「都会の観客は、辺境村より反応速度が遅い傾向があります」


「客層分析を始めるな」


「そのため、掴みを強化する必要があります」


「その単語好きだな、最近」


 リシアはコホンと咳払いした。


「なので次回は、“開幕インパクト”を入れます」


「絶対ろくでもない」


________________________________________

 

翌日。

 広場。

 昨日より観客が増えていた。


「昨日の変な奴らだ!」


「氷壊した人!」


「今日は何爆発するんだ?」


「前提がおかしい!」


 だが確かに客はいる。

【観客数 87名】


「増えてる……」


 リシアが満足そうに頷いた。


「口コミですね」


「レビューサイトみたいに言うな」


________________________________________


「では始めます」


 リシアが前へ出る。

 なぜか今日はマントがいつもより長い。


「なんで衣装変わってる?」


「風でなびきます」


「完全に演出じゃねぇか!」


 観客がザワつく。


「おお……」


「なんか今日かっこいいぞ」


 パチパチ。

 リシアが少し気持ちよさそうな顔をした。


「……反応良好ですね」


「隠さなくなってきたな?」


________________________________________

 

すると空中に文字。

【おすすめ演出:派手な開幕】


「嫌な予感しかしない」


 リシアが静かに杖を掲げる。


「では、“開幕インパクト”を実行します」


「待て待て待て」


 次の瞬間。

 ドゴォォォォン!!

 広場の上空で巨大爆発。


「開幕が重い!!」


 観客が大歓声を上げる。


「うおおおお!!」


「始まったぁぁ!!」


 パチパチパチパチ!!

 その瞬間。

 俺の全身に、とんでもない力が流れ込んできた。


「うわっ!?」


【観客テンション 急上昇】

【出力補正 312%】


「数字がおかしい!!」


________________________________________

 

すると。

 ボン!!

 俺の背後に巨大な炎の翼が出現した。


「なんか生えたぁぁ!?」


 観客、大歓声。


「すげぇぇぇ!!」


「かっけぇぇ!!」


 パチパチパチ!!

 さらに翼が巨大化する。


「増幅早ぇぇ!!」


 熱風で屋台の布がバサバサ揺れ始めた。


「危ない危ない危ない!」


 リシアが真剣な顔になる。


「まずいですね」


「誰のせいだと思ってんだ!」


「観客の熱量が想定以上です」


「ライブ事故みたいに言うな!」


________________________________________

 

しかも。

 観客が盛り上がれば盛り上がるほど、

 さらに能力が強くなる。

 つまり。

 今の状態。

 完全に暴走寸前である。


【観客満足度 上昇中】

【さらなる盛り上がりが期待されます】


「期待するな!!」


________________________________________


 そのときだった。

 最前列の子供が叫ぶ。


「飛べー!!」


「言うな!!」


 観客が一斉に乗っかる。


「飛べー!!」


「飛べー!!」


 パチパチパチ!!

 歓声。

 熱狂。

 そして。

 ボォォォォォッ!!


「うわぁぁぁぁぁ!?」


 俺の体が上空へ打ち上がった。


________________________________________


 ドゴォォォォン!!

 空の彼方へ消える俺。

 観客は大盛り上がりだった。


「すげぇぇぇぇ!!」


「飛んだぁぁぁ!!」


「アンコール! アンコール!」


「帰ってこれるかぁぁぁぁ!!」


________________________________________


 一方その頃。

 王都魔術師団本部。

『現場映像です』

 水晶に映るのは、空へ打ち上がっていく俺。

 そして。

『飛べー!!』

『アンコール! アンコール!』

『リシア様ー!!』

 団長は静かに水晶を置いた。


「…………」


 部下が恐る恐る聞く。


「団長?」


 団長は遠い目をしていた。


「……なぜ災害級案件が、祭りになっている?」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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