第十話 王都までの道中、全部バレてる
「というわけで、王都へ向かいます」
「納得してないからな俺」
翌朝。
俺たちは馬車に乗っていた。
御者席には兵士。
荷台には俺とリシア。
そして。
大量の箱。
「……何これ」
「グッズです」
「持ってくるな!!」
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箱にはラベルが貼られていた。
【災害級術者クッキー】
【アンコール棒】
【リシア様アクリル板】
「アクリル板って何!?」
「よく分かりませんが売れてます」
「異世界の技術力どうなってんだよ!」
リシアは真顔で一枚取り出した。
俺たちの立ち絵っぽい絵が描かれている。
しかも。
妙にキラキラしていた。
「なんで加工されてるんだ」
「“レア仕様”だそうです」
「SSR扱いされてる!?」
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馬車は街道を進む。
しばらくは平和だった。
だが。
「……あれ?」
前方に人だかりが見えた。
道の両脇に人が並んでいる。
旗まで振っている。
「なんで?」
兵士が青ざめた顔で呟いた。
「情報が回ってる……」
「早すぎない!?」
すると群衆が叫んだ。
『リシア様ー!!』
『飛んでー!!』
『アンコールー!!』
「街道ライブ始まってる!!」
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パチパチパチ!!
歓声が飛ぶ。
その瞬間。
【観客を確認】
【自動演出待機中】
「待機するな!」
俺の背後で炎がボッと漏れた。
「うわっ!」
リシアが頷く。
「やはり観客がいると自然発動しますね」
「便利機能みたいに言うな!」
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すると。
子供が叫んだ。
『なんかやってー!!』
周囲も乗っかる。
『やってー!!』
『火ぃ出してー!!』
「軽いノリで災害要求するな!」
だが。
空気が期待に満ちていく。
【観客期待値 上昇】
【“何か起きる感”を検出】
「“何か起きる感”ってなんだよ!」
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リシアが立ち上がった。
「……仕方ありません」
「お前、その入り危険なんだよ」
リシアは馬車の上へ登る。
マントが風になびく。
完全にステージである。
「皆さん!」
『おおおおお!!』
「反応が早ぇ!」
リシアはスッと杖を掲げた。
「本日は移動中のため、簡易演出でお送りします」
「道中を公演扱いするな!!」
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パチン!
空に氷の花が咲いた。
『うおおおおお!!』
歓声。
拍手。
すると俺の背後の炎まで巨大化した。
「連動するな!!」
ボォォォッ!!
炎が馬車の後ろに尾を引く。
完全にパレードである。
『すげぇぇぇ!!』
『かっけぇぇぇ!!』
「もう止まらねぇ!!」
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兵士が青ざめていた。
「リシア殿……」
「はい」
「これ、本当に帰還任務ですよね?」
「そのはずですが?」
「なんで凱旋パレードみたいになってるんです!?」
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すると。
ドドドドド!!
後方から馬の音。
別の馬車が追いついてきた。
「失礼します!!」
また商人だった。
「どこにでも現れるな!?」
「新商品案をお持ちしました!」
「仕事が早ぇ!!」
商人は紙を広げる。
【災害級術者・公式応援歌】
「応援歌!?」
「観客の一体感向上に!」
「ライブ脳しかいないのか!?」
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リシアが紙を覗き込む。
「……悪くありませんね」
「乗るな!」
「確かに、コールが揃えば出力安定に繋がります」
「分析するな!!」
そのときだった。
後方の観客たちが、勝手に手拍子を始めた。
パン! パン!
『オー! オー!』
「もう覚えてる!!」
【観客との同期率 上昇】
「同期するな!!」
すると。
ボォォォォォッ!!
俺の炎が空高く吹き上がった。
『うおおおおおおお!!』
街道、大歓声。
俺は頭を抱えた。
「……王都着く頃には、絶対もっと面倒なことになってるだろ、これ」
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