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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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第十一話 王都、入場前からうるさい


「見えてきました」


 リシアが窓の外を指差した。

 巨大な城壁。

 高い塔。

 人の波。

 王都だった。


「……でか」


 さすが王国の中心都市。

 辺境とは規模が違う。

 人も多い。

 店も多い。

 そして。

 嫌な予感もすごい。

________________________________________


「本来であれば、あなたは王城で事情聴取です」


 リシアが説明する。


「“本来であれば”?」


「ですが現在、少し問題が発生しています」


「その言い方やめろ」


 兵士が青ざめた顔で振り返った。


「……門前に、人が集まりすぎています」


「は?」


________________________________________

 数分後。

 俺は理解した。


「なんでだよ!!」


 王都の正門前。

 そこには。

 観客がいた。

 大量に。

『来たぞぉぉぉ!!』

『災害級術者だぁぁ!!』

『リシア様ー!!』

『飛べー!!』


「王都まで広がってる!?」


________________________________________

 しかも。

 アンコール棒。

 売られてる。


「露店まで出てる!!」


 商人が元気に叫んでいた。


「本日限定、“王都上陸記念セット”ですよー!」


「展開が早ぇ!!」


________________________________________

 観客は完全にイベント待機状態だった。

『何やるんだ!?』

『爆発!?』

『飛行!?』


「なんで期待されてるんだよ!!」


 すると。

 ピコン。

【超大型観客反応を確認】

【現在の推定観客数:4,812名】


「多っ!?」


 その瞬間。

 ボォォォォォッ!!

 俺の背後から炎が噴き出した。


「うわぁぁぁ!!」


 まだ何もしてないのに!

 リシアが冷静に分析する。


「観客密度が高すぎますね」


「ライブ会場みたいに言うな!」


________________________________________

 兵士たちが慌てていた。


「まずい!」


「出力が上がってるぞ!」


「門前で暴発したら王都が!!」


 しかし。

 観客は盛り上がる。

『おおおおお!!』

『もう始まった!?』

『前説か!?』


「違う!!」


________________________________________

 すると。

 王都の門が開いた。

 ギギギギギ……。

 中から現れたのは、

 重厚なローブを着た老人。

 白髭。

 鋭い目。

 圧倒的威厳。

 周囲の兵士たちが一斉に敬礼した。


「団長……!」


 王国魔術師団団長。

 グラハム・ヴァルディス。

 王国最強クラスの大魔術師である。

 団長は俺を見た。

 次にリシアを見る。

 最後に。

 大騒ぎする観客を見る。

『アンコール!』

『飛べー!!』

『リシア様ー!!』

 団長は静かに言った。


「……リシア」


「はい」


「お前は辺境で、何を覚えてきた?」


「観客との一体感です」


「真顔で言うな」


________________________________________

 すると。

 観客の誰かが叫んだ。

『団長もなんかやれー!!』


「巻き込むなぁぁぁ!!」


 俺は反射的に叫んだ。

 だが。

 空気が変わった。

 ざわ……。

 ざわ……。

『団長って強いんだろ?』

『見てみたい!』

『魔術師団トップだぞ!?』

 期待が集まる。

 ヤバい。

 これはヤバい。

 なぜなら。

 今この空間。

 “観客が盛り上がるほど強くなる空気” に染まっている。

 そして。

 団長は。

 王国最強クラス。

 リシアが小声で呟いた。


「……まずいですね」


「今さら!?」


 団長の周囲に、ゴゴゴゴ……と魔力が集まり始める。

 観客が沸く。

『おおおおお!!』

『やるのか!?』

『団長ー!!』

 団長はゆっくり目を閉じた。


「私はそんなつもりでは――」


 パチパチパチパチ!!

 大歓声。

 そして次の瞬間。

 ドォォォォォン!!

 王都の空に、超巨大な魔法陣が展開された。


「団長まで乗せられてるぅぅぅ!!」


________________________________________

 ピコン。

【レジェンド級出演者を確認】


「出演者扱いするな!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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