第十二話 団長、観客ウケが良すぎる
ドォォォォォン!!
王都上空に、超巨大魔法陣が展開される。
空が光る。
風が吹く。
観客が静まり返る。
「……やっば」
俺は思わず呟いた。
分かる。
これは“本物”だ。
リシアの魔法とも違う。
圧倒的。
王国最強クラスの魔力。
だが次の瞬間。
『うおおおおおおおおお!!』
観客、大爆発。
「静かに終わらねぇ!!」
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パチパチパチパチ!!
歓声。
熱狂。
そして。
団長の魔法陣がさらに巨大化した。
「増幅してるぅぅぅ!!」
団長がハッとする。
「……なっ」
ゴゴゴゴゴ……。
空気が震える。
兵士たちが青ざめた。
「まずい!」
「団長の魔力が観客に引っ張られてる!」
「王都が吹き飛ぶぞ!!」
だが。
観客は止まらない。
『団長ー!!』
『かっけぇぇぇ!!』
『もう一回光らせて!!』
「ペンライト感覚で言うな!!」
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団長は歯を食いしばった。
「……落ち着け」
しかし。
パチパチパチ!!
歓声が飛ぶたびに魔法陣が強化される。
「収まらん……!」
リシアが真顔で頷く。
「完全に“乗せられて”いますね」
「分析してる場合か!!」
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そのとき。
ピコン。
【レジェンド級出演者の覚醒を確認】
「覚醒するな!!」
【観客が“伝説感”を期待しています】
「伝説感ってなんだよ!!」
次の瞬間。
団長のローブがバサァッ!!となびいた。
「風演出入ったぁぁ!!」
しかも。
後ろに謎の光まで差している。
完全にラスボス登場である。
『うおおおおおおお!!』
『団長ー!!』
『渋いぃぃぃ!!』
「“渋い”で盛り上がる観客初めて見た!!」
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団長は明らかに困惑していた。
「なぜだ……」
ゴゴゴゴゴ……。
「なぜ、私の魔力まで増幅されている……!」
リシアが小声で言う。
「観客が“すごい魔術を見たい”と期待しているからですね」
「ライブ理論で説明するな!」
「この空間全体が、観客参加型魔力増幅場になっています」
「字面が最悪だよ!」
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すると。
観客席の子供が叫んだ。
『団長! 飛んでー!!』
「やめろぉぉぉ!!」
俺は全力で叫んだ。
だが遅い。
観客が乗った。
『飛べー!!』
『団長ー!!』
『いけぇぇぇ!!』
パチパチパチパチ!!
団長の周囲の魔力が爆発的に膨れ上がる。
団長が青ざめた。
「ま、待て」
ゴォォォォォォ!!
「私は飛行魔法など――」
次の瞬間。
ドォォォォォン!!
団長が打ち上がった。
「飛んだぁぁぁぁぁ!!」
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王都、騒然。
『うおおおおおおお!!』
『団長飛んだぁぁぁ!!』
『すげぇぇぇぇ!!』
団長は空で回転していた。
「止まれぇぇぇぇぇ!!」
威厳ゼロだった。
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リシアが冷静にメモを取っている。
「興味深いですね」
「何が!?」
「高齢の出演者でも飛行演出は可能、と」
「データ化するな!!」
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一方、空。
「ぐぉぉぉぉ……!!」
団長が必死に姿勢制御している。
完全に事故だ。
だが。
観客は盛り上がる。
『団長ー!!』
『もう一周ー!!』
『アンコール!』
「老人を飛ばして遊ぶな!!」
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その瞬間。
ピコン。
【観客要望を確認】
【追加飛行ルートを設定します】
「設定するなぁぁぁ!!」
グイッ。
団長の軌道が曲がった。
「勝手に操作されてるぅぅぅ!!」
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王都上空を高速旋回する団長。
大歓声。
熱狂。
そして。
リシアが真顔で呟いた。
「……団長、意外と映えますね」
「最低の感想だよ!!」
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