第十三話 王都、公式にイベント化される
王都上空。
団長が飛んでいた。
「止まれぇぇぇぇぇ!!」
ゴォォォォォ!!
白髭をなびかせながら高速旋回する王国最強魔術師。
威厳はもうない。
観客はめちゃくちゃ盛り上がっていた。
『団長ー!!』
『もう一周ー!!』
『渋いぃぃぃ!!』
「“渋い”でアンコール起きるの何なんだよ!!」
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兵士たちは地獄みたいな顔をしていた。
「どうする!?」
「止められません!」
「団長の魔力が観客に引っ張られてる!」
その横で。
商人マルコスがメモを取っていた。
「なるほど……」
「お前なんでいるんだよ」
「“飛行する団長”は年齢層高めにも刺さりますね」
「客層分析すな!!」
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一方その頃。
王城。
「報告します!」
兵士が飛び込んだ。
「王都正門前にて、団長が飛行しています!」
沈黙。
国王がゆっくり聞き返す。
「……飛行魔法か?」
「いえ、なんか盛り上がっています!」
「報告が雑すぎる」
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数分後。
国王は現場へ来ていた。
豪華な馬車。
護衛。
側近たち。
完全に国家案件である。
だが。
『団長ー!!』
『アンコール!!』
『回れー!!』
現場は祭りだった。
国王が固まる。
「……何だこれは」
「我々も分かりません」
兵士が真顔で答えた。
「分からないのか」
「はい」
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そのとき。
ピコン。
【超大型VIP観客を確認】
「嫌な予感しかしない」
【観客ボーナスを追加します】
「追加するな!!」
次の瞬間。
ボォォォォォッ!!
俺の背後の炎が爆発的に巨大化した。
「国王来ただけで出力上がるの!?」
リシアが頷く。
「影響力の高い観客ほど補正が強いようですね」
「スポンサー理論みたいに言うな!」
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すると。
観客がざわついた。
『あれ国王じゃね?』
『マジ!?』
『王様だ!!』
空気が変わる。
期待感が一気に膨れ上がる。
【“王都スペシャル感”を検出】
「検出するな!!」
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そして。
誰かが言った。
『国王もなんかやってー!!』
「やめろぉぉぉ!!」
俺は即叫んだ。
だが。
『たしかに!』
『王様ー!!』
『見たいー!!』
乗るな。
なんでそんなノリ軽いんだ王都民。
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国王は困惑していた。
「待て」
周囲の期待が高まる。
パチパチパチ!!
歓声。
熱狂。
すると。
国王のマントがブワァッ!!となびいた。
「お前も演出入るのかよ!!」
さらに。
後ろで謎の金色エフェクトが輝き始める。
「王族補正強ぇぇ!!」
観客、大興奮。
『おおおおおお!!』
『王様だぁぁ!!』
『豪華ぁぁぁ!!』
「“豪華”って感想あるんだ!?」
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国王が青ざめる。
「な、何だこれは!?」
リシアが冷静に分析する。
「王としてのカリスマが観客期待値を増幅していますね」
「ライブ用語で王政を語るな!」
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その瞬間。
ピコン。
【緊急クエスト発生】
【“王都記念合同公演”を開催しますか?】
▶YES
NO
「選択肢出すなぁぁぁ!!」
しかも。
YESが点滅していた。
「圧が強い!!」
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すると。
観客席の子供が叫んだ。
『早く押せー!!』
「客がUIに干渉してる!?」
『YES! YES!』
『YES! YES!』
コールが始まる。
「最悪だ!!」
リシアが真顔で言った。
「……空気的に、断れませんね」
「ライブイベントじゃねぇんだぞ!!」
そのときだった。
スッ。
国王が震える指で、
空中のYESに触れた。
「押すなぁぁぁぁぁ!!」
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ピコン。
【“王都記念合同公演”開催決定!】
ドォォォォォン!!
王都全域に花火が打ち上がった。
「国家行事になってるぅぅぅ!!」
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