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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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4/32

第四話 盛り上がり不足です


 翌日。

 村の広場には、なぜか長机が並んでいた。

 屋台まである。


「焼き串一本二銅貨だよー!」


「席は前列が人気です!」


「なんで興行として完成しかけてるんだよ!?」


 俺は頭を抱えた。

 昨日までは普通の辺境村だったはずである。

 それが今では。

【本日限定 災害級魔術ショー】

 という看板まで立っていた。


「誰が書いたこれ!?」


「村長です」


 隣でリシアが真顔で答えた。


「止めろよ!」


「村の経済効果を優先したそうです」


「判断が早い!」


________________________________________


 広場は朝から満員だった。


「兄ちゃん今日も山吹っ飛ばすのか!?」


「リシア様ー!」


「きゃー!」


 なんか黄色い声まで増えてる。

 リシアは少しだけ咳払いした。


「……人気が出ていますね」


「お前、ちょっと嬉しそうだな?」


「研究対象として興味深いだけです」


 そのわりに今日はローブが妙に整っていた。

 髪まで少し巻いてる。


「なんでコンディション仕上げてきた?」


「戦闘準備ですが?」


「ライブ準備だろそれ!」


________________________________________

 すると空中に文字が浮かんだ。


【観客数 127名】

【期待値 高】

【本日のおすすめ演出:開幕挨拶】


「だからなんなんだこのシステム!」


 村人たちがワクワクし始める。


「挨拶! 挨拶!」


「前説! 前説!」


 パチパチパチ!

 すると俺の体の奥に力が集まり始めた。


「うわ、ほんとに強化される……」


 リシアがメモを取っている。


「興味深いですね。観客の“待ってました感”に反応しています」


「ライブ分析やめろ」


________________________________________


「ほら兄ちゃん!」


「なんか喋れー!」


 観客が完全に客席である。

 俺は諦めて前に出た。


「えー、本日はご来場ありがとうございます」


 パチパチパチ!

 うわ、反応がいい。


「本日の公演は!」


【観客テンション上昇】


「実況まで出るな!」


「王国魔術師団全面協力のもと!」


 リシアが小声で言った。


「してませんが?」


「今さら降りるな!」


「安全第一でお送りします!」


 ドォォォン!!

 空で花火が爆発した。


「安全第一とは!?」


 観客が爆笑する。

 パチパチパチパチ!!

 するとさらに体が軽くなった。


「……これ、ウケるほど強くなるのか」


「ええ」


 リシアが真顔で頷く。


「なので“掴み”は非常に重要です」


「お前もう完全にそっち側じゃねぇか」


________________________________________


「では次に、私が実演しましょう」


「え?」


 リシアが前へ出る。

 観客が沸いた。


「リシア様ー!!」


「きゃー!!」


 リシアはスッと髪を払った。


「なんで今キメた?」


「演出ですが?」


「認めたな!?」


 リシアは杖を構える。


「魔法とは、“魅せる”ことも重要です」


「言ってることは分かる」


「なので詠唱中、一度振り向きます」


「なんで!?」


「盛り上がるので」


「完全にライブ演出だろ!」


________________________________________


「では」


 リシアが詠唱を始める。


「氷結魔術――」


 空中に巨大な氷槍が出現する。


「おおおおお!!」


 普通にすごい。

 しかし次の瞬間。

 リシアがターンした。


「ほんとに振り向いた!?」


 しかも無駄に綺麗。

 観客が悲鳴みたいな歓声を上げる。


「きゃあああ!!」


「リシア様ー!!」


 パチパチパチ!!

 リシアの頬が少し赤くなった。


「……悪くありませんね」


「ハマってる!!」


________________________________________


 ドゴォォォン!!

 氷槍が発射される。

 遠くの岩が綺麗に吹き飛んだ。


「うおおおおお!!」


 観客、大盛り上がり。

 すると空中に文字。


【観客満足度 92%】

【アンコール可能】


「可能じゃないんだよ!」


「アンコール! アンコール!」


 始まった。

 リシアが静かに杖を構え直す。


「……求められているようですね」


「受け入れるな!」


「では追加で氷像演出を」


「サービス精神が強ぇんだよ!」


 バキバキバキ!!

 広場中央に巨大な氷像が現れる。

 しかも。

 妙にクオリティが高い。


「なんでそんな細かく作り込んだ!?」


「映えるので」


「“映え”を覚えるな!!」


________________________________________

 

一方その頃。

 広場の隅では、老魔術師が震えていた。


「まずい……」


「どうしました?」


 兵士が聞く。


「王国魔術師団のエースが……」


 一拍置いて。


「辺境でファンサを覚え始めている……」


「そこ!?」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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