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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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第五話 観客が辛口すぎる


 翌日。

【第三回 辺境魔術ショー】

 という横断幕が広場に飾られていた。


「回数重ね始めてる!?」


 しかもその下には。

【本日の出演】

・災害級術者

(予定)


・王国魔術師団の美人魔術師

・なんか光る噴水


「噴水がレギュラー入りしてる!」


「昨日人気でしたので」


 リシアが真顔で答えた。


「人気投票やったの!?」


________________________________________


 広場は昨日以上の人だった。

 近隣の村からも来ているらしい。


「兄ちゃん今日何やるんだ!?」


「山消すのか!?」


「リシア様ー!!」


 なんかもう完全にイベントである。

 俺は頭を抱えた。


「なんでこうなった……」


「地域振興ですね」


 リシアが頷く。


「お前、順応早すぎるだろ」


________________________________________


 すると。

【観客数 312名】

【期待値 非常に高い】

【リピーター率 71%】


「リピーター率出るの!?」


 しかも。


【前回より派手さが求められています】


「急に続編プレッシャーかけるな!」


 観客席から声が飛ぶ。


「今日は新技あるー!?」


「前回の火球もう一回!」


「あとリシア様のターン!」


「ターン固定化してる!?」


 リシアが静かに言った。


「……期待されていますね」


「お前ちょっと嬉しそうだな?」


「研究者として当然です」


「どこの研究だよ」


________________________________________


 そのとき。

 最前列にいた子供が言った。


「でもさー」


 広場が少し静かになる。


「前回と同じじゃない?」


「「「…………」」」


 空気が凍った。

 俺とリシアが同時に固まる。

 子供は容赦なかった。


「火球どーん、氷どーん、だけじゃん」


「お、おぉ……」


 観客がざわつく。


「言われてみれば……」


「たしかに……」


 すると。

【観客期待値 低下中】

【マンネリ警告】


「マンネリ警告!?」


 リシアが青ざめた。


「まずいですね」


「いや知らんが!?」


「観客が慣れ始めています」


「ライブ運営みたいなこと言うな!」


________________________________________

 

子供はさらに追撃した。


「もっとこう……意外性とかないの?」


「辛口評論家がいる!!」


「あと昨日、爆発長かった」


「感想がリアル!」


 観客が微妙な空気になっていく。


【観客テンション 下降】

【出力補正 マイナス】


「下がる下がる!!」


 指先の火が、線香花火みたいになった。


「露骨!!」


________________________________________


 リシアが真剣な顔になる。


「……仕方ありません」


「なんだその顔」


「予定を変更します」


「嫌な予感しかしない」


 リシアはスッと杖を掲げた。


「観客参加型に移行します」


「何を言ってる?」


「あなた」


「はい」


「今から客席を煽ってください」


「無茶振りだろ!」


「観客との一体感が必要です」


「どこで覚えたその概念!?」


________________________________________


「皆さん!」


 リシアが突然、観客へ振り向く。


「盛り上がる準備はできていますか?」


「おおおおお!!」


 歓声。

 なんで乗るんだよ。

 リシアがさらに続ける。


「声が小さいですね」


「煽り始めた!!」


「もっと!」


「うおおおおお!!」


 観客、大盛り上がり。

【観客テンション急上昇】

【出力補正 回復】


「回復した!?」


 俺の体に力が戻ってくる。

 リシアがドヤ顔だった。


「これが“掴み”です」


「完全にライブ慣れしてる!」


________________________________________


 すると観客席から叫び声。


「兄ちゃんもなんか言えー!」


「えぇ……」


「掛け声!」


「コール!」


「なんで異世界にコール文化あるんだよ!」


【観客があなたを見ています】


「圧が強い!」


 俺は半泣きになりながら叫んだ。


「も、盛り上がってるかー!?」


「うおおおおおお!!」


 ドォォォォン!!

 空に花火が百発くらい打ち上がった。


「過剰演出!!」


 観客が大爆笑する。

 パチパチパチパチ!!

 リシアが満足そうに頷いた。


「成功ですね」


「基準がおかしい!」


________________________________________


「王都へ緊急通信を送ります」


 リシアが水晶を取り出す。

 ブゥン、と光る。

 すると空中に、中年男性の顔が映った。

 威圧感のある顔。

 いかにも偉い人である。


『何があった』


「辺境で災害級術者を確認しました」


『規模は?』


「山が少し消えました」


『は?』


 団長の顔が引きつる。

 だが、その瞬間。

 後ろの観客席から大歓声が飛んだ。


『アンコール! アンコール!』

『リシア様ー!!』

『次は爆発系ー!!』

『…………』


 団長が真顔になる。

『お前、何をしている?』


 リシアは少し考えたあと、真面目な顔で答えた。


「……観客との一体感を検証中です」


「何を報告してるんだお前!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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