第二十三話 戦場に観客を呼ぶな
【緊急路上公演 開催中】
「戦場で何始めてんだぁぁぁ!!」
空に浮かぶ巨大文字。
しかも。
無駄にキラキラしていた。
ガルド将軍がこめかみを押さえる。
「……ヴァルガ」
「何だ」
ドォォォォン!!
「返事に爆発入れるな!」
ガルドは低い声で言った。
「これは戦場だ」
「知っている」
「ではなぜ告知した」
「客がいないと盛り上がらん」
「ライブ前提で話すな!!」
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ヴァルガは杖を掲げた。
パァァァァッ!!
空へ黒い光が飛ぶ。
「何した!?」
「近隣の街へ演出魔法を飛ばした」
「嫌な予感しかしない」
「“今なら最前列”と」
「集客すなぁぁぁ!!」
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シエラが絶望した顔になる。
「最悪だ……」
リシアは少し感心していた。
「移動式集客ですか」
「学ぶな!!」
「固定会場に縛られない発想ですね」
「演出家同士で会話するな!!」
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一方。
ガルドは本気でキレていた。
「ヴァルガァァァ!!」
ズドォォォン!!
地面が割れる。
さすが将軍。
普通に強い。
だが。
ヴァルガは涼しい顔だった。
「フッ……怒声の入りは悪くない」
「評価するな!!」
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そのとき。
遠くから音が聞こえた。
ざわ……。
ざわざわ……。
「……え?」
丘の向こう。
人。
大量の人。
しかも。
『間に合えー!!』
『路上公演だー!!』
『災害級術者いる!?』
「来るなぁぁぁ!!」
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ピコン。
【観客数:12】
「増えた!」
【観客数:53】
「増えるの早ぇ!!」
【観客数:148】
「カウントがライブなんだよ!!」
その瞬間。
ボォォォォォッ!!
俺の炎が一気に大きくなる。
「うわっ!?」
力が戻る。
熱い。
重い。
怖い。
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ガルドが顔をしかめた。
「馬鹿な……」
シエラが呟く。
「だから言った……」
「観客を近づけるな、ってか」
「うん」
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すると。
観客の一人が叫んだ。
『うおおおお!! 本当に戦ってる!!』
パチパチパチ!!
歓声。
拍手。
熱狂。
【観客熱量 上昇】
「嫌なスイッチ入った!!」
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その瞬間。
ドォォォォォン!!
俺の背後に巨大炎翼が出現した。
「戦闘モード早ぇぇ!!」
観客、大興奮。
『出たぁぁぁ!!』
『翼!!』
『飛べー!!』
「だから飛ばすな!!」
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ヴァルガが満足そうに頷いた。
バァァァン!!
「納得SEうるさい!!」
「やはり戦場も“空気”だ」
「お前絶対その理論で生きてるだろ!!」
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ガルドは頭を抱えていた。
「なぜだ……」
兵士たちも困惑している。
「将軍!」
「敵が強化されています!」
「見れば分かる!!」
しかも。
観客はどんどん増えていた。
『魔王軍だー!!』
『すげぇ、本物!?』
『近くで見える!?』
「観光地みたいに来るな!!」
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ピコン。
【おすすめ演出:空中戦】
「提案するな!!」
その瞬間。
観客が一斉に叫んだ。
『空飛べー!!』
「やめろぉぉぉ!!」
だが。
もう遅い。
ボォォォォォォッ!!
炎翼が爆発的に広がる。
ガルドが青ざめた。
「まずい!」
俺は半泣きで叫ぶ。
「また飛ぶ流れぇぇぇ!?」
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