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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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第二十話 大トリの重さを知る


【大トリ演出を開始します】


「勝手に決めるなぁぁぁ!!」


 王都、大歓声。

『最後お前だろー!!』

『飛べー!!』

『爆発しろー!!』


「要求が雑なんだよ!!」


________________________________________

 俺は後ずさった。


「いや待て待て待て」


 無理だ。

 絶対無理。

 さっきの見たか?

 ヴァルガは爆発しまくってたし、

 リシアは氷で芸術やってた。

 対して俺。

 飛ばされるか燃えるかである。


「演出の方向性が雑すぎる!」


 リシアが真顔で頷いた。


「確かに、あなたは勢いタイプですね」


「ライブ評論家みたいなこと言うな」


 ヴァルガも腕を組む。


「荒削りだが、熱量はある」


「敵と演出談義する日が来るとは思わなかったよ!」


________________________________________

 そのとき。

 団長が司会台から咳払いした。


「……では、最後の演者」


 ドォォォォン!!


「司会エフェクト上手くなってる!!」


 団長がハッとする。


「違う! また勝手に!」


『うおおおおおお!!』

 観客、超盛り上がる。


「もう何してもウケる空間になってる!!」


________________________________________

 ピコン。

【観客期待値 MAX】

【失敗できない空気です】


「プレッシャーのかけ方がライブなんだよ!」


 しかも。

【現在の推定観客数:18,420名】


「増えすぎぃ!!」


 俺の背後で炎がボォォォォッ!!と吹き上がる。


「まだ何もしてねぇ!!」


________________________________________

 すると。

 リシアが小声で言った。


「……なら、“逆”をやりましょう」


「逆?」


「ここまで派手な演出が続きました」


「まあうん」


「なので今、観客は“静かな入り”に飢えています」


「お前もう完全に演出家の視点なんだよ」


 だが。

 ヴァルガがニヤリと笑った。

 ドォォォォン!!


「納得するたびに爆発するのやめろ!」


「面白い」


「敵と方向性が一致してるのが一番怖い!」


________________________________________

 リシアは俺を見る。


「まず、何もしないでください」


「え?」


「静かに中央へ歩いてください」


「それだけ?」


「観客に“待ち”を作ります」


「言ってることが完全にライブ構成なんだよなぁ……」


________________________________________

 俺は恐る恐るステージ中央へ向かった。

 観客が静かになる。

『……?』

『始まる?』

『何するんだ?』


 さっきまでの爆発祭りが嘘みたいだった。

 静寂。

 視線。

 期待。

 その瞬間。

【観客が“何か来る”と感じています】


「感情の読み取りが雑!!」


________________________________________

 俺は中央で止まった。

 何もしない。

 静か。

 観客も静か。

 すると。

 ざわ……。

 ざわ……。

 空気が揺れ始める。

 うわ。

 なんか分かる。

 期待が溜まってる。

 怖ぇ。

________________________________________

 リシアが小声で囁く。


「……今です」


「何が!?」


「叫んでください」


「急に雑になるな!?」


 でも。

 なんかもう、

 空気的にやるしかない。

 俺は半分ヤケクソで叫んだ。


「――盛り上がってるかぁぁぁ!!」


 一瞬の静寂。

 そして。

『うおおおおおおおおおおおおお!!』

 王都、爆発。

________________________________________

 ドォォォォォォォォン!!

 炎。

 花火。

 光。

 爆風。

 全部同時に出た。


「過剰演出ぅぅぅ!!」


 しかも。

 観客の歓声が止まらない。

 つまり。

 能力も止まらない。

【観客熱量 限界突破】


「嫌な方向にしか進化しねぇ!!」


________________________________________

 次の瞬間。

 空に巨大な炎文字が出現した。

【THANK YOU】


「異世界に英語あるの!?」


 しかも。

 王都全域サイズ。

『うおおおおおおお!!』

『すげぇぇぇ!!』

『読めないけど感動した!!』


「勢いで押し切るな!!」


________________________________________

 すると。

 ヴァルガが静かに呟いた。


「……負けだな」


 ドォォォォン!!


「敗北演出までうるせぇ!!」


 リシアも頷く。


「最後の“ありがとう”で、観客との一体感が完成しました」


「総括コメントが完全にフェス後なんだよ」


________________________________________

 ピコン。

【伝説級大トリを達成しました】

【新機能を解放】


「まだ増えるの!?」


【ファンレター機能】


「いらねぇぇぇぇ!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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