第二十話 大トリの重さを知る
【大トリ演出を開始します】
「勝手に決めるなぁぁぁ!!」
王都、大歓声。
『最後お前だろー!!』
『飛べー!!』
『爆発しろー!!』
「要求が雑なんだよ!!」
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俺は後ずさった。
「いや待て待て待て」
無理だ。
絶対無理。
さっきの見たか?
ヴァルガは爆発しまくってたし、
リシアは氷で芸術やってた。
対して俺。
飛ばされるか燃えるかである。
「演出の方向性が雑すぎる!」
リシアが真顔で頷いた。
「確かに、あなたは勢いタイプですね」
「ライブ評論家みたいなこと言うな」
ヴァルガも腕を組む。
「荒削りだが、熱量はある」
「敵と演出談義する日が来るとは思わなかったよ!」
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そのとき。
団長が司会台から咳払いした。
「……では、最後の演者」
ドォォォォン!!
「司会エフェクト上手くなってる!!」
団長がハッとする。
「違う! また勝手に!」
『うおおおおおお!!』
観客、超盛り上がる。
「もう何してもウケる空間になってる!!」
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ピコン。
【観客期待値 MAX】
【失敗できない空気です】
「プレッシャーのかけ方がライブなんだよ!」
しかも。
【現在の推定観客数:18,420名】
「増えすぎぃ!!」
俺の背後で炎がボォォォォッ!!と吹き上がる。
「まだ何もしてねぇ!!」
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すると。
リシアが小声で言った。
「……なら、“逆”をやりましょう」
「逆?」
「ここまで派手な演出が続きました」
「まあうん」
「なので今、観客は“静かな入り”に飢えています」
「お前もう完全に演出家の視点なんだよ」
だが。
ヴァルガがニヤリと笑った。
ドォォォォン!!
「納得するたびに爆発するのやめろ!」
「面白い」
「敵と方向性が一致してるのが一番怖い!」
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リシアは俺を見る。
「まず、何もしないでください」
「え?」
「静かに中央へ歩いてください」
「それだけ?」
「観客に“待ち”を作ります」
「言ってることが完全にライブ構成なんだよなぁ……」
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俺は恐る恐るステージ中央へ向かった。
観客が静かになる。
『……?』
『始まる?』
『何するんだ?』
さっきまでの爆発祭りが嘘みたいだった。
静寂。
視線。
期待。
その瞬間。
【観客が“何か来る”と感じています】
「感情の読み取りが雑!!」
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俺は中央で止まった。
何もしない。
静か。
観客も静か。
すると。
ざわ……。
ざわ……。
空気が揺れ始める。
うわ。
なんか分かる。
期待が溜まってる。
怖ぇ。
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リシアが小声で囁く。
「……今です」
「何が!?」
「叫んでください」
「急に雑になるな!?」
でも。
なんかもう、
空気的にやるしかない。
俺は半分ヤケクソで叫んだ。
「――盛り上がってるかぁぁぁ!!」
一瞬の静寂。
そして。
『うおおおおおおおおおおおおお!!』
王都、爆発。
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ドォォォォォォォォン!!
炎。
花火。
光。
爆風。
全部同時に出た。
「過剰演出ぅぅぅ!!」
しかも。
観客の歓声が止まらない。
つまり。
能力も止まらない。
【観客熱量 限界突破】
「嫌な方向にしか進化しねぇ!!」
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次の瞬間。
空に巨大な炎文字が出現した。
【THANK YOU】
「異世界に英語あるの!?」
しかも。
王都全域サイズ。
『うおおおおおおお!!』
『すげぇぇぇ!!』
『読めないけど感動した!!』
「勢いで押し切るな!!」
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すると。
ヴァルガが静かに呟いた。
「……負けだな」
ドォォォォン!!
「敗北演出までうるせぇ!!」
リシアも頷く。
「最後の“ありがとう”で、観客との一体感が完成しました」
「総括コメントが完全にフェス後なんだよ」
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ピコン。
【伝説級大トリを達成しました】
【新機能を解放】
「まだ増えるの!?」
【ファンレター機能】
「いらねぇぇぇぇ!!」
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