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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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第十七話 魔王軍、潜入が下手すぎる


『魔王軍だぁぁぁ!!』

『本物!?』

『敵キャラ来たぁぁぁ!!』

 王都、大盛り上がり。


「盛り上がるなぁぁぁ!!」


 俺は叫んだ。

 普通もっとこう、

•悲鳴

•パニック

•避難

とかあるだろ。

 なぜ歓声なんだ。

________________________________________

 一方。

 シエラ本人も固まっていた。


「…………」


 やってしまった。

 勢いで名乗った。

 潜入任務、終了である。

 リシアが真顔で言う。


「見事な自己紹介でした」


「違う!」


「特に最後の“だ!!”で感情が乗りましたね」


「講評するな!!」


________________________________________

 すると。

 観客席から野次が飛ぶ。

『敵ならなんか悪いこと言えー!!』


「要求が雑!!」


 シエラの眉がピクッと動いた。


「……王都を滅ぼす」


『うおおおおおお!!』


「ウケるな!!」


【悪役らしさを確認】


「確認するな!!」


________________________________________

 その瞬間。

 ドォォォォォン!!

 シエラの背後で黒炎が爆発した。


「演出がノリノリなんだよ!!」


 しかも。

 観客の反応が良すぎる。

『敵っぽい!!』

『かっけぇぇ!!』

『もう一回!!』


「アンコールするな!!」


________________________________________

 シエラは完全に混乱していた。


「なぜだ……!」


 彼女は短剣を抜く。


「私は敵だぞ!」


『きゃああああ!!』


「悲鳴の方向性がおかしい!!」


________________________________________

 リシアが真面目に分析している。


「なるほど」


「何が」


「クール系ライバル属性と魔王軍設定が噛み合っています」


「属性で敵組織を語るな!」


「特に“嫌そうにしている”点が高評価ですね」


「最低の人気分析だよ!」


________________________________________

 すると。

 ピコン。

【ライバル人気ランキング】


「ランキング始まったぁぁぁ!!」


 空中に表示される。

【現在一位:シエラ】


「早ぇよ!!」


 しかも。

【コメント】

・塩対応助かる

・敵なのが良い

・黒煙演出が強い


「レビュー文化が形成されてる!!」


________________________________________

 シエラがプルプル震えている。


「……帰りたい」


『かわいいー!!』


「どこに需要があるんだ!!」


【ギャップ萌えを確認】


「確認するな!!」


________________________________________

 そのときだった。

 空に巨大な魔法陣が開く。

 ゴゴゴゴゴ……。

 王都全体がざわついた。


「……え?」


 シエラが顔を上げる。

 そして。


「しまった」


「何?」


 彼女が青ざめた顔で呟く。


「追跡魔法だ」


「追跡?」


「諜報員が長時間通信を切ると、上司が来る」


「ブラック企業みたいなシステムだな」


________________________________________

 次の瞬間。

 ドォォォォォン!!

 空から、黒い人影が降ってきた。

 長いマント。

 鋭い目。

 派手な装飾。

 そして。

 着地と同時に。

 バァァァン!!

 背後で大爆発。


「派手ぇぇぇ!!」


________________________________________

 観客、大歓声。

『おおおおおおお!!』

『なんか来たぁぁ!!』

『四天王!?』


「完全に大物感ある!!」


 一方。

 シエラは頭を抱えていた。


「最悪だ……」


「知り合い?」


「魔王軍特務演出官」


「何官?」


________________________________________

 男はマントを翻しながら歩いてくる。

 無駄にゆっくり。

 しかも。

 歩くたびに後ろで爆発が起きる。


「歩行演出がうるさい!!」


 リシアが感心していた。


「高度なタイミング制御ですね」


「褒めるな!!」


________________________________________

 男はニヤリと笑った。


「フッ……」


 バァァァン!!

 また爆発。


「笑うたびに爆発するの!?」


「当然だが?」


「当然じゃない!!」


 男は片手を広げる。


「我が名は――」


 ドォォォォォン!!

 爆発。


「名乗りに爆発挟むな!!」


 観客、総立ち。

『うおおおおおおお!!』

『派手ぇぇぇ!!』

『好きー!!』


「好きになるな!!」


________________________________________

 男は満足そうに頷いた。


「……良い観客だ」


「適応が早すぎる!!」


 シエラが絶望した顔で呟く。


「終わった……」


 その瞬間。

 ピコン。

【“演出ガチ勢”を確認】


「システムが嬉しそうなんだよ!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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