第十七話 魔王軍、潜入が下手すぎる
『魔王軍だぁぁぁ!!』
『本物!?』
『敵キャラ来たぁぁぁ!!』
王都、大盛り上がり。
「盛り上がるなぁぁぁ!!」
俺は叫んだ。
普通もっとこう、
•悲鳴
•パニック
•避難
とかあるだろ。
なぜ歓声なんだ。
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一方。
シエラ本人も固まっていた。
「…………」
やってしまった。
勢いで名乗った。
潜入任務、終了である。
リシアが真顔で言う。
「見事な自己紹介でした」
「違う!」
「特に最後の“だ!!”で感情が乗りましたね」
「講評するな!!」
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すると。
観客席から野次が飛ぶ。
『敵ならなんか悪いこと言えー!!』
「要求が雑!!」
シエラの眉がピクッと動いた。
「……王都を滅ぼす」
『うおおおおおお!!』
「ウケるな!!」
【悪役らしさを確認】
「確認するな!!」
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その瞬間。
ドォォォォォン!!
シエラの背後で黒炎が爆発した。
「演出がノリノリなんだよ!!」
しかも。
観客の反応が良すぎる。
『敵っぽい!!』
『かっけぇぇ!!』
『もう一回!!』
「アンコールするな!!」
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シエラは完全に混乱していた。
「なぜだ……!」
彼女は短剣を抜く。
「私は敵だぞ!」
『きゃああああ!!』
「悲鳴の方向性がおかしい!!」
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リシアが真面目に分析している。
「なるほど」
「何が」
「クール系ライバル属性と魔王軍設定が噛み合っています」
「属性で敵組織を語るな!」
「特に“嫌そうにしている”点が高評価ですね」
「最低の人気分析だよ!」
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すると。
ピコン。
【ライバル人気ランキング】
「ランキング始まったぁぁぁ!!」
空中に表示される。
【現在一位:シエラ】
「早ぇよ!!」
しかも。
【コメント】
・塩対応助かる
・敵なのが良い
・黒煙演出が強い
「レビュー文化が形成されてる!!」
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シエラがプルプル震えている。
「……帰りたい」
『かわいいー!!』
「どこに需要があるんだ!!」
【ギャップ萌えを確認】
「確認するな!!」
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そのときだった。
空に巨大な魔法陣が開く。
ゴゴゴゴゴ……。
王都全体がざわついた。
「……え?」
シエラが顔を上げる。
そして。
「しまった」
「何?」
彼女が青ざめた顔で呟く。
「追跡魔法だ」
「追跡?」
「諜報員が長時間通信を切ると、上司が来る」
「ブラック企業みたいなシステムだな」
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次の瞬間。
ドォォォォォン!!
空から、黒い人影が降ってきた。
長いマント。
鋭い目。
派手な装飾。
そして。
着地と同時に。
バァァァン!!
背後で大爆発。
「派手ぇぇぇ!!」
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観客、大歓声。
『おおおおおおお!!』
『なんか来たぁぁ!!』
『四天王!?』
「完全に大物感ある!!」
一方。
シエラは頭を抱えていた。
「最悪だ……」
「知り合い?」
「魔王軍特務演出官」
「何官?」
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男はマントを翻しながら歩いてくる。
無駄にゆっくり。
しかも。
歩くたびに後ろで爆発が起きる。
「歩行演出がうるさい!!」
リシアが感心していた。
「高度なタイミング制御ですね」
「褒めるな!!」
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男はニヤリと笑った。
「フッ……」
バァァァン!!
また爆発。
「笑うたびに爆発するの!?」
「当然だが?」
「当然じゃない!!」
男は片手を広げる。
「我が名は――」
ドォォォォォン!!
爆発。
「名乗りに爆発挟むな!!」
観客、総立ち。
『うおおおおおおお!!』
『派手ぇぇぇ!!』
『好きー!!』
「好きになるな!!」
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男は満足そうに頷いた。
「……良い観客だ」
「適応が早すぎる!!」
シエラが絶望した顔で呟く。
「終わった……」
その瞬間。
ピコン。
【“演出ガチ勢”を確認】
「システムが嬉しそうなんだよ!!」
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