第十五話 魔王軍、空気が読めない
王都超魔術フェス開催決定。
その知らせは、当然――
魔王城にも届いていた。
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「王国が……何を始めた?」
重々しい会議室。
玉座。
黒い鎧の幹部たち。
完全にシリアス空間である。
魔王軍参謀・ゼルヴァは報告書を見つめていた。
【災害級術者】
【王都合同公演】
【団長飛行ショー】
「最後の行、何だ?」
「我々も分かりません」
部下が真顔で答える。
「分からないのか」
「はい」
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ゼルヴァは頭を押さえた。
「つまり王国は、新型の大規模魔術兵器を開発した可能性があると?」
「現地報告では、“観客が増えるほど危険度が上昇する”とのことです」
「意味が分からん」
「はい」
「意味が分からんのに報告するな」
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すると。
別の魔族が手を挙げた。
「ですが、映像記録があります」
「映像?」
「はい」
水晶が起動する。
ブゥン。
映し出されたのは。
『アンコール! アンコール!』
『団長ー!!』
『飛べー!!』
「…………」
空を飛ぶ団長。
盛り上がる観客。
花火。
爆発。
国王。
YESボタン。
「…………」
長い沈黙。
そして。
「何だ、これは」
「我々も分かりません」
「今日それしか言ってないな?」
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そのときだった。
バン!!
会議室の扉が開いた。
「失礼します!」
入ってきたのは、若い女魔族だった。
黒髪。
鋭い目。
軍服。
腰には二本の短剣。
いかにも“エリート暗殺部隊”である。
「諜報部所属、シエラです」
ゼルヴァが頷く。
「ちょうどいい。お前、王都へ行け」
「王都へ?」
「例の災害級術者を調査しろ」
「了解しました」
シエラは即答した。
「必要であれば排除します」
空気が引き締まる。
これぞ魔王軍。
シリアス。
有能。
冷徹。
だが。
ゼルヴァが最後に言った。
「あと、“アンコール”には気をつけろ」
「アンコール?」
「……我々にも分からん」
「何なんですか、その組織報告」
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翌日。
王都。
フェス準備会場。
「なんでステージが三つあるんだよ!?」
俺は叫んだ。
巨大ステージ。
観客席。
露店。
旗。
完全に大型フェスである。
しかも。
【超高高度飛行演出ステージ】
【団長回転飛行特設席】
「特設席まで作るな!!」
リシアが資料を見て頷く。
「なるほど。観客導線を分けていますね」
「理解するな!」
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そのとき。
人混みの中から、一人の少女が現れた。
黒髪。
軍服。
鋭い目。
シエラだった。
(……これが王都)
彼女は周囲を警戒する。
観客。
熱気。
歓声。
危険な空気。
(なるほど。確かに異常だ)
そのとき。
『リシア様ー!!』
『きゃー!!』
観客が沸く。
シエラが振り向く。
ステージ上。
リシアが軽く手を振っていた。
「……?」
すると。
『うおおおお!!』
歓声倍増。
シエラは眉をひそめた。
(なぜ、手を振っただけで……)
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だが次の瞬間。
ドン!!
後ろから誰かにぶつかられた。
「うわっ」
シエラのフードが外れる。
黒髪が見えた。
すると。
最前列の観客が叫んだ。
「おお!? 新キャラだ!!」
「…………は?」
一瞬で空気が変わる。
『誰だあの子!?』
『クール系!?』
『かっけぇ!!』
パチパチパチ!!
「待て」
シエラが固まる。
【新規出演者を確認】
「何だ、その文字」
【観客人気 急上昇中】
「やめろ」
観客が盛り上がる。
『無表情だ!!』
『強キャラっぽい!!』
『目つきが良い!!』
「評価基準がおかしい」
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その瞬間。
ピコン。
【“クール系ライバル枠”を自動設定しました】
「は?」
遠くで俺が叫んだ。
「また増えたぁぁぁ!!」
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