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異世界で最強の能力を得た俺、ただし発動条件が“拍手喝采”  作者: フィッシュよりビーフが好き


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第十五話 魔王軍、空気が読めない


 王都超魔術フェス開催決定。

 その知らせは、当然――

 魔王城にも届いていた。

________________________________________


「王国が……何を始めた?」


 重々しい会議室。

 玉座。

 黒い鎧の幹部たち。

 完全にシリアス空間である。

 魔王軍参謀・ゼルヴァは報告書を見つめていた。

【災害級術者】

【王都合同公演】

【団長飛行ショー】


「最後の行、何だ?」


「我々も分かりません」


 部下が真顔で答える。


「分からないのか」


「はい」


________________________________________

 ゼルヴァは頭を押さえた。


「つまり王国は、新型の大規模魔術兵器を開発した可能性があると?」


「現地報告では、“観客が増えるほど危険度が上昇する”とのことです」


「意味が分からん」


「はい」


「意味が分からんのに報告するな」


________________________________________

 すると。

 別の魔族が手を挙げた。


「ですが、映像記録があります」


「映像?」


「はい」


 水晶が起動する。

 ブゥン。

 映し出されたのは。

『アンコール! アンコール!』

『団長ー!!』

『飛べー!!』


「…………」


 空を飛ぶ団長。

 盛り上がる観客。

 花火。

 爆発。

 国王。

 YESボタン。


「…………」


 長い沈黙。

 そして。


「何だ、これは」


「我々も分かりません」


「今日それしか言ってないな?」


________________________________________

 そのときだった。

 バン!!

 会議室の扉が開いた。


「失礼します!」


 入ってきたのは、若い女魔族だった。

 黒髪。

 鋭い目。

 軍服。

 腰には二本の短剣。

 いかにも“エリート暗殺部隊”である。


「諜報部所属、シエラです」


 ゼルヴァが頷く。


「ちょうどいい。お前、王都へ行け」


「王都へ?」


「例の災害級術者を調査しろ」


「了解しました」


 シエラは即答した。


「必要であれば排除します」


 空気が引き締まる。

 これぞ魔王軍。

 シリアス。

 有能。

 冷徹。

 だが。

 ゼルヴァが最後に言った。


「あと、“アンコール”には気をつけろ」


「アンコール?」


「……我々にも分からん」


「何なんですか、その組織報告」


________________________________________

 翌日。

 王都。

 フェス準備会場。


「なんでステージが三つあるんだよ!?」


 俺は叫んだ。

 巨大ステージ。

 観客席。

 露店。

 旗。

 完全に大型フェスである。

 しかも。

【超高高度飛行演出ステージ】

【団長回転飛行特設席】


「特設席まで作るな!!」


 リシアが資料を見て頷く。


「なるほど。観客導線を分けていますね」


「理解するな!」


________________________________________

 そのとき。

 人混みの中から、一人の少女が現れた。

 黒髪。

 軍服。

 鋭い目。

 シエラだった。


(……これが王都)


 彼女は周囲を警戒する。

 観客。

 熱気。

 歓声。

 危険な空気。


(なるほど。確かに異常だ)


 そのとき。

『リシア様ー!!』

『きゃー!!』

 観客が沸く。

 シエラが振り向く。

 ステージ上。

 リシアが軽く手を振っていた。


「……?」


 すると。

『うおおおお!!』

 歓声倍増。

 シエラは眉をひそめた。


(なぜ、手を振っただけで……)


________________________________________

 だが次の瞬間。

 ドン!!

 後ろから誰かにぶつかられた。


「うわっ」


 シエラのフードが外れる。

 黒髪が見えた。

 すると。

 最前列の観客が叫んだ。


「おお!? 新キャラだ!!」


「…………は?」


 一瞬で空気が変わる。

『誰だあの子!?』

『クール系!?』

『かっけぇ!!』

 パチパチパチ!!


「待て」


 シエラが固まる。

【新規出演者を確認】


「何だ、その文字」


【観客人気 急上昇中】


「やめろ」


 観客が盛り上がる。

『無表情だ!!』

『強キャラっぽい!!』

『目つきが良い!!』


「評価基準がおかしい」


________________________________________

 その瞬間。

 ピコン。

【“クール系ライバル枠”を自動設定しました】


「は?」


 遠くで俺が叫んだ。


「また増えたぁぁぁ!!」


ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました!


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