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第13話 白銀龍との戦い〜ロイドも強くなっているのね〜

「ライネス隊長! 右です!」

「助かる、フィリーネ!」

 

 ダンジョンに入ってから外で3日が経った頃、騎士団はある程度の調査を終わらせていたのか魔物に関しては騎士団だけで対処できると報告してきた。

 そこで、今はライネスとフィリーネがあの3体にリベンジマッチをしている。

 

「いい動きね。魔物をレベル60に下げたとはいえこれだけ動けるなら上出来かしら」

 

 ボス部屋のバルコニー部分から2人を見守り、危なくなったらポーションを撃ち込む算段だがこの様子なら必要ないだろう。

 

 数時間前から復活石を使って1体づつ呼び出し、都度倒して動きを確認している。対策を練りつつ攻略していて効果的だ。

 3体の攻撃が同士討ちになるように誘導するなどテクニカルな動きも取り入れている。

 

 そして……


――ズォォォン

「やりましたね、隊長!」

「ああ、勝てた、な」


 2人は見事にダークサーペントキング、ボルケーノボア、サンダーグリフォンを同時に倒してみせた。


「いいじゃない。よくやったと思うわ」

「アリーシャ様! ありがとうございます!」

「これでまた少し強くなれた気がします!」


 ライネス、フィリーネにあの時吹き飛ばされていた面影はもうない。かなり成長したといえるだろう。


「まぁでも、次はソロでやってみた方がいいわね。経験値効率がよくなるわ」

「い、いやぁ、あはは……」

「それができたら苦労しませんよ……」

 

 そんな顔をしないでほしい。せっかく経験値効率のいい方法を教えたのに。

 さぁ、次は3人組を叩き起こしてレベリングの続きだ。いつまでも伸びさせているわけにもいかない。


 

――ダンジョン外で8時間後

「本当にまだ1日も経ってないんですね、ライネス隊長」

「中では20日ほどいたのにな」


 ダンジョン外に出て、帰路につく。思えばダンジョン内で2人とよく話した方だ。ロイドも久々に兄と一緒の時間を過ごせて嬉しそうにしていた。


「兄さんに剣を教えてもらえて嬉しいです!」

「そりゃ私も嬉しいが本職が槍の私よりアリーシャさんから学んだ方がいいんじゃないか?」

「私の剣は我流で型の欠片もないわ。せっかく教わるならちゃんと型があるほうがいいのよ」

「ま、まぁ、あの剣技を真似ろと言われても難しい、か」


 ロイドには今までやってきた型がある。そこに途中から私のなんちゃって剣術など教えては型が崩れてもったいない。


「今の型を習得したらアリーシャさんの剣も教えて下さい!」

「それならいいけど。あら、代官の屋敷に着いたわね」


 おしゃべりが楽しかったかあっという間に屋敷についた。伸び切って動けない3人組を荷車から運び出し、中へと運ぶ。使用人は相変わらずの驚きようだ。


「さて、片付けも終わりましたし、解散としましょう」

「ですね。明日はレベリングはしないので?」

「ええ。伝書鳩にそろそろ代官代理が到着するとあったので少し準備もしようかと」

「相変わらず手が早いですね、学園長さん」


 王城勤めのフィリーネが学園長に感心しているあたり、何か繋がりがあるのだろうか?

……と?


――ドタドタドタドタ!

「でっ、伝令! 北西の森に異常な魔力を纏った黒い龍が出現! 隊員では全く歯が立たず多数の被害が出ています!」

「なんだって!?」

「ライネス隊長、急ぎましょう!」

「ああ! アリーシャ様にロイド、緊急事態だ、頼む、手を貸してほしい……!」

「そうね、行きましょう。荒らされるのも嫌だから」

「僕も頑張るよ!」


 すぐに馬に乗り、夕刻の田舎道をひた走る。龍か、何故いきなり現れた?


 

――しばらく後

「これは酷い……」

「ええ、これはあまりにも……」


 伝令の言っていた森に着くと、あたりの異様な光景が目に入ってくる。

 フィリーネの光魔法で明かりを取っている範囲には、吹き飛ばされた騎士や滅茶苦茶に折れた木々が散乱している。


「アリーシャさん、これ!」

「凄い跡ね。ただの火属性の魔法ならこうはならないわよ」


 地面が焦げるのではなく溶けてしまっている。よほど高威力の魔法かブレスが放たれたのだろう。

 ん? 義眼に何か嫌な魔力を感じるが……


「フィリーネ! 光魔法で上空を照らして!」

「は、はい!」

「あ、アリーシャさん、あれは!」


――Gyaaaaaaaaa!!


「さ、下がれぇ!!」


――ゴアアアアア!!


「くっ、結構なご挨拶じゃない」


 上空から放たれた高威力のブレスを魔力防壁で防ぐ。飛び地に来る前の馬車でロイドと魔力鋼弾の理論を応用して作った術式だがなかなか効果がある。


「っ! レベルが見えない……何かしらの妨害ね。3人は負傷者の救護に回って。龍の相手は私がする」


 3人を下がらせ、地面に降りてきた龍と対峙する。かなり大きい。あの邪竜など比にならないほどだ。纏う魔力も膨大だが、何より嫌な魔力の感じがする。


「くっ、またブレスか」


 物理攻撃をしてくるなら受け止められるだろうが、ブレスだと後ろに流れたとき3人に直撃する。近接攻撃をしかけたとしても無理矢理ブレスを吐かれたらアウトだ。


「防戦一方ね……」


 正直、守る戦いをしたことがない私にこの状況は不利極まる。攻め手が見いだせない。マズいな……


『強き者よ! 我の胸にある魔石を壊せ!』

「はっ! 誰なの?」

『今お主の目の前にいる龍だ。我は操られている、何とか魔石を!』


 魔眼を通して流れ込む龍の声。攻略法は分かったがこうもブレスを吐かれては魔力防壁を解除できない。


「魔力防壁の残弾が厳しいわね。何とかしないと」


 消耗戦では不利になる。一瞬、一瞬でいい。

 魔力防壁解除。ここを、狙う!


――キンッ

「なっ、弾かれた!」


 マズい、ブレスがくる。装填が間に合わない……!


「はぁっ!」

「ろ、ロイド!? 危ないから下がって!」

「僕だってこの魔力防壁を開発した一人だ! 長くはもたないけど使えるよ! アリーシャさんなら倒せるはず! だからもう一回……!」


 私の前に飛び出してロイドはそんなことを言う。そうか、ロイドは信じてくれている。なら、イメージするのだ、あの魔石を攻略する、魔法を……!


 

「魔力徹甲弾・炸撃!」


 

 届け、穿て、打ち砕け!

 


――ドガァァァァァァァァン!!



 凄まじい爆発音と共に、魔石は微塵となり、龍は倒れた。



――――



「おお、強き者よ。我を救い出してくれたこと、改めて感謝する」

「いいのよ。私の飛び地で暴れられても困るし」


 龍の魔石を壊すと、纏っていた嫌な魔力が消え、代わりに白銀の体が姿を現した。

 どうやら龍はかつてこの地を守っていたらしい。


「魔王を討った後、悪魔に狙われてな。消滅させはしたが我も弱りきってしまい、この地で眠っていたのだ」

「で、どうやら悪魔召喚の生贄にされかけた、と」

「だな。生贄にこそならなかったが流し込まれた悪魔の魔力にあてられて暴れてしまったようだ。我も落ちたものだな」

「落ちた、とはいってもレベル200じゃない。相応の力もあるんでしょう? 悲観することもないと思うのだけれど」

「レベル255のお主に言われても、な」


 龍としては力を取り戻すため、より強い存在である私に宿らせて欲しいと頼んできた。龍との同居か。


「タダでとは言わん。龍の知恵と力を貸そう。悪魔のことでも力になれるはずだ」

「……いいわ。貴方、お名前は?」

「我はダエグ、白銀龍ダエグだ」

「そう。私はアリーシャ、よろしくね」


 ダエグが光となって私に宿ると右手の甲に龍の紋章が浮かび上がった。

 あれ? この紋章どこかで?



――――


「フィリーネ、あれは夢か?」

「いえ、現実のようです」


 龍がアリーシャ嬢に宿った後、私たちは野営地のテントで事の重大さに戦慄していた。


「白銀龍ダエグ……まさに伝説だな」

「はい。それもこの王国の創建に関わる伝説ですね……」


 伝説にある白銀龍ダエグは魔王を討った後、人の世の平穏と安寧をこの王国の開祖に託すため龍の力を与えたという。

 その伝説が私たちの目の前で、一時的にとはいえ再び現実のものとなってしまった。


「何千年も前の、おとぎ話のようなものですが」

「ただのおとぎ話ならば王国の紋章に白銀龍が使われ続けているにしてはいささか壮大すぎる。それにアリーシャ嬢の手の紋章は王国の紋章のそれとほぼ一緒だったろう?」

「ですよね……アリーシャさんは白銀龍の力を悪いようには使わないと思いますが」

「騒ぎにならないよう、事の詳細は陛下と学園長だけに伝えるとしよう」


 うう、胃が痛い。


――――

お読みいただきありがとうございます!

明日も18:30に更新予定です!

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